花冷え、そして桜満開 4月1日

三月の下旬は花冷えという言葉にふさわしい日々が続いていました。暦は巡り、四月となりました。テレビなどのメディアでは桜の開花便りが報じられています。とはいえ、まだ朝夕はよく冷え、エアコンの世話になっています。それでも昼休みに町へ散歩に出てみると汗ばむ陽気で思わずコートを脱ぎました。公園の桜は満開に近づきつつあり、穏やかな春の到来に感動しました。青い空を背に桜の花が眩しく輝き、その美しさには心が和みました(写真1)。日が沈み再び桜を観にいきましたが、夜気の中に桜は少し白く仄かに佇んでいました(写真2)。季節はまことに心地よい頃となったわけです。

さて、4月1日は新年度の始まりの日であります。新社会人、新入学生となられる人々は緊張しておられることでしょう。私も新しい気持ちで進んでいこうと身を引き締めているところです。このように気持ちを入れ替えたところで今回は予防接種の講演会に出かけてきました。テーマはB型肝炎ウイルスおよびロタウイルスのワクチンについてであります。初めて聞く最近の知見も多く、知らないことについて幾つか学ぶことができ大変勉強になりました。

まずはB型肝炎ウイルスについてです。約20年以上前からB型肝炎ウイルスの母子感染予防事業が実施されています。これによりB型肝炎の人は激減し、それなりの成果を上げました(図1)。しかし同事業はいわゆる垂直感染(母から子への感染)には有効ですが、水平感染(他人からの感染)には無力なのです。この水平感染によるB型肝炎は持続感染(いわゆるキャリア)となる可能性が高いというから厄介なのです。つまりキャリアとなった人は他の人へB型肝炎ウイルスを感染させてしまうのです。

ではどのくらいB型肝炎の人はどのくらいいるのでしょう。それを知るためにはHBc抗体という検査法を用いられます。同法で陽性ということは「過去にB型肝炎に感染した」ということを示しています。若い人を対象とした最近の研究でHBc抗体陽性の頻度は1.00%、つまり実に100人に1人がB型肝炎に感染したことがあるというわけです。これは衝撃的な極めて高い感染率です。言い換えれば小児の日常生活の中において水平感染が容易に起こっていると推察されるということです。これを断ち切るにはB型肝炎のワクチンが極めて有効です。つまり誰もが受けるべきワクチン(これをユニバーサルワクチンといいます)なのです。

次にロタウイルスワクチンです。数年前からようやく日本でも受けることが出来るようになりました。図2に示しますように外国ではロタワクチンの導入により患者数が激変しています。日本でもワクチン接種が広がれば諸外国と同様に患者さんの減少が期待されます。もっともロタウイルスによる消化器官症状は大部分の人において軽症で済みます。しかし一部の人でけいれん、脳症が起こり予後は不良な疾患です。以前指摘されていた脳重積との因果関係も否定的であり、安全性は確立されています。

以上のように両ワクチンは有効でしかも安全なのですが、まだ神戸市をはじめ多くの市町村においては公費助成になっていません。できるだけ、すみやかに誰もが受けられるように願ってやみません。

キャプチャ1
写真1 昼の桜

キャプチャ2
写真2 夜の桜

キャプチャ3
図1 減少しつつあるHBs抗原陽性率
Vaccine Digest 2012年12月第6号から引用

キャプチャ4
図2 ロタワクチンにより患者数が激変
ワクチン・ファクトブック 2012年より引用