登園・登校許可証の意義

いわゆる一般的な咳・鼻水のかぜ、嘔吐・下痢のかぜに関しては、「熱があって、元気や食欲が不十分な間、あるいは元気でも咳や下痢の回数がとても多い間」は撒き散らすウイルス量が多い状態ですのでお休みするようにしましょう。

ノロやロタウイルスの胃腸炎、RSウイルスのかぜなど、ウイルス名に関わらずこの基準はしっかり守るようにしましょう。

厳密な意味ではウイルスはだいたい鼻水や便の中に10日~2週間ほど残っています(この間、うつす力はゼロではない)が、何日休むという決まりを設定することで『流行の拡大』に大きな影響がない感染症では、具体的な日数の規定は設けられていません(逆に、上記のような症状の強い間はしっかり休みましょう)。

他方、水痘やはしか、おたふくかぜなどはある一定の期間の感染力が強烈で、規定の日数を休むことで周囲への影響が大幅に減少する感染症です。

これらの疾患でも実際には登園・登校のタイミングで厳密に感染力がゼロでないこともありますが、ポイントは決まりを守ることで流行の拡大を防ぐ効果があるということです。

つまり集団生活においては、うつす力がゼロかどうかというより、「休むことに大きな意味があるかないか」が重要視されています。

全ての熱、咳、嘔吐、下痢は家族内や近しい友達のレベルでは感染すると思ってまず間違いありません(発症するかはウイルス量や個々の免疫力にもよります)。

その中で、うつす力が特別強く、集団の一員として具体的な日数を休む意義があるものにだけ個別の特別な基準が設けられていると考えるのがよいでしょう。

★熱・咳・鼻水のかぜでは、インフルエンザかどうか

★咽頭痛に関しては、溶連菌かどうか

★結膜炎、目の強い充血ではアデノウイルスかどうか

★発疹に関しては、水ぼうそう・麻疹・風疹・溶連菌かどうか

これらは集団生活に関して特別の基準が設けられている疾患であり、症状が強い間はもちろんのこと、解熱して元気でも必ずしもすぐに復帰できません。

病院で許可をもらってからようやくゴーサインが出ることになります。

かぜの時にRSウイルスかどうか、ヒトメタニューモウイルスかどうかや、胃腸炎の時にノロかロタかどうかは登園・登校や治療、家族への対策に影響を及ぼしませんので、検査を主目的に元気でも受診するメリットはあまりありません。

ウイルス名にこだわるよりも、症状が強い時は気をつけるということに重きを置くようにしましょう。

ヘルパンギーナや手足口病、胃腸炎などに許可証を要求することには医学的意義は低く、お母さん達の負担になっているだけのこともあり、廃止するところも出てきています。

また、登園が許可される日と、抗がん剤の治療中のおじいちゃんのお見舞いに行っていい日は同じではありません。

登園はマスクなどをしながら、「うつす力はゼロではないけれど、感染力がかなり強い時期は去ったから許してね。」といいながらするもので、お見舞いは完全に症状がなくなってからが望ましいでしょう。






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