京都新聞連載 「気付いてほしい男性不妊」 全8回一挙公開 第7回

京都新聞6月11日付朝刊

⑦「子づくりED」

女性にとって子どもは「つくる」ものであっても、男性にとって子供は「できる」ものであります。女性にとって、子どもを望むのは本能的なことなのかもしれませんが、男性にとってはそうではないようです。「母性」は子どもができる前からありますが、「父性」は子どもができてから育まれます。

つまり、男性と女性ではそもそも子づくりに対する姿勢に温度差があることが多いのです。これが、時に夫婦の問題に発展することがあります。

一例をあげますと、不妊治療の一つに「タイミング療法」というものがあります。妻の排卵日のタイミングに合わせて性交することで自然妊娠を狙う作戦です。お金もかからず有効性も高いので、不妊治療で第一に勧められる方法です。

しかしながら、これが夫にとって重荷になることがあります。妻は思い入れを持って排卵日に待ち構えていても、夫はそんなことはつゆ知らず、夜遅くに帰ってきます。今日は排卵日だからと言われ、無理に性交しようとしますがうまくいきません。妻の失望、落胆は大きく、夫につらく当たります。翌月、妻は今度こそと思っていても、夫は先月のこともある上に妻の期待も強く、プレッシャーからなかなか思うようにいかず、さらに悪循環へと陥ります。

この「タイミング療法」を契機とした男性の性機能障害(ED)の患者が急増しています。そもそも「タイミング療法」自体が男性にとって無理なのではないか、とすら思えてきます。「妻が嫌だ」「セックスはしたくない」「もう子どもなんていらない」―。診察室ではそんなことを言う夫も多いのです。それでもまだ、妻は子どもをつくろうと必死になっています。

不妊治療に非協力的な夫も困りますが、あまりに熱心になりすぎて夫が見えなくなっている妻も困ります。これでは赤ちゃんはなかなかやってきてくれません。子づくりは、夫婦仲がよいことが大前提です。夫は妻の気持ちを支えないといけませんが、妻にも夫の気持ちを理解してもらいたいです。

 

「タイミング療法」による性機能障害(EDの対処法

  • 勃起補助薬を使用してみる。
  • 人工授精をする。子づくりのための性交をやめる。子どもは人工受精で、と割り切る。そうすれば、子づくりのプレッシャーがなくなる。