月別アーカイブ: 2014年1月

病院でのリウマチバイオ通院事情

開院当初から当院はリウマチ専門クリニックとして、点滴の生物学的製剤を安全に効率よく使用するため、管理薬剤師と迅速血液検査器械を備えた外来化学療法室を整備運営してきました。今月から、関節リウマチ患者様にご利用いただいている点滴リクライニングチェアーを3台に増設し運用しています。

現在、関節リウマチでは7種類の生物学的製剤が治療に適用され、そのうち6種類には皮下注射製剤が用意されています。しかし効果を十分に得るために患者様の体重に応じた使用量や投与間隔を調整できる点滴製剤を敢えて選択することもあります。私も新しい皮下注射製剤が増えてきた2-3年前からは、点滴製剤は需要が少なくなるのではと考えていましたが、実際には点滴製剤でないと効果が得られない患者様も多いことが最近わかってきました。

大きい病院ではリウマチ以外の患者様にも外来化学療法室が広く利用されていますので、「外来予約が相当混雑し都合に合わせた受診が難しい。」というお悩みも他からよく耳にします。当院では土曜日の午前中を含む全ての診察時間帯で外来化学療法室を運用しています。また点滴開始前には貧血、肝機能、腎機能、炎症に異常が無いか、院内迅速検査で結果を当日に確認しますので安心です。「バイオで寛解状態を維持しているけれど、通院事情に無理があり不便だ。」と感じられる方は、他病院に通院中でも、今の主治医の先生に一度ご相談されてみては如何でしょうか?近畿地区のリウマチ専門医の先生であれば、私と今までのお付き合いが深い先生かも知れません。

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高齢のご家族を骨折の危険から守るため、今できること。

私が2年前まで整形外科勤務医をしていたときのお話しです。毎日散歩もされていた元気な70歳の女性が偶々ご自宅で転び右の大腿骨を骨折されました。手術を受けリハビリの後、やっとご自宅に帰られたと一安心していたら、2ヶ月後に今度は反対側、左の大腿骨骨折で再度入院手術になってしまいました。つまずいて転ぶ、年をとれば誰でもあることでしょう。でも「打撲うちみ」で何もなく過ぎるのか、「骨折」して入院手術3ヶ月のリハビリでやっとの事で帰宅してもご家族の介護が大変。いったいこの違いはどこから来るのでしょうか?
「骨粗しょう症」のほとんどは最初「痛み」などの症状がありません。年々わずかに身長が低くなる程度です。今まで骨密度の検査をしたことのないご高齢の方が、少し背中が曲がってきたと感じていたら、すでに背骨が数カ所圧迫骨折を起こしていることもよくあります。このような場合は1-2年の間に早急に骨密度を改善する必要があります。いつ転んで他の骨折を起こすやもしれません。
骨密度を改善し骨折を予防する。そのためのお薬はそれぞれの患者様の現状で選択が分かれます。前述のような骨折の危険性が高い場合は、テリパラチド(テリボン・フォルテオ)という注射薬をお勧めしています。1割負担でも月6000円程度かかる高価なお薬ですが、その骨折予防と骨密度改善効果は多くの患者様で実証されています。毎週の通院か自宅での自己注射のどちらかになりますので、はじめて受診されるご高齢の方は是非ご家族とともにお越しいただければ幸いです。詳しくは当院ホームページ「骨粗しょう症」でも説明しています。どうぞご覧ください。

http://www.rinku-ra.com/treat/guide01.html