バベルの塔① ロプロス篇

コーンピューターに守られた♪バベルの塔に住んでいる♪超―能―力少―年、バベルー2世-♪
中年のみんな!覚えているかな?
今回は、「私たちはすでにバベルの塔に住んでいるのかもしれませんよ?」というお話です(都会のタワーマンションのことじゃないよ!これから固定資産税、高くなるらしいね!)

高度乏精子症や無精子症といった、重症の男性不妊症の患者さんによく聞かれる質問があります。
「精子が少ない原因は、遺伝ですか?」
お父さんが重症の男性不妊症であり、それが息子である患者さんに遺伝したのだろうか?というご質問です。

現在、答は明確に「NO」と言えます。なぜなら、お父さんが重度の男性不妊症であったとしても、その時代には有効な治療方法は存在しなかったので、子供が生まれることはなかったからです。

つまり、息子さんが生まれてきたということは、お父さんは重度の男性不妊症ではない、ということができます。さらに拡大して言えば、お父さんが正常であった場合でも、息子が重症の男性不妊症になることが一定の確率でありうる、ということになります。

では、男性不妊症の患者さんから生まれた息子さんは男性不妊症になるのでしょうか
これまでは考える必要のなかった問題ですが、昨今の生殖医療技術の進歩により、重症の男性不妊症の患者さんでも挙児が得られるようになって20年以上が経過した現在、にわかに注目されるようになってきました。

その疑問にヒントを与える論文が先日、発表されました。
(バベルの塔② ポセイドン篇に続く)


本日のエビデンス①

いちおか泌尿器科クリニックは小さな診療所ではありますが、診療は世界標準であらねばならぬと思っておりまして、日頃より情報のアップデートを心がけています。海外の学会から毎月論文雑誌が送られてくるのですが、それらを日々せっせと読みこなすわけです。

本日は皆さんにも興味を持って頂けるような最新論文を一つ、ご紹介しましょう。今後も定期的にご紹介するコーナーにできたらいいな(いつまで続くかな?)

Fertility and Sterility 2016 Mar, 105(3):629-36
Increased risk of incident chronic medical conditions in infertile men: analysis of United States claims data.
「慢性的な病気を持っていると、男性不妊症になる確率が上がる」というアメリカからの報告です。

3万5000人以上のデータベースを検討したところ、
糖尿病 1.3倍
虚血性心疾患 1.48倍
アルコール中毒 1.48倍
薬物中毒 1.67倍
男性不妊症になるリスクが上昇するそうです。

実際、毎日患者さんを見ている中で、男性不妊症の患者さんにはいわゆる慢性病をかかえておられる方が多いように思われます。皆さん、とりあえず、院長と一緒にダイエットしましょう!

 


遺伝カウンセリング外来が始まります!

男性でも女性でも、不妊症の原因の一つに、染色体や遺伝子の異常が挙げられます。
当院の男性不妊症外来でも、高度乏精子症や無精子症といった重症の方には遺伝子検査を行っていますが、
異常が見つかったらどうしたらいいの?
不妊治療をあきらめなければいけないの?
子供に影響が出る可能性は?
など、患者さんは不安や疑問がいっぱいです。
疑問や不安な気持ちを解消するには、正確な情報が必要不可欠です。

認定遺伝カウンセラーという資格があります。多くの遺伝子異常に精通し、正確な情報を患者さんに伝え、解決策を提案することができる唯一のプロフェッショナルです。

当院は9月より、認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリング外来を始めることになりました。ご希望の方はお電話にてお問い合わせください。完全予約制になります。


院内で英会話教室を開講しました!

どういうわけか、当院には外国の方がよくお越しになります。京都は観光都市でもあり学術都市でもありますので、観光で京都にお越しになって病気になられた方や、留学生や研究者の方が来られたりします。おそらくホテルの方が、「あそこに行ったら何とかなる」とか言って下さっているのでしょうね。

外国の方が来た!と慌てているようでは、世界標準をうたっている当院としては恥ずかしい限り。そこで、当院に外国人講師の方をお呼びして、スタッフ向けに院内英会話教室を開講することにしました!

