耐性菌のこと 6月16日

最近、新しい作用機序を持った糖尿病の薬が登場し注目されています。SGLT2という名前で呼ばれている薬で数社から次々と発売される状況になっています。「インスリン作用を介さないで糖尿病に有効」ということで注目され、期待を集めているところです。先日、この新薬についての講演会があるので参加してきました。

何しろ新薬ですのでリアル・ワールド(現実世界)において多くの人に使われているわけではありません。ですから「副作用は無いのか、安全なのか、効果はどの程度なのか」と先ず素朴に思うところです。一部の講演ではQ&A方式を取り入れていました。演者の出す問題に対し、三者択一で解答を参会者が答えるという形式のものです。この際、アナライザーという器具が予め受付で配布され(写真)、この器械の数字ボタンを押して回答します。全員の回答が直ちに結果として発表されるというものです。これがなかなか面白いものでありました。それはリアルタイムで自分の考え・意見が他の多くの人と共有していることが確認できるからです。

ところで今回も興味を覚えたことが幾つかありましたが、そのうちのひとつだけを紹介します。それはSGLT2がもつ「尿路・性器感染症」という副作用についてであります。日常診療では尿路感染症の患者さんにはよく出会います。なかでも急性単純性膀胱炎は多く、抗菌剤にてすぐに治すことが可能です。原因となる細菌はほとんどが大腸菌によるものであり、治療は抗菌剤を内服することで通常よく治ります。ところが最近、大腸菌にESBL産生菌(Extended  Spectrum β -lactamase)という耐性菌があることが知られてきました。

EBSLは通常の抗菌剤(キノロン、第3世代セフエム、これらはよく処方されています)を常に漫然と第一選択として患者さんに投与していると誘導されてくる耐性菌なのです。つまり厄介なのです。EBSLに有効な抗菌剤はFOM,FRPM等であり、注意が必要とされるということが講演で話されました。つまりSGLT2の尿路感染症という副作用に留意する時においても、耐性菌ESBLには注意すべきということなのです。

糖尿病の新薬についての講演会でしたが、尿路感染症における耐性菌について学ぶこととなり、大いに刺激を受けることとなりました。

キャプチャ
写真 使用されたアナライザー