救急受診の心得

例年新年の新学期からはやり始めることの多いインフルエンザですが、今シーズンは年末から本格的な流行に突入しました。

これにより確実に起きることが予想される事象の一つに救急外来の患者さんの爆発的な増加があります。

毎年年末年始の救急はUSJのスパイダーマン以上の混雑ですが、今年度はまさしく阿鼻叫喚、地獄絵図の様相を呈すると思われます。

受診は少なくとも半日仕事になる、という覚悟がいることでしょう。

受診が必要か否かのひとつの判断として、目安を示しますので参考にしてください。

・発熱、かぜ症状

赤ちゃんの人生を台無しにする髄膜炎のワクチンが普及した近年、「熱が40℃あるから」という単独の理由で数時間単位で急ぐような受診がいることは皆無といっていいでしょう。しんどそうな場合にはインフルエンザを念頭に、解熱剤を使って半日程度時間を稼いでから受診するのがよいでしょう(早すぎると検査は無意味)。元気で食欲もそこそこある場合には仮にインフルエンザでも熱を24時間短縮するためだけのタミフルなどの特別な治療薬は不要ですから、家で様子をみるのも決して悪い選択肢ではありません(その際は発症後5日、または解熱後2~3日の長い方の日数しっかり家に引きこもりをお願いします)。

ただし生後3か月未満の赤ちゃんで、38.5度以上の発熱が数時間以上続く場合には原則入院が必要ですので、準備をした上で受診しましょう。また痙攣や、意識がおかしい場合は様子を見ずに緊急の受診が必要です。38.5度以上の発熱が夜だけでも3日以上続く場合にはやはり一度受診をしておく方がよいでしょう(元気さが十分ある場合にはこの超混雑時にはもう1日粘るのも吉)。胸がゼーゼーしていたり、喘息発作が出た場合も早めの受診が必要です。特に「胸がゼーゼー+高熱」は、高い確率で肺炎を引き起こしていますので、そのまま入院になるかもという準備と心づもりで受診しましょう。

咳・鼻水が乏しいのにやけに喉を痛がる発熱の場合には、抗生剤の必要な溶連菌の可能性があるので受診しましょう。

・嘔吐

嘔吐は回数ではなく、開始からの経過時間が大事です。胃腸炎の時の心得である、1口飲んでは5分休憩の対応でも6~12時間嘔吐が止まらない場合には点滴が必要かもしれませんので受診しましょう。嘔吐直後は顔色が不良になることが多いですが、しばらくすると戻る場合には上記の時間粘る方が吉です。ほとんどの嘔吐は自然に止まります。

・下痢 

下痢の回数が多くて食欲が低下していても、水分・塩分が取れていれば整腸剤以上の治療はありません。ドラッグストアでビオフェルミンを購入して飲ませておけば十分です。嘔吐とともにこの時期の下痢は、ほとんどがノロウイルスの胃腸炎ですから、周囲の方は十分な手洗いと消毒でうつらない努力も肝要です。

血便が明らかな場合は、便を持参して受診しましょう。腹痛が強い場合にも胃腸炎以外の病気の可能性があるので受診しましょう。

 

 

一度でも年末年始やお盆の救急外来を受診されたことがある方は、患者さんの密集した待合室のある種異様な雰囲気を体感されたと思います。

この時期は高濃度のインフルエンザウイルスが密閉空間に飛び交っていることでしょう。

「念のための早めの受診」のデメリットは時間、体力、病気をもらうなど計り知れないものがあります。

年末年始の救急受診はいつものクリニックの受診とは完全に別物と考える必要があります。

この心得や以前のブログを元に、「様子をみる方が得な時」と「必ず受診が必要な時」が少しでも伝わればうれしいです。

では、皆さんよいお年を!!

LINEで送る





DDまっぷ ドクターブログ 一覧