カテゴリー別アーカイブ: 日記

学校検尿の意義 ③

検尿でひっかかる子は実はかなりいます。

これは、自覚症状もないくらいの腎臓の軽い状態異常を見つけるために、相当少量の尿の異常も逃さず拾い上げているためです。

小学校、中学校の9年間で、のべ20%以上の児が異常として引っかかってくると言われています。

微量の潜血や蛋白は、軽い体調不良や採尿時の体勢でも人によっては出るので、健康な大量の児が異常を指摘されますが、もちろんその中で本当の腎臓の病気がある子はごく一部です。

小児腎臓学会では、小学生・中学生に関しては、潜血・蛋白が(+)以上を異常とするようにと定めていますが、多くの自治体では(±)も異常として指摘する現状があり、より多くの正常の児が病院受診のコースに乗ってしまっています。

(±)の児が病院にきた場合は、その場でもう一度尿検査を行い、(–)、(±)であればそれ以上の検査は行わず来年の学校検尿で引き続き、という方針で十分でしょう。

学校検尿か院内の検査で潜血か蛋白のいずれかが(+)以上の場合には、より詳しい尿検査や血液検査を施行し慢性腎炎の疑いがないかのチェックを行います。

この詳しい検査で大きな異常がないほとんどの子はとりあえずは数ヶ月ごとの尿検査を念のため行うコースに乗るだけで大きな心配はいらないでしょう。

潜血や蛋白の量が多い児や、両方が有意に出ている子は少し要注意で腎臓の専門の先生に紹介になることもあります。

いずれの場合もターゲットにしている疾患が慢性腎炎という非常にゆっくりとした経過の病気ですので、数年単位で気長にフォローが必要です。

 

*3歳半健診での尿検査は施行していない自治体もありますが、行う場合は主に先天性腎疾患のスクリーニングを目的として蛋白(±)以上が病院での二次検査に進みます。

*当院でも学校検尿で慢性腎炎以外にも、蛋白がだだ漏れするネフローゼ症候群や、膵臓の病気である1型糖尿病が尿糖を契機に発見されたケースがあります。これらは比較的急速に進行し、むくみや体重減少などの症状が出やすいため、学校検尿で発見されるのはまれですが。

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学校検尿の意義 ②

(1)腎臓の最も重要な役割は、血液をろ過して血液中の老廃物を尿として体外に捨てることです。

腎臓が本格的に具合が悪くなると(腎不全)、週に数回、透析という血液から直接老廃物を取り除く治療が必要となります。

(2)腎臓のもう一つの役割は、血液の中の大事な成分が尿に出てかないようにすることです。

これは腎臓が軽く調子を崩した早期から障害され、特に自覚症状のないうちから尿に血の成分や重要な栄養である蛋白が漏れ出すようになります。

なぜ特に痛くもかゆくもないのに学校検尿で腎臓の検査をするかという答えがここにあります。

学校検尿が主にターゲットにしているのは、「慢性腎炎」という病気です。

慢性腎炎は数年、数十年という単位で緩やかに、それでいて確実に腎臓を痛めていく病気の一群です。

何らかの症状が出る頃にはもう腎臓は相当やられてしまっているので、早期に発見することがとても大事となります。

実際、慢性腎炎の大半は症状のない段階で学校検尿を契機に発見されています。

一般的に学校検尿では、「潜血」、「蛋白」、「糖」の3項目をチェックします。

血の成分(潜血)や大事な栄養(蛋白や糖)がドカドカ尿に漏れ出ていると、腎臓の具合が悪いんだと拾い上げることができるわけです。

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学校検尿の意義 ①

新学期が始まって1ヶ月が過ぎました。

子ども達もだいぶ新しい環境に慣れてきた頃でしょうか。

私は西小学校、中央小学校、中央幼稚園の校医、園医をやっていますので、最近ちょくちょく校内で目撃情報が寄せられているかもしれません。

学校検診には小児科医の診察に加え、身長・体重の測定、視力検査、聴力検査などが含まれます。

ギョウ虫検査は衛生状態の改善により皆無に近くなったため数年前に廃止されました。

一方、「ケンニョウ」という言葉でおなじみの尿検査は引き続き重要な検査として位置づけられています。

尿は腎臓で作られるため、尿の検査をすると腎臓の調子を大まかに調べることができます。

尿検査は痛みを伴わず、また費用が安いことも大人数を対象の第1段階目の検査として適していると言えます。

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お年玉

「お年玉もらった?」

8歳「2万8千円もらった!」

金額で答える生々しさ。

 

