学術セミナー 2月16日

今日(2月16日・日曜日)、兵庫県医師会の主催する学術セミナーに参加してきました(写真1)。日曜日にもかかわらず、大勢の会員の参加がありました。私だけでなく、生涯教育が大事であると考える医師が多くいることがわかりました。

開会の挨拶で本セミナーが開催されるようになったいきさつが話されました。これは数十年くらい前におこった医療事件が「きっかけ」とのことでした。その事件のことは、私も知っております。昭和40年代に未熟児で生まれた赤ちゃんが保育器の中で酸素を与えられ、結果として未熟児網膜症を発症したというものです。これを治療する光凝固法という、その当時としては最新の治療法が残念ながら広く医師の間に知られていませんでした。そのため赤ちゃんが最新の治療を受けることが出来ず、未熟児網膜症になってしまうという不幸なことがおこったのです。そこで最新の医学知識を広く医師に普及させることを目的に、このような医師会主催による学術セミナーが開催されることになったということです。

今日、参加してあらためて多くの新しいことを学びました。ですからセミナーの目的が、少しは達せられたということになります。本当に内容のある講演ばかりでしたが、今回は県立こども病院の三好麻里先生がお話された若年性特発性関節炎についての報告を致します。

若年性特発性関節炎(JIA)というと何やら年長児に多い疾患のように思えます。たしかに関節炎と付いているので、子どもではなく高齢者の病気のようにも思いがちですが、そうではありません。子ども、いや赤ちゃんにさえ発症する病気なのです。

小児科の日常外来で親御さんとの会話でよくあるものに、(親)「足が痛い」というと(医師)「成長痛でしょう」、(親)「よく熱を出すんです」というと(医師)「そのうち丈夫になりますよ」というのがあります。この様にともすれば我々は数の多いポピュラーな疾患を考えて対応しがちです。ここで注意したいのですが、JIAという病気が潜んでいる可能性が(大変に少ないとはいえ)あります。

簡単にJIAについていいますと病型には全身型と関節型の二つがあります。全身型は3才および8才に発症ピークがあり、関節型は16才以降の女性に多いとされています。つかまり立ちが出来ない赤ちゃんが実は、JIAである可能性もあります。乳児には足の痛みを訴えることができませんので、医療者が気付くしかありません。ですからJIAの全身型は小さなお子さんの病気なのです。

また関節型のJIAは思春期に成長痛と言われ、診断が遅れるリスクもあります。JIAについてはまず医療者がこれを知り、疑って早期発見をするということが最も大切であります。早期診断、適切な治療により難病とはいえ、従来に比べて格段の進歩があるとのことです。

あすなろ会(本部東京)というJIAのお子さんを持つ、家族の会があります。同会のホームページによると「原因が解明されていない難病の症状や治療に対して、JIAの子供たちを取巻く諸問題に、前向きに取り組む活動をしています」とあります。

子どもさんの病気を正しく診断して治療を行い、子どもさんが明るい笑顔になるようにする、これが医師の勤めです。

帰り道、さすがに疲れましたので喫茶店に立ち寄り、ゆず紅茶とケーキで疲労回復を図りました。明日からの診療に備えて気力・体力を回復しました。

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写真1 学術セミナーのプログラム表紙

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写真2 ゆず紅茶とケーキ