解熱剤の上手な使い方その3

今日は熱とのお付き合いの時に解熱剤とともによく話題にのぼるクーリング(体を冷やす処置)についてお話しいたします。

前述したように、小児科で使用される解熱剤は名前や剤形(内服や座薬)の違いはあれど全て同一の成分であり、極めて安全に使用することができます。

しかし、日本では伝統的にできるだけ解熱剤を使わないようにという指導がしばしばなされ(最近は減ってきましたが)、一方で、体を冷やすクーリングは副作用がないかのように誤解され、是非やってあげましょう、などという風潮があるように感じます。

ここではっきり明記しておきますが、クーリングは実は単独で本格的に熱を下げるレベルまで強力に行った場合、かなり有害である処置であり危険です。

 

発熱を語る時、まず最初に知っておかなければならない知識として、設定温度と実際温度があります。

設定温度は脳の視床下部というところでコントロールされており、普段は36.5度程度に合わせてあります。

普通の状態、つまり実際体温が設定温度と同じく36.5度の時、体はとても快適な状態です(エアコンで言うと、一旦小休止している状態です)。

炎天下で活動をして、実際温度が上昇しようとしても、汗をかいたり、血管を拡張したりして体は全力でこの設定温度になるように努力します。(当然設定温度は36.5度のままです)

逆に寒いところに行って実際温度が低下しようとした時も同様に、体をがたがた震わせたり血管を収縮させることで、36.5度という設定温度から外れないように力を尽くします。

実際温度が設定温度から外れようとすると、エアコンがフルで稼働するように体は設定温度に戻すため必死にがんばらなくてはなりません(特にがたがたという激しい悪寒は大量のカロリーを消費します)。

 

さて、いざインフルエンザなどの急激に発症する発熱疾患にかかった時、まず起こることは脳による設定温度の変更です(例えば設定温度を一気に40度に変更する)。

病気の時の発熱は体がわざと上げようと思って上げているのですが、これは前述したとおり、熱が高い方が免疫が高まり、敵の増殖を抑えるという合理的な目的のためです。

病気の初期、設定温度は40度で、実際温度は36.5度という時、強烈な寒気や顔色不良、ぐったり感が襲ってきます。

それもそのはず、設定温度まで急いで実際温度を上げるために体はもうがむしゃらにがんばっている状態ですから(今一度エアコンフル稼働を想像してください)。

そしてしばらくすると、寒気は収まり、顔は赤らみ、少ししんどさもむしろましになる時間がやってきます。

これは、実際温度が設定温度と同じ40度に追いついてエアコンが一旦小休止に入った状態です。

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