「お年玉もらった?」

5歳「3つもらった。仮面ライダーと、ミッキーと、ミニオンズのやつ!」

中身よりもポチ袋の柄が気になる無邪気さ。

 

「お年玉もらった?」

3歳「ばあばとさえおばちゃんからもらった!」

もらった相手をしっかり覚えている愛くるしさ。

 

「お年玉もらった?」

0歳天使「バブー。」

32歳母「うちの稼ぎ頭です。感謝感謝。グフフ。」

むしろ、清々しさ。

 

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標準治療

医学用語の一つに‘standard therapy’ スタンダードセラピーという言葉があります。

日本語では「標準治療」と訳されますが、この言葉の響きがどうも患者さんの心にあまり響かないように感じます。

医学の世界では、医師免許を持っているだけという風変わりな単独の医師一人の的外れな意見が、うっかりすると画期的で素晴らしいものとしてメディアに取り上げられてしまうことが実際に日常的に起こっています。

Standard therapyというのはそのようなある個人の意見ではなく、「大規模な複数のデータに基づいた、現時点での医学における最適な選択肢」というニュアンスであり、短く翻訳するなら「最適治療」と呼ぶべきものです。

かぜ、熱性けいれん、がん、リウマチ、喘息、アトピー性皮膚炎などたくさんの患者さんが苦しんでいる疾患では世界中で膨大なデータが蓄積されており、さらにそのデータをものすごい数の医師が吟味した上で現在の医学のレベルにおいて最良の選択肢が提示されています。

これをガイドラインと呼びます。

ある偉い一人の先生の経験した症例などは誤差の範囲と言えるくらいに、たくさんのデータを集めるわけです。

30年後の医療では、最良の選択肢はきっと変化、進化しているでしょう。

また医学は時にミスをしますので、最良の選択肢が後に間違いであったと判明することもあります。

それらを踏まえた上で、最終的な選択は患者さんが行うことになります。

 

さて治療方針の選択の際、社会的地位の高いかつ収入の多い人ほどこの「標準治療」に満足しない傾向があります。

「標準治療」=「普通の人が受ける一般的な治療」で、自分たちが受けるべきはいくらかかってもいいから「特別治療」であるべきということなのでしょうか。

芸能人の方のニュースを見ていると、家族ががんになってしまった時に「最適治療」を受けていれば助かった可能性が相当に高いにも関わらず、そのような標準的な治療には満足できずいわゆる高額な民間療法を選択して亡くなっていくいうケースが数多くあります。

何とも言えないやるせなさ、むなしさ、憤り。

 

くぼこどもクリニックでは、特別な治療は残念ながら提供できません。

よそにはない熱を一発で下げる薬も、肺炎にならない薬もお出しすることはできません。

そして薬の副作用を心配する御両親を必死で説得して、正確なデータに基づいて髄膜炎の子どもにはとてつもない量の抗生剤が何日にもわたって点滴されるべきであり、川崎病の子どもには血液製剤が大量に入れられべきであり、治療可能な白血病の子どもには何ヶ月もの間繰り返し抗がん剤が投与されるべきであると考える、普通の、平凡な、標準的な医師である私が院長を務めています。

一方で私は「かぜ」が「かぜ」ですんでいる間は抗生剤が投与されることはなく、さっきからの熱で税金を使って無意味なインフルエンザ検査がされるべきでもないと考えているごく一般的な医師の一人です。

2019年1月29日における極めて極めて標準的な医療を行うことが私の日々の目標です。

本当は診察室に来た子どもに無理矢理でも打ちたいワクチンややりたい治療(逆にやりたくない検査や投薬も)がありますが、もちろんそんなわけにはいきませんから、医師の仕事の中でその行為の重要性を説明し御両親に理解してもらう作業が大きなウェイトを占めるのは当然のことです。

そして、データに基づいた医学的事実よりも書いた人の素性も根拠も分からないブログをなぜ人間は信用したくなるのか、そのメカニズムを知りたくて情報科学や心理学の分野まで私の興味は広がっていくのであります。

