新しい骨粗しょう症の薬 「プラリア」

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まもなく「骨粗しょう症」に対する新しい薬、「プラリア」が登場します。 これは今までの「骨粗しょう症」の薬とは全く異なる作用機序の注射薬で、特定の分子に結合する抗体、いわゆる「生物学的製剤」です。

「関節リウマチ」の治療に「生物学的製剤」が使用されるようになり、今年で10年経ちますが、ついに「骨粗しょう症」という日本人女性のほぼ全員が将来かかる可能性の高い病気に「生物学的製剤」が応用されるようになりました。実はこの「プラリア」ですが、昨年からすでに「ランマーク」という別名で用法は異なりますが、別の病気に使用されています。その病気とは「乳がん、前立腺癌、肺がんなどの骨転移」です。

少し驚いたかもしれませんが、なぜ「がんの骨転移」のような激しい骨破壊を防ぐ薬として使えるのでしょうか?それぐらい骨を溶かす(骨吸収)犯人である「破骨細胞」を抑える働きが強いからなのです。「破骨細胞」は血液の中にあるマクロファージという白血球の仲間の細胞から分化(成長)して産まれます。その時にRANKLという分子が細胞に結合する必要があるのですが、この薬はそのRANKLに直接結合しブロックしてしまうので、「破骨細胞」が産まれなくなります。

作用機序から考えても、かなり強力な薬なので、病気に合わせたさじ加減が必要になります。「がんの骨転移」に使用される「ランマーク」は4週間に1回の注射ですが、「骨粗しょう症」に使用される「プラリア」はその半分の量を、しかも6ヶ月に1回の皮下注射なのです。

現在「骨粗しょう症」に対する薬には、骨を溶かす「骨吸収」を抑える作用と、骨を作る「骨形成」を高める作用の2つのはたらきがありますが、この新しい「プラリア」は前者の作用のみを強く持つ特徴的な薬といえます。したがって「骨粗しょう症」のなかでも特に「骨吸収」が原因で骨密度が低下している患者様には期待できる薬でしょう。また「関節リウマチ」の骨関節破壊を直接抑える効果も期待されていますが、こちらはまだ認可されていません。

今後も新しい薬の登場が続きますが、どの薬が最適なのかは患者様ごとに当然異なります。まずは「骨粗しょう症」のタイプを診断し、再現性のある方法で体幹骨(腰椎と股関節の大腿骨)の骨密度を測定しながら治療効果を判定することが重要です。当院では患者様に最適な治療を提案できるよう検査設備や治療薬を常に準備しています。診察室でお気軽におたずねください。