日別アーカイブ: 2015年8月24日

突発性発疹 その3

★HHV-6、7(突発性発疹)

赤ちゃんの頃に感染した我々親の唾液中に、常に存在していると言われています。

お母さんからもらった免疫が切れてくる生後半年から2歳くらいまでの時期に1回目の突発性発疹にかかることが多いでしょう。

ただ、昭和の時代にみられた親が噛んで柔らかくした食べ物を赤ちゃんにあげるという習慣は、虫歯の原因になる細菌感染の観点などからしないようになったこともあり、以前よりはやや発症年齢は上昇しているという傾向があるようです。

2回目の突発性発疹は1回目より遅れて、3,4歳くらいまでに感染することが多いと言われます。

 

突発性発疹では、最初の高熱の間は咳などの風邪症状はなく、やや便が柔らかくなることがある程度で、他の症状はあまりありません。

熱の割には余裕がある児が多いですが、診断は解熱してから(あるいはし始めてから)発疹が出始めてはっきりします。

発疹が出ない子もおり、その場合は高熱だけで終わるかぜのウイルスと区別はできませんけれども、別に区別する必要もありません。

特に2回目は1回目より発疹が出る子が大幅に少ないので、世間では突発性発疹は1回という認識の親御さんが大半ですが、研究室レベルで調べてみると、3歳くらいまでに9割以上の子どもがこの2種類のウイルスにすでに感染スミであることが分かっています。

2回とも発疹が出なかった場合には「うちの子は突発性発疹をやったことがない。」という風に見えるわけですが、何歳までにやらないといけないとかいうものでもないですから、全く気にする必要はありません。

解熱してから半数くらいの子で、かつて見たことがないほど超不機嫌!!!になり、「不機嫌病」という別名もあるほどです。

この不機嫌は発疹が消える数日で自然に収まりますので、心配はいりません。

また、発疹は派手な子は全身に著明に出ますが、かゆがることもほとんどなく勝手に消褪します。

最後におまけですが、「知恵熱」とは、突発性発疹をはじめとして知恵がつき始めた頃(生後半年くらいから)に出る人生初めての熱として使われる言葉であり、勉強しすぎで出る熱ではありません。


突発性発疹 その2

★HHV-1(単純ヘルペスⅠ型)

初感染の乳幼児では高熱と多発の口内炎、特に歯茎がパンパンに腫れるという特徴的な所見を示すことがあります。

最初ヘルパンギーナとよく似ていますが、歯茎の腫れが出ると区別することができます。

そして、症状が落ち着いてからもウイルスは体の中に潜み、体調を崩した時に口唇ヘルペスとして度々我々を悩ませます。

★HHV-2(性器ヘルペス)

性感染症の一つで、性器に非常に強い痛みの水泡を伴う発疹が出現します。

★HHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス)

水ぼうそうの原因のウイルスです。

幼少期に水ぼうそうとして感染症状を起こし、後に糖尿病や加齢によって免疫が低下した際に帯状疱疹という極めて強い神経痛を伴う発疹が出現することがあります。

痛みに悩まされて、ペインクリニックに通院している患者さんも多くいます。

ヘルペス属の中で唯一ワクチンで有効な予防のできるウイルスです。

水ぼうそうは感染して強い免疫を付けておいた方がよい、というのはワクチンが無料化された現代ではこの将来の帯状疱疹のリスクという点からもナンセンスな考え方ですから、しっかり接種して感染自体しないようにしましょう。

★HHV-4、5、8はやや専門的になるので割愛します。


突発性発疹 その1

赤ちゃんの多くが経験する熱の一つに突発性発疹があります。

熱以外の症状が乏しく、39度~40度の高熱が3,4日続き、解熱してからお腹や背中中心に赤い斑点がたくさん出る病気です。

突発性発疹が感染症であることが判明したのは1980年代後半と、比較的最近の話であり、その原因ウイルスの特定に成功したのは私の母校である大阪大学の山西引一先生という微生物学の権威であります。

さて、その原因ウイルスはHHV-6と命名されていますが、後に2回目の突発性発疹の原因となるHHV-7も分離されました。

このHHVというのは俗にいうヘルペスウイルスのことです。

ヘルペスウイルスは発見された順番に番号が振られ、1番から8番までの研究が進んでいます。

ヘルペスウイルスに共通する特徴としては、一度感染するとその後一生涯体の中に潜伏し続けることです。

様々な病気や加齢で我々の免疫が低下した際には、もう一度顔を出して症状を出すこともあります。