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インフルエンザ登園・登校許可証

インフルエンザの登園、登校が許可されるタイミングは当院で診断された方には十分に説明をしておりますが、救急などで診断された場合、指示が不十分なこともあるかと思います。

電話での問い合わせでは行き違いが多発するため、当院では対応しておりませんので、このブログを参考にしてください。

 

まずカレンダーを用意します。

●小学生以上の児

①赤ペンで熱が出た日に0と書き込み、その翌日から順に1,2,3,4,5まで記入します。

②黒ペンで完全に解熱した日に0と書き込み、その翌日から順に1,2まで記入します。

③赤でも黒でも数字が何も書かれていない最初の日にOKと書き込み、これが登校できる日になります。

④登校許可証が必要な場合は「OKの日の前日」に受診しましょう。それ以前には発行できません。(「OKの日の前日」が休日の場合のみ、OKの日の2日前に記載します。)

●幼稚園、保育園児

①赤ペンで熱が出た日に0と書き込み、その翌日から順に1,2,3,4,5まで記入します。

②黒ペンで完全に解熱した日に0と書き込み、その翌日から順に1,2、3まで記入します。

③赤でも黒でも数字が何も書かれていない最初の日にOKと書き込み、これが登園できる日になります。

④登園許可証が必要な場合は「OKの日の前日」に受診しましょう。それ以前には発行できません。(「OKの日の前日」が休日の場合のみ、OKの日の2日前に記載します。)

 

★注意点★

一旦解熱しても再発熱があった場合は、解熱カウントのやり直しが必要です。

発熱した日や解熱した日を1日目とカウントしてしまう間違いをよく見受けます。正しくは0日目です。

解熱した日に受診をして登園・登校許可を希望される方がいますが、インフルエンザではしばしば再発熱しますので、早いタイミングでの許可証は記載できません。

幼稚園・保育園児の方が小学生以上の子より解熱後1日長く自宅待機が必要です。

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医者という仕事その8 オトナの勉学の勧め②

まず一番大事なモチベーションの話からですが、これは私のオリジナルな言葉ではないのですが、ネットで見つけたとても素晴らしい書き込みをご紹介します。

「新しいことをやる時なんかにもう10年若かったらなあ、といって諦めるやつがいる。おれはいつもこう考えるようにしてるんだ。できなかった後悔だらけの10年後の未来からやり直すためにタイムマシンで帰ってきたのが今の自分なんだ。」

この言葉と若いうちに出会えたことは幸せでした。

くじけそうになる度にこの名言を思い出しましょう。

 

次に実際の継続のコツについてですが、「毎日コツコツちょっとずつ」というのは勉強が本分の学生にしかまず不可能です。

基本的に仕事や家事や育児というオトナの本来の仕事をこなした上で、残り時間を勉強に当てるわけですが、これらは何時何分までという学生の授業に比べて極めて流動的で予想外な事態が頻発するため、予め勉強の予定を立てすぎてもまずこなせません。

そして予定がこなせない日々が続くと、やる気は急速に萎んでしまうものです。

ですので、「明日はこれを何ページやる」という予定の立て方ではなく、次に30分時間ができたらこれをやる、もし1時間あったらこれをやる、という予定の方がよいでしょう。

「やれる時だけやる」ってことですね。

ただ、大きい区切りでは「いついつまでにこれをやる」というのは持っておいた方が現実になる確率がぐっと上昇します(以前のブログに書いたかも)。

そして、自分の経験でいうと仕事が忙しい時ほど勉強ははかどります。

その後の予定がある方が、それまでの集中力が増すからです(15時半には家を出ないといけない時の家事等)。

したがって、寝る時間を遅らせることが可能な夜より、出勤時間が決まっている朝の方が圧倒的にはかどるということが言えます。

例えば朝5時に起きて勉強を始めたとして、7時に家を出ないといけないとなれば残り時間というものは明らかです。

しかも早朝というのはまず予想外の邪魔が入ってきませんので、自学するには最高の時間帯です。

逆に夜、帰ってきてから開始する場合には、差し迫る後の予定がないため中々濃度が上がらないことは実感のあるところです。

最後に、you tubeやSNSの活用についてです。

今の時代、相当に質のいい様々な分野のレッスン動画を無料でいくらでも見ることができます。

また Facebookで友達に新しいチャレンジを高らかに宣言することで、引っ込みをつかなくさせるのも自分を盛り上げるのにはとても有効です。

2019年ぜひ何か新しい挑戦を!

