冬の空 2月20日

散策しながらふと見上げれば、寒いどんよりとした冬の空が広がっていました。50年ほど神戸に住んでいますが、昔も今も神戸の冬空の印象は変わりません。六甲の山麓から打ち降ろすように流れてくる寒気を帯びた空気にも、さほどの変化はないようです。息を弾ませ、見上げて歩くと変わらぬ神戸の冬空に接することになります。しかし、その一方で町の風景は時の流れによって随分と変化しました。

大震災に襲われ、大きく街は変わったのです。以前は日の光を帯び、煌めいて遠望できた海も高いビルと高速道路に遮られてしまいました。対岸の紀伊半島も見えにくくなりました(写真1)。街を眺めて時の移ろいを感じ、散策で気分を変えたところで今日も机に向っております。

以前から気になっていた小児の滲出性中耳炎(otitis media with effusion:以下OME)について勉強してみました。

学校検診などでOMEを指摘される子どもさんが多く、また急性中耳炎のあとにOMEに罹ってしまい治るのに時間がかかったという子どもさんが多くいます。これまではOMEという疾患の定義・概念があまり明確でなく、また耳鼻科医師によっても診断・治療方針が様々でした。そのため、今ひとつわかりにくい疾患でありました。しかし本年1月に「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年版」が刊行され(写真2)、OMEについてのクリアカットな解説が紹介されています。まだざっと通読しただけですが、目からウロコでした(といっては言い過ぎか)。

まずOMEを「鼓膜に穿孔がなく、中耳腔に貯留液をもたらすが、急性炎症症状(耳痛や発熱)はない中耳炎」と定義し、その対応には耳鼻科医だけでなく小児科医も担当すべきとしています。OMEは多くの子どもさんがかかり、幸い大多数の人は3ヶ月以内に自然治癒します。しかし一部の人は治るのに1年以上もかかること、また難聴の最大原因にもなるため細心の注意が必要となります。小児科医もOMEを十分に理解し、保存的治療をする使命を持っているといえましょう。昔はすぐに耳鼻科の先生にお願いするだけでした。これからは社会全体でもOMEを十分に理解し、適切な対応をしていくべきと考えました。

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写真1 ビルと高速道路に阻まれた海
はるか向こうには紀伊半島が遠望される

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写真2 刊行されたガイドラインの表紙