予防接種その4 接種するタイミング・場所

そのうち、そのうち、と思っていると予防接種は遅れがちになるものです。

予防接種はとにかく後回しにしないことが肝心です。

スタンプラリーのように、何歳までにここまで終わらせたらOKというものではありません。

深刻な病気は容赦なく襲いかかってきますから、接種できる時にできるだけ早くどんどんと進めるのがよいでしょう。

昭和の時代には、「風邪をひいていたら接種は無理無理!」というのが日本での常識であり、風邪のせいで予防接種を受けられなかった子どもが、麻疹にかかって死亡するという本末転倒な痛ましいことも実際に起こっていました。

たくさんの予防接種を同時に行っても、使われる免疫は体全体の0.1%未満(つまり1000分の1未満)と言われます。

少々の咳や鼻水、軽い下痢程度であれば、予防接種にはほとんど問題がないと言ってもよいでしょう。

特に保育園児などは体調が万全になる時を待っていると、いつになるのやらですから、少し症状があっても接種する先生の判断でOKが出たらしっかり接種を進めていきましょう。

またどの病院で接種しても絶対に効果は変わりません。

「この病院で接種できるまで、何か月でも待つわ♥♥」というお母さんの熱意はちょっと横に置いておいて、枠が空いている病院を探して今すぐにでも接種することがとても大切です。

待っている数か月の間も病気は待ってくれませんから。

 

たくさんの人々の命を奪った天然痘という病気は予防接種の普及により、地球から排除されました。

たくさんの子ども達に小児麻痺をもたらしたポリオの予防接種を(当時は危険なワクチンと言われていた)ソ連から緊急輸入した、昭和の時代の時の厚生大臣の英断から始まった一連の対策で、現在日本でのポリオは根絶された状態です。(まだ地球から排除には至っていませんが)

これらはごく最近の話です。

毎年何百人もの子供たちを毒牙にかけてきた髄膜炎の予防接種が公費で接種できるようになったのは、さらにたった数年前の話です。

今の時代を生きる我々は予防接種の進歩のおかげで、実にたくさんの理不尽な死や病気から遠ざかっていることを、皆さんにもっと知って欲しいと願っています。

 

これだけ医学が進歩したとはいえ、まだまだどうしようもない病気がたくさん存在するこの世の中。

医者としての無力感を味わうことも決して少なくない毎日ですが、せめて予防接種で防げる病気で苦しむ子ども達が一人もいなくなりますように。






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