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お帰り!

8月に元気な男の子を出産した受付の藤原さんが12月から土曜日のワクチン枠で復帰を果たしました。

レセプト業務に詳しく資格を有する優秀な人材で戻ってきてくれるのを心待ちにしていましたが、予定より少し早く復帰してくれて有難い限りです。

また、日裏さんも12月上旬にこれまた元気な男の子を出産して春頃には戻ってきてくれる予定です。

このように色々あった2018年も後半に嬉しいニュースが舞い込んできたわけですが、さらにもう一つ本当に想定外と言える朗報が届きました。

遠藤さん1月から戻ってきます!!

重症の喘息で、検査では正常の6割程度まで落ち込んでいた呼吸機能が薬を変更してもらってから主治医の先生も舌を巻くほどのV字回復で、正常範囲内である8割を超える状態に。

そして、小児科クリニックでもう一度働きたい熱い思いを先生に直訴して、先生が半ば折れる形でgoサインが出たという。

本当に想定外、想定外。

遠藤さんの退職が決まった時、精神的には本当につらくクリニックを続けていけるのか自信を失いかけていたところ、変わらない底抜けの明るさで私を励ましてくれた田中さんを始め、スタッフみんなのテンションは爆上げでございます。

2019年、最高の状態で迎えたいと思います。

皆様もよいお年を!!

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う、嘘だろ・・・

まずは5年前のくぼこどものブログから懐かしい記事を一つご覧下さい。

http://www.ddmap.jp/blog/0724332255/2013/12/%e3%81%a9%e3%81%86%e3%81%a7%e3%82%82%e3%81%84%e3%81%84%e3%81%93%e3%81%a8%e3%80%80%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%97%e3%80%80%e8%80%b3%e3%82%92%e7%96%91%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%81%93%e3%81%a8.html

そして、にわかには信じがたい今年の年末のドラえもんの予告をご覧ください。

http://news.livedoor.com/article/detail/15603658/

貝塚の片隅でひっそり、細々と続くこのブログの読者の中にあのドラえもんのアニメの関係者がいて、院長を驚かせようとテレビ局の上の人を説得したんではなかろうか!

ドラえもん、ブログに最高のネタを提供してくれてありがとう。

笑ってはいけないとどちらを見るか、家族会議です。

タイトルもいつもの耳を疑ったシリーズとは格が違うので、別枠にしておきました。

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生ワクチンと不活化ワクチン その3 ワクチン総括

生ワクチン、不活化ワクチンいずれも接種によって、免疫が0➡︎100に上がるものではなく、回数を重ねて数字を積み重ねていくイメージを持ちましょう。

かかりやすさ、かかった時の症状の重さを100から引き算していく感覚でもよいでしょう。

一人が接種して個人の免疫のパワーをupさせるだけでなく、多数で接種して集団全体のパワーをupすることで 飛躍的に効果が高まります。

水痘(水ぼうそう)ワクチンが無料化されて、3歳以下の数百万人がみな接種するようになり、数年で全国での発生数が1/3程度まで猛烈なスピードで減少しています。

それまでも自費で接種している少数の子ども達はいて、その個人達は罹患や重症化から守られていましたが、集団全体の流行の抑止には全くなっていませんでした。

いかに、「みんなで接種することが大事」かということが分かります。

 

車の運転や交通事故に例えてみましょうか。

ワクチン接種をすることは、自家用車に自動ブレーキや踏み間違い防止機能、ハンドルアシストなどの安全機能を追加していくと考えましょう。

ワクチンで防げる病気にかかるというのは交通事故にあってしまう、起こしてしまうということです。

自分の車にオプションがつけばつくほど事故に会う確率は減ります。

さらに周囲の車全てにオプションが装備されるとどうでしょうか。

より事故にあう可能性が減ることが分かりやすく理解できます。

 

ワクチンを推し進める最終のゴールは以前にも書いたように、感染症の原因微生物そのものを地球から排除することです。

麻疹、ポリオあたりはある程度のところまでは来ていますが、まだ根絶までには道のりが長く残されています。

正しい知識を広め、接種率を上げることは小児科医の大事な仕事の一つであります。

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