かぜを知ろうその7 クループのかぜ

かぜのウイルスが「鼻」と「喉」に留まっている状態がかぜです。

この「喉」というのはお口をあーんとして見える喉ちんこ(咽頭)と、喉仏のところ(喉頭)とに大きく分けることができます。

かぜは「鼻」と「喉ちんこ(咽頭)」が主な戦いの場所ですが、「喉仏(喉頭)」まで戦いが拡大することもよくあります。

喉頭に炎症が起こっても、診察で観察することはできませんが、程度が強くなると特徴的な症状が出てきます。

喉頭は声を出すのに大事な場所ですから、ここが腫れるとまず声がかすれてしまいます。

さらにひどくなると声だけでなく咳の音質まで変わってしまい、典型的な例では「オットセイの鳴き声みたいな咳」とか「犬の遠吠えのような咳」と表現されるような、いつものかぜでは聞いたことのない何とも表現しがたい変な激しい咳が出てきます(ケンケンという咳と表現する方もいます)。

夜になると喉頭の腫れはひどくなるので、昼間は普通の咳をしているのに、夜になると急にオットセイに変身した、という訴えをよくお母さん方からお聞きします。

また、喉頭が腫れると空気の通り道の内側がその分狭くなるので息がしづらくなり、まだそれほど気道が太くない乳幼児では特に息を吸う時にヒューとかゼーとかしんどそうな呼吸音がします(咳込んだ後の吸気時にゼー)。

このかぜのことを「クループのかぜ」と呼びます。

クループというウイルスがある訳ではなく、かぜ、気管支炎、肺炎などともに、「クループのかぜ」はかぜのウイルスが喉頭にいるという、場所を表す病名と言えます。

様々な種類のかぜのウイルスが喉頭にくっつくとクループのかぜの症状を引き起こします。

もちろんインフルエンザウイルスもその一つです。

「クループのかぜ」もあくまでかぜですから、早く治す薬はありませんが(インフルエンザ以外)、かぜの治療の目標である症状を和らげるという意味では、実は一番対処してあげやすい場所です。

喉頭の炎症を抑えるデカドロンというステロイドを飲むと、多くの例で1時間~2時間ほどで症状が劇的に改善します。

大概1回飲むと効果がありますが、腫れが強い例では2,3日必要なこともあります(乳児ではまれに入院)。

ステロイドのお薬は何か月単位で飲み続けると様々な副作用が必発ですが、単発で1日や数日飲む分にはマイナスはほとんど考える必要はありません。

クループっぽくても夜寝れていて、咳込みも軽い場合には普通のかぜ薬で様子を見ていれば、数日で自然にましになります(かぜ自体がこじれなければ)ので、デカドロンはあえて必要ありません。

うちの長男はかぜをひくとクループ症状がほぼ必ず出る子で、ひどい場合にはよくデカドロンにお世話になりました。

大きくなっていくとかぜ自体に免疫がつき、気道も太くなっていくので、デカドロンが必要なクループはだんだん減っていきます。

大人ももちろんかぜで喉頭が腫れて、かすかすのかすれた声としんどい咳が出ることはよくありますが、あえてクループと呼んでステロイドが必要なことはまずないでしょう。

ちなみに、クループの咳を聞いたことのないお母さんは、「夜の咳はオットセイの咳ではなかったですか?」と聞かれても、「はて、オットセイの鳴き声ってそもそもどんなんだっけ??」という反応ですが、何か月後かにクループの咳を初めて体験されてクリニックに見えると、「先生、以前に聞いたオットセイの咳というのがピンときました!昨日の夜、オットセイでした!」とおっしゃられます。

夜間、「オットセイの咳」がピンとくるような強い咳なら受診するとよいでしょう(呼吸が苦しそうなら夜間救急へ)。

また、乳児などでは異物を喉につめて吸気時のゼーが出ていることもまれにありますので、そのような可能性がないかも確認しましょう。

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