燈火親しむ頃 11月29日

急速に朝夕が寒くなり、今年は本当に秋が短く終わってしまいそうな情勢です。公園の木々も黄色い落ち葉を落とし、茶色の土は見えなくなっています(写真1、2)。まもなく師走を向かえることとなり、町も人も急に慌ただしくなってくることとなるでしょう。

この時節を晩秋ととらえ、燈火親しむ頃の時間を創りあげるようにしました。普段は触れることが少ない医学以外の一般書籍を片端から読破し(中には斜め読みもあり)、溜まっていた未読書籍の一掃を試みました。原発関係、趣味の本、小説、エッセイ等々を読み漁りました。ところが医師という職業人には常に医学書の精読が強要されています。それは日進月歩の医学の進歩についていかねばならない、そのためには常に新しい医学文献を読まねばならないという現実があるのです。つまり本を読んで新しい知識を習得しなければ「患者さんに十分な医療が提供できない」という壁に突き当たるのです。というわけで今回はインフルエンザに関する新しい知識を文献で読みましたので、これを少しだけ紹介します。

家族の中で最初にインフルエンザ(以下、インフル)にかかった人が乳児の場合、その家の家族が感染する率は12.7%でした。ところが最初にインフルにかかった人が学童の場合、その家族が感染する率は7.8%と低い傾向がありました。これは初発患者が乳児である場合、①隔離が困難であること②免疫力が弱いこと③治療効果が低いため、というハンディキャップが乳児にはあるために他の家族に感染させやすいものと推測されています。

次に興味深い話として「インフルの治療薬剤については、どれが最も即効性があるか」についてであります。現在、抗インフルエンザ薬には4種類ありますが、この4薬剤については治療効果に違いがあることが示唆されています。治療効果の評価に「薬剤投与から解熱までに要する時間」を用いて分析したところ、最も短かったのは注射製剤でありました。つまり注射が最も即効性があることが示されています。しかし、そうであるとしても注射をインフル患者全員に実施することは、現実的にはあり得ません。結局、一人一人に良く考えて最善と思われる薬剤を選択することが重要なことになるでしょう。

ところで自宅で勉強するだけではなく、気分の転換も兼ねて外出し講演会に赴きました。出かけたところは5歳児の発達相談診察研修会であります(図1)。そこで神戸大学教授の高田哲先生の講演を聴きました。ここ2、3年、発達障害の考え方には進展があることがわかり、なかなか興味深いものでした。私なりの言葉で纏(まと)めますと昔にくらべて発達障害については世間の理解が得られるようにはなっているでしょう。また発達障害に対する治療については科学的によいと証明されたものはないということを聴き、心が動かされました。誰しもが注意深くこどもさんの言行動に対して愛情もって観察すること、また良いと思われることを母親とともに試みていくことの重要性を理解することができました。

晩秋の午後の半日を有意義に過ごしました。

1キャプチャ
写真1 公園の木々

2キャプチャ
写真2 川の横の木々

3キャプチャ
写真3 発達相談診察研修会