IMG_1862私の肝いりでスタートしたこの企画(だからか?)、スタッフは全員参加しています。でも、みんな楽しそうにしていますよ。今週からは上級者向けコースも開講の予定で、とうとう私も参加することになってしまいました。。。

今まではいつ行っても受付は開いているクリニックだったのですが、研修中は受付も閉じることにしました。火曜日と木曜日の午後に行っています。ご迷惑をおかけします。

しかしながら、英語が話せる方でしたら何とかなるのですが、日本語も英語も話せない方が来られたりすると、相変わらずテンヤワンヤになるのですが。。。そんな人はいないだろう、と思うでしょ?意外といるんですよこれが!敬意をこめて、チャレンジャーと呼んでいます。


京都・四条のぼったくりクリニックにご用心!

先日、京都・四条の某クリニックにて、「精液の中に動いている精子がほとんどいない」と言われ、精巣から直接精子を採取する手術を受けさせられたという患者さんが、「本当に手術が必要だったのだろうか?」と、いちおか泌尿器科クリニックに来院されました。
精液検査をしたところ多数の運動精子が存在し、その他諸々の検査結果も総合して、どう考えてもそのような手術をする必要は全くなかっただろうことが判明しました。40万円以上のお金を支払われたそうです。

その他にも、同じ某クリニックにて「精索静脈瘤があるから手術が必須」と言われたという方々が、当院や京大病院に受診した結果、精索静脈瘤が存在しないことが判明した例が複数報告されています。

この某クリニックに関しては、以前から同様の苦情が多数寄せられており、大阪や神戸の私の友人の先生方からも、学会でお会いするたびに「京都は先生のお膝元だろうに、そのようなぼったくりクリニックを放置するとはどういうことや!」と叱責されるほど、事態は悪化しております。

患者さんからの情報によれば、某クリニックの院長先生は、日本で一番多くの手術を手掛けており、日本一の技術を持つと豪語しておられるようです。実際には生殖医療専門医でもなんでもなく、学会でもお顔をお見かけしたことはなく、これまで誰もその存在を知りませんでした。京大出身ではありますが、同門会からは破門となっています。

同業者を悪く言うのはこれまでずっと我慢していたのですが、かわいそうな患者さんが多数おられる現状を鑑み、あえてここでお伝えする次第です。
皆さん、くれぐれもお気をつけください!

 


手術見学の先生方が来院!

先日、学会で講演した時のご縁で、手術見学の先生方が当院に来て下さいました。

まずは藤末先生。藤末先生は大阪医大出身の新進気鋭の若手の先生です。私は以前よりよく知っておりましたが、もうすぐ開業されるとのことで、このたび手術の見学に来て下さいました。
すっかり話し込んでしまい記念写真を取り忘れたので、顔出しはナシです。
ゴメンね!藤末先生。まあ、お近くですのでまた飲みに行きましょう。

その翌週、桐友クリニック新松戸の塚本先生と看護師さん達が、千葉県よりはるばるお越し頂きました。ありがとうございます。
この日は精索静脈瘤手術2件、TESE1件を見学されました。
夜は増田先生、寺田先生を加えて祇園にくり出し、生殖医療談議に花が咲きました。

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さて、精索静脈瘤の手術を日帰りで、無痛で安全に行うためには少々のコツが必要です。この手術方法が全国に広まって、手術を受けてもらえる患者さんが増えて、精子が増え、子供が増え、日本の人口が増えたらいいなーと、本気で考えています。
手術方法は教えましたからには、必ずや各地で実践していただけると信じています。藤末先生、塚本先生、お願いしますね!


日本泌尿器科学会総会@仙台 に参加してきました。

先日お休みを頂きまして、仙台で開催されました日本泌尿器科学会総会に参加して参りました。
大会主催の東北大学の荒井教授より直々にご指名を頂き、シンポジウムでの講演と、自院でのデータをまとめたポスター発表とを行いました。
シンポジウムでは「男性不妊症の実地診療を再考するー男性不妊症外来を標榜する開業医の立場から」と長すぎるタイトルの講演を行ってきました。

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私の話なんて、誰も興味を持たないのではないかと気楽に臨んだのですが、講演の後、見学希望の先生方からお声がけを頂き、意外に好評だったようです。ありがたいことです。
今回はスライドの作成に、シマダデザインの嶋田花織さんのご協力をいただきました。ありがとうございます!請求書送ってください!
講演の謝礼として、学会特製のクオカードを頂きました。このカードは使いにくいですよ、荒井先生!泌尿器科学の道、と書いてあります。尿道ですか!

