東洋医学会に参加 3月13日

三寒四温、つまり寒い日があるかと思えば暖かい日がやってくる、そうして春が段々と近づいてくる、そんな季節になりました。

この少しばかり不安定な陽気の下、久し振りに学会出張で東京に出掛けてきました。出発地の神戸は春めいていたのに対し、東京は寒く小雨混じりのあいにくの天気でした。途中、新幹線から眺める富士山は頭に雲をかぶり、その全容を見ることは出来ませんでした。着いた東京駅も随所がリニューアルされ、様変わりしておりました。都内の知っている昔からある建物も、中に入れば随分とお店・内装が変わっていました。歳月の流れを感じるとともに人の多さには改めて圧倒されました。

学会の会場は旗の台にある昭和大学病院でした。実に40数年ぶりに再訪する病院で昔日の面影はありませんでした。会場に行くためJR山手線の五反田駅から東急池上線への乗換えをしようとしたのですが「おのぼりさん状態」でウロウロする有様でした。

参加したのは日本東洋医学会関東甲信越支部・東京都部会という(長い名の)学会です(図1、2)。テーマは「高齢者医療としての漢方」です。日曜日とはいえ100名近くの熱心な参加者がいました。四つの講演が用意されており、講師の先生方は整形外科、神経内科、泌尿器科、精神科の先生でした。つまり「漢方の実地臨床を専門科目の垣根を越えて勉学することができる」という貴重な機会なのであります。この意味で「なるほど、専門科目は異なっていても東洋医学的アプローチは共通していること」また「どの科の先生方もそれなりに苦労して臨床体験を積み重ねていること」が理解できました。

例えば「整形外科の患者さんが便秘で困っている時に下手に緩下剤を処方すると便が出過ぎてリハビリが不可能になる」ということは知りませんでした。また認知症に対し、抑肝散(図3)はよく汎用される処方ですが、これは本来「子どもの疳のムシ」を抑制するという意味での抑肝であることを再認識しました。抑肝散は認知症の薬剤だと短絡的な解釈をすることは適切ではないのです。もっとも小児科の現場では夜泣きの子どもさんに抑肝散を処方すると「認知症の祖父母と同じ薬だ」と親に言われて少し困ることがあります。ですからしっかりと抑肝散について説明する必要性があるのです。

日曜日の講演会に参加し、熱心な同学諸氏の学ぶ姿勢に共感することが出来ました。学びに熱心な方々に接すると、本当に心が感動に動かされます。「朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや」という孔子の言葉そのまま心境になりました(図4)。

日曜日に時間を割いて遠方にまで足を伸ばした甲斐がありました。

キャプチャ11
図1 日本東洋医学会のホームページから

キャプチャ12
図2 当日のプログラム表紙

キャプチャ13
図3 抑肝散 ツムラ社のエキス剤
(同社のホームページから)

キャプチャ14
図4  論語 朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや
(ウィキペディアより引用)