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愛情の4原則

私が駆け出しの小児科医として過ごした淀川キリスト教病院での時間は、日本の新生児科の幕開けに貢献された第一人者である船戸 正久先生(当時の小児科部長)の下で働くという幸運に恵まれた3年間でした。

船戸先生はほんの数十年前、救命は困難とされ助ける対象ではなかったような未熟児や先天性異常の児に医療に献身的に取り組まれ、医療現場の常識をいい意味で激変させました。

‘船戸先生のおかげで新生児医療はこの20年で最も発展した診療科の一つとなった’と言っても誰も異論を挟まないような、これまた生けるレジェンドの一人であります。

まだ60代で、バリバリと精力的に医療に従事されています。

一方でそのあまりに愛くるしいキャラクター、波平チックな髪型、キュートなずんぐり体型などから、影ではこっそり「ふなってぃ」と私たち若手は呼んで敬愛していました。

船戸先生は敬虔なクリスチャンでもあられるので、発想がとにかく愛にあふれ、献身的です。

たくさんの心に響くお話しをして頂き、今も胸に残っています。

その一つに「愛情の4原則」の話があります。

4つというのが何を意味するかというと、「時間と空間の共有」、「言葉かけ」、「まなざし」、「ふれあい」です。

船戸先生はよくこの話を出され、「嫌な人のことを想像してみなさい。一緒にいたくないし、話もしたくないし、目も合わせたくないし、触られたくもないでしょう。愛する人、好きな人にはその逆になる。お母さんの、赤ちゃんへの愛が日に日に深まるのはとても自然なことなんだ。」とおっしゃられていました。

また、この原則が伝えるもう一つの意味として、愛情を継続するには、この4つを意識して、努力して行うことが大事であるということも。

特に夫婦など、家族間では色々なことが当たり前になり「空気のような存在」という表現を聞くこともあるでしょう。

「自分が好きな人、大事な人にはがんばってこの4つを行うことで愛情は高まるんだ。君も家に帰ったら毎日たっぷり奥さんとお話ししなさい。」

ちょうど新婚の頃でしたから、肝に銘じようと強く感じました。

今、合格点でできているのかな、と自問自答しつつ。

私は船戸先生の存在、その人となりが好きで好きで大好きで、聞かせて頂いた色々な話を思い出すといつも少し涙が出そうになります。

 

 

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