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翌日、「日帰り顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術の精液所見の改善と妊娠予後の解析」と題したポスター発表を致しました。

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結論は、
「精索静脈瘤手術を受けた後は、一般の人が自然妊娠するのとほぼ同等の確率で妊娠することが可能である」
というものです。すごいでしょ?データとしてまとまると、説得力が増します。
今回は学会にどっぷり参加しましたが、それでも名物の牛タンはこっそり2回も食べましたし、大阪医大の若手の先生方との飲み会も楽しかったですし、帰りは噂の「はやぶさ+こまち」に乗りましたし、充実した仙台初体験でした。

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子供は何人ご希望ですか? その②

昨今の晩婚化に伴い、男性不妊症外来を受診される患者さんの年齢も上昇気味です。
ここで私が声を大にして言いたいのは、「結婚したら、すぐに家族計画を立てよ!」です。

例えば、将来は子供2人欲しいと思っている30歳の新婚カップルがいるとします。
まだまだ二人の時間を過ごしたい、と何も考えずに3年間イチャイチャ過ごして33歳。
そろそろ子どもをつくろうか、と妊娠するまでに1年。出産までが1年、子供が1歳になるまでに1年、まだまだ次の妊娠なんて考えられない、とさらに1年。。
おやおや、気がついたらお父さんお母さん、37歳になっていますよ!

単純に考えて、次の子供をつくる気になるのに3-4年はかかると思ったらよいでしょう。第2子、第3子のことまで考えると、うかうかしている時間は意外にありません。悲しい現実ですが、若い人の時間はあっという間に過ぎ去ってしまうのです。

後悔先に立たず。結婚したらまず、子供は何人欲しいのか、よく話し合ってみて欲しいです。それから逆算して、今するべきことを考えて、行動に移してほしいと思っています。

そのためにも今日も伺います。「子供は何人ご希望ですか?」


子供は何人ご希望ですか? その①

男性不妊外来を受診される方に、必ずお伺いする質問があります。
ズバリ「子供は何人ご希望ですか?」

皆さん、一様にちょっと戸惑ったような顔をされてから、笑顔でお返事してくれます。
「え、とりあえずは一人目から」 (そらそうですよね)
「2人ぐらいですかね」 (無難な回答ですね)
「3人以上は欲しいです!」 (男前です)

なぜこのような質問をするかというと、
「何人子供を希望するのかによって、治療方針が変わってくる」からです。

具体的に説明しましょう。

昨年、Human reproduction誌において発表された論文によりますと
子作りを開始するべき女性の年齢について

あくまで自然妊娠にこだわるなら
1人だけなら32歳以下
2人なら27歳以下
3人なら23歳以下
から積極的に取り組めば、90%の確率で目的を達成できる

体外受精も視野に入れてもいいのであれば、
1人だけなら35歳以下
2人なら31歳以下
3人なら28歳以下
から取り組まなければならない、とされています。

どうです?皆さん、認識が改まったのではないでしょうか?


手術研修

当院では、男性不妊症に対する顕微鏡手術の技術習得のため、若手医師の研修制度を設けています。これまでに3人の先生が1年間かけて技術を習得して巣立っていきました。

では、昨年度の若手の先生をご紹介しましょう。まずは、現在は京都市立病院で勤務されておられる、砂田拓郎先生です。

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砂田先生は、やる気満々の若手のホープ、灘高校卒業、京都大学医学部卒業の私の後輩、現在独身、彼女募集中です。当院では「タッチ」とあだ名されていました。京都市立病院で引き続き頑張っておられますので、イザという時に頼れる後輩です。

次は、才色兼備、女性泌尿器科医の先生です。

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先生は、京大泌尿器科には珍しい女性の先生です。手先が器用で、繊細な手術をなさっておられたのが印象的でした。ほとんど教えることがないぐらい上手でしたね。将来は彼女ならではの診療をなさることを期待しています。現在は奈良県の雄、天理よろず相談所病院でご勤務されておられます。

そして、今年も4名の修練医の先生方が研修をしておられます。京都大学、及びその関連病院で研修中の修練医で、ご興味のある先生はお気軽にご連絡くださいね。