風疹 10月5日

風疹の大流行が少しおさまってきました。図1に神戸市の風疹発生状況をお示ししました。これをみると分かるように神戸市では今年、310人(9月18日現在。なお全国では8507人と報告されています)と例年に比べて本当に多くの患者さんが発生しています。月別にみると4月から7月にかけて多くの発症がみられました。また年代的には20歳~40歳代に多いこと、それも男性に多いことが特徴でした。

神戸市の風疹
図1 神戸市のホームページより

何故、男性に風疹患者が多いのでしょうか、それは我が国の風疹予防接種の歴史をみるとよく理解が出来ます。
風疹ワクチンは、我が国では1976年から接種が開始され、 1977年からは中学生の女子だけを対象とし定期接種となりました。1994年の予防接種法改正で1歳以上の男女幼児に定期接種が開始されました。つまりこれから明らかなように1993年以前に生まれた男性は風疹予防接種を受ける機会に恵まれなかったというのが実情なのです。そうして1993年以前に生まれた男性が今、20歳から40歳代になったのですが、この人達は予防接種を受けていない一大集団となって存在しているわけです。これを裏付けるように20歳~40歳代の男性では抗体保有率が低いのです(図2 国立感染症研究所のホームページから引用)。ですから20歳~40歳代の男性に風疹発症が多いことは、至極当たり前なのです。

男女別風疹抗体価
図2 20~40才台の男性の抗体保有率は低下
(国立感染症研究所のホームページから)

ところが問題はこれだけではありません、更に困ったことがあるのです。それは妊娠初期の女性が風疹に罹患すると、胎児感染により白内障や緑内障などの眼症状、先天性心疾患、感音性難聴などの症状を呈する先天性風疹症候群(CRS)を引き起こすことがあるということなのです。歴史的には1965年、沖縄の風疹大流行において408人にのぼるCRSの子どもさんが生まれたことが知られています(写真1 朝日新聞digitalから転載)。現在、昨年の秋以降で19人の先天性風疹症候群(CRS)の子どもさんが生まれていることが報告されています。

朝日新聞デジタル
写真1 朝日新聞digital転載させていただきました

風疹は古くて新しい問題ある感染症です。もちろん風疹そのものは予後良好な疾患ですが、大人が罹るとそれなり大変であります。加えて先天性風疹症候群(CRS)の心配もあります。これを解決・克服するには予防接種が最良の選択であると言って良いでしょう。血液検査で抗体検査を受け、陰性または低抗体価(HI抗体価16倍以下)であれば、風疹ワクチン接種が勧奨されます。もちろん血液検査を省略し、予防接種を受けられても問題はありません。
なにしろ風疹は予防接種で阻止できる疾患、VPD(Vaccine Preventable Diseases)なのですから(図3 松戸市のホームベージから引用)。

松戸市VPD
図3 VPDとはワクチンで防げる病気
(松戸市のホームページから引用)