Vol.3 日曜診療

平成24年11月に開院10周年を迎え、これを記念して日曜診療を始めました。当院の周りには保育所が多く、夜診の終了間際や土曜日に受診が集中します。働きながら子育てをされているお母さん達のご要望が多かったことがきっかけです。

日曜診療を始めたら、友人の小児科の先生から、「そんなに働いて大丈夫?」とご心配いただきました。確かに、小児科勤務医としての体力の限界が開業に踏み切るきっかけのひとつでした。

でも、勤務医時代の20年間も日曜日はあってないようなものでした。オンコールに備え、常にポケットベル(携帯電話ではありません)を持ち歩いていました。ベルが鳴る前に予知できる特殊能力が当時の私にはありました。 

子どもの病気が少なくなり、日常診療の中で予防接種や健診、育児相談の占める割合が増えてきました。日曜日であればお父さんも一緒に診療所に来ていただけます。車での送り迎えもしていただけます。小児科医にとってご夫婦そろっての育児参加ほど嬉しいことはありません。そのうち日曜診療が小児科診療所で一般的になるかもしれません。

当地で生まれ育ち60年あまり。枚方市は本当に素敵な街だと思います。有効な手だてもなく少子化が進む中、“小児科医の日曜診療”が枚方市の“増子化対策”の一助になることを夢見ています。


Vol.2 みんなで育てよう

お母さんにとって、出産後初めて赤ちゃんを胸に抱っこされた時 の感動は例えようがないほど大きいものだったでしょうね。きっと「生まれてきてくれてありがとう」と母子手帳に書き込まれたことでしょう。
でも、子育てを始めてからの心配や不安はどうして生じてくるのでしょうか?「失敗したらどうしよう」と思ったり、「うまく育たなかったら自分の責任だ」などと自分を責めてしまいがちなのは、「もっとがんばらなくては」という意識が強すぎるためかもしれません。インターネットや育児書、育児雑誌などの育児 情報に振り回され、その結果、悩み・心配・不安を抱えてしまったお母さんもたくさんいらっしゃいます。
子育ては本来楽しいものです。赤ちゃんの顔をのぞきこんで笑ってみてください。赤ちゃんはきっと嬉しそうに笑うでしょう。そうするとお母さんは嬉しくなるでしょう。そう、子育ては愛のキャッチボール、心の交流なのです。与えることで与えられる。お母さんがお子さんと一緒にいることを幸せに思えばお子さんも幸せな気持ちになれるのです。
完璧な子育てなんてありません。いい育児をしようとがんばりすぎると、この“幸せ”をお子さんに与えることができませんし、お子さんから“幸せ”を与えられることもなくなってしまいます。
子育てはお母さんひとりでできるものではありません。子育て中のお母さんの周りにはたくさんのサポーターがいます。お父さん、おじいちゃんやおばあちゃん、お友達、保健師さんや保育士さん、地域の子育て支援をしている団体、そして私達小児科医。子育てに疲れたり、不安があれば遠慮なく人に頼ってください。だって、子育てをしているお母さんが幸せになることが私達子育てサポーターの幸せなのですから。
お子さんが成長された時、あなたが記録された母子手帳をぜひ見せてあげてください。お子さんはきっとあなたにこうおっしゃると思います。
「お母さん、私(僕)を生んでくれてありがとう。」


Vol.1 Love You Forever

すてきな絵本があります。ロバート・マンチ作ラヴ・ユー・フォーエバー。
子育てに悩んだとき、ぜひ読んでみてください。
子どもはありのままの自分でーたとえ良い子にしていなくてもー愛されることが必要です。細かいこと、むずかしい理屈はいりません。

愛していると言ってあげること、そして優しく抱きしめてあげること。
子どもの成長に合わせて、そっと支えてあげればよいのです。

アイ・ラヴ・ユーいつまでも
アイ・ラヴ・ユーどんなときも
わたしが いきている かぎり
あなたは ずっと わたしのあかちゃん

だいじょうぶだよ、お母さん!
この気持ちがあれば子育てはきっとうまくいきますよ。

『ラヴ・ユー・フォーエバー』岩崎書店(出版社)ページ