成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種 10月1日

予防接種法の改正により、本年の10月1日をもって成人用肺炎球菌ワクチンが予防接種法に基づく定期予防接種に組み込まれました。この新制度により65歳以上の人が肺炎球菌ワクチンを受けるときには4,000円の自己負担金を支払うだけで済むことになりました。本来、ワクチンの接種費用は8,000円なのですが、定期予防接種となったので費用の1/2、つまり4,000円を国(自治体)が助成し、残りの1/2を本人が自己負担で支払うというしくみになったのです。新しくスタートする制度であり、また制度の内容が少しややこしいため、皆様方に広く周知されるまでには時間がかかるかもしれません。そこで今回、本ワクチンの制度や意義について少し紹介してみます。

この成人用肺炎球菌ワクチンを受ける対象となる方は、主に65歳以上の人達です。ただ国(神戸市)の助成を受けるためには、条件があります。まず対象となる年齢です。表1に示されているように今年、65、70、75、80、85、90、95、100歳になる人々だけが助成の対象となります。今回接種対象とならない5年刻みの間にいる年齢の方々が、全て接種終了するのには5年間の歳月が必要となるわけです。また、年齢以外の条件として、これまで肺炎球菌ワクチンを受けたことがない人に限るということ、疾病のある人については60歳以上65歳未満の人でも受けることが出来ること、さらに自己負担が免除される人もある等々、煩雑な細則があります。ですから疑問点があれば詳しくは区役所、かかりつけ医などに問い合わせるとよいでしょう。現在、対象となる個人宛に接種をお知らせする葉書が1人ずつ郵送されています(写真1)。是非、有効期限内に受けるようにして下さい。

それでは何故このように大人、特に65歳以上の老年者・高齢者に対して肺炎球菌予防接種が勧奨されるのでしょう。それは高齢者が肺炎にかかると予後不良で死亡される方が多いからです。我が国において平成23年には肺炎による死亡の数がそれまで第3位であった脳血管疾患を抜いて3位となっております(図1)。

つい最近、土井たか子・元国会議員も肺炎で亡くなったというニュースがありました。老年者・高齢者にとって肺炎は、発症しますと急激な悪化がみられます。まさに高齢者にとっては命取りになる疾患なのです。そうならないため肺炎に対する予防対処法には、口腔内清掃、禁煙、過労を避ける、風邪をひかない等々・・・・色々あります。ただ、これらは実行が困難で効果も不明確です。これに対し予防接種ワクチンには確実な予防効果があり、医学的に有効性が証明されている手段なのです。このように有意義な予防接種が定期接種になったことに感動を覚えるところでもあります。

最後に注意しておきたいことに触れておきます。まず肺炎球菌ワクチンには大人用(ニューモバックス・写真2)小人用(プレベナー・写真3)の2つがあります。この両者を取り違え、誤接種をしないように診療現場では細心の注意を払っています。次に本ワクチンでは全ての肺炎を予防することは出来ません。このことに留意していただく必要があります。最後にインフルエンザ予防接種を先に受けた時は6日間以上あけて接種する必要があります。神戸市ではインフルエンザと大人用肺炎球菌の同時接種は勧奨していない様ですので御注意ください。

成人用肺炎球菌ワクチンは危険のないワクチンで大変有効です。神戸市から対象者の通知葉書を受け取られた方は、かかりつけの医療機関に問い合わせ、是非早めに受けるようにしましょう。

キャプチャ
表1 対象となる年齢 MSD社のパンフレットから引用

キャプチャ1
写真1 個人宛に郵送されてきた葉書

キャプチャ2
図1 主な死因別にみた死亡率の年次推移
厚生省の平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況から

キャプチャ3
写真2 成人用肺炎球菌ワクチン ニューモバックス

キャプチャ4
写真3 小人用肺炎球菌ワクチン プレベナー