産業医研修会 3月5日

以前も少し紹介しましたが日本医師会による認定産業医という制度があります。この認定産業医というのは、事業場において労働者の健康管理等について専門的な立場から指導助言を行う医師のことです。労働社会衛生法により一定規模の事業所には産業医の選任が義務付けられています(図1)。

医師が産業医になるためには、法律で定める一定の要件を満たさねばなりません。その要件を具体的にいいますと「研修会に参加し、必要な単位(50単位、つまり50時間の研修会出席)を修得せねばならない」というものです。それだけではありません。いったん産業医になっても、医師会などが催す研修会にその後も参加し、必要な研修単位(5年で20単位=20時間)を取得せねばなりません。研修会は全国各地で開かれており、何処の研修会に参加しても単位取得は出来ます。しかし、毎日多忙な身にとって研修会の出席は、正直結構きついものがあります。5年の資格有効期間が切れそうになり、慌てて遠方の研修会へ駆け込むということもあります。

今回、日曜の午後1時から4時過ぎまでしっかりと産業医研修会に参加してきました(図2)。講演は2席あり、どちらも興味深い内容で思わず時が立つのを忘れる程でした。特に2席目の兵庫医大・服部教授が講演された労働者における予防接種についての話には学ぶべきこと、考えさせられるところが多くありました。そこでほんの一部だけを紹介します。

昔、日本は四方を海という濠で囲まれた安全な城のようなものでした。ですから外国から入って来る感染症からも守られていたのです。しかし近年になって日本人の海外進出、また一方、外国人の日本流入が進みました。その交流の移動手段は飛行機、つまり速いのです。そのためあっという間に感染症も外国から輸入されてしまいます。つまり濠は埋められてしまったのです。昨年のデング熱はまさにその一例でありました。

さらに日本は感染症のリスクも比較的低い国です(ただ結核は、先進諸国の中で日本は未だに中蔓延国の状況)。しかし発展途上国では感染症対策は、まだ十分ではありません。日本人には馴染みの少ない感染症でも外国ではその発症リスクが高いのです。消化管感染症、呼吸器感染症さらにA型肝炎などの脅威が待ち構えています。そのため海外へ赴任する労働者の方々には、感染症の正しい知識情報および予防接種が必要です。情報収集にはインターネットの利用が便利です(厚生労働省検疫所 http://www.forth.go.jp/、 日本検疫衛生協会 http://www.kenekieisei.or.jp/ などがあります)。受けるべき予防接種の選択は赴任国によって若干異なりますが、破傷風、A型肝炎は積極的に考慮してよいでしょう。

貴重な日曜日の午後を休息に当てるのではなく、勉強に向けました。しかしその収穫は大きく、勉学意欲が駆り立てられるものでした。

キャプチャ1
図1 日本医師会ホームページより

キャプチャ2
図2 研修会のプログラム