月別アーカイブ: 2015年5月

手足口病

手足口病が流行しています。

「かぜ」という言葉を、ウイルス性の自然によくなる早く治す薬のない病気という意味に拡大するならば、手足口病は「夏かぜ」の一つと言えます。

冬のかぜのように咳や鼻水はほとんどなく、文字通り手、足、口に発疹が出る病気です。

発疹の出やすい場所は手のひらの表裏、足の表裏、肘、膝です。

なぜか肛門周囲にもぶつぶつとした発疹がよく出るので、最初はおむつかぶれかな、と思うお母さんもいます。

「手足口おしり病」なんて冗談で言う先生もいます。

体の発疹は、痛かゆい感じがある程度で10日ほどで自然によくなりますから、困ることは多くなりませんが、湯船やプールに入ったりはせず、とびひにならないように優しく洗って清潔に保ちましょう。

手足口病のしんどさは熱の高さにもよりますが、一番は口の症状の強さで決まります。

ひどい例では口の中が口内炎だらけになって、痛みのせいで食事が取れなくなります。

つばを飲むのも痛いので、乳児ではよだれをだらだら垂らしながら受診することもよくあります。

子どもによって手足は軽いけれど口の症状が重篤な子、手足はひどいけれど口の症状がほとんどない子と様々です。

痛くて経口摂取が低下する場合は、解熱剤で使うカロナールやアンヒバ・アルピニー座薬などを熱がなくても痛み止めとして使うことで快適に時間を過ごすことができます。

2,3日で痛みはピークを越えて、徐々に食事も戻るでしょう。

かぜのカテゴリーの一つですから、複数回かかって免疫が育っていきます。

 

手足口病のウイルスと兄弟のようなウイルスが、ヘルパンギーナの原因となります。

ヘルパンギーナは、「口病」というイメージで、手足の発疹がなく「熱+強い口の症状」という夏かぜです。

対応の仕方は同じと考えてください。

最初、ヘルパンギーナと言われてから、手足にもぶつぶつが出てきたら、呼び方だけ手足口病に変えておくとよいでしょう。

いずれも熱がなくなり、元気で痛み止めが不要になれば登園・登校は可能です。

他のかぜ同様、感染力はだらだら1週間~10日前後持続しますが、数日休んでも流行の拡大を防ぐ効果がないので、うつさない訳ではないけれどしょうがないから行っていいということになります(熱があったり、元気がない間はまき散らすウイルス量がその中でも多い期間ですから休みましょう)。

原則的には登園許可証は特に医学的な意義はなく、発疹がひどい例で水痘ではありませんという証明くらいの価値しかありませんので、最近は要求しない保育園・幼稚園も多いようです。

しかし、普通の園生活、学校生活はするにしても、マナーの問題やとびひの併発を避けるためにも発疹が目立つ間はプールや公衆浴場などは避けるようにしましょう。

 

※様々な感染症での登園・登校許可証の価値についてはまた項を改めてお話しします。


医者という仕事その5 小児科医療 光と闇

小児医療に携わっていると、毎日の診療の中で子ども達から熱くたぎるようなエネルギーをたくさん与えてもらっています。

しかし新たに産声をあげる赤ちゃんは、1970年代に200万人を割り込んでからというもの減少の一途を辿り、現在は100万をわずかに越える程度となりました。

未来を担う新たな力の誕生が急速にしぼんでいっているのです。

それと並行して、近年ずいぶんニュースやドラマでも取り上げられるようになりましたが、日本における小児医療の取り巻く環境はどうもよろしくありません。

儲かるとか、採算を採るという概念とは程遠いこの科にやりがいと底知れぬ楽しさを覚えるようなある種の変わりダネドクターだけがひしめいているので、勤務医時代も開業してからも退屈することはありません。

とは言っても小児科医の端くれとして、10年後、20年後の小児医療はどうなっていくのだろうという不安がないと言ったら嘘になります。

以下のサイトでは、1999年に志半ばで倒れた小児科医師、中原利郎先生の思いがつづられています。

日本全体で色んなことを考えて、動き始めなければいけない時期にさしかかったのだと切に感じさせられます。

 

http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/yuigonjo.html


大学時代のことその6 パトカー

大学時代。

例によって監督と自転車で家庭教師の生徒さん募集のビラを近所のポストに入れて回っていた時の話です。

さすがに深夜2時に自転車でうろうろしているのがよくなかったようで、パトカーが近づいてきて、警察官の方に職務質問を受けました。

監督は結構小柄なのですが、警察の方の話だと遠くから中学生に見えたらしく、自転車のコソ泥ではないかをチェックするのが目的だったようです。

身分を証明するものは何も持っていなかったのですが、ちょうどビラに自分の情報が満載でしたので、ほどなく無罪放免となりました。

人生初の体験で、特にやましいことはないのにドキドキしました。

警察官の皆さん、いつもご苦労様です。