春から緑の季節に 4月30日

桜が散り去り葉桜と変わり、六甲山の木々が美しい緑に映えてきました。所用があって東灘を流れる住吉川のほとりを歩く機会がありました。その辺りは普段、自動車を使って移動するだけなので景色をゆっくりと見ている暇はありません。しかし日曜日に余裕をもって散策してみると、六甲の緑、モノレールそして高層マンションの取り合わせ風景は美しい絵模様でした。特に今日は霧がかかっていたため、墨の絵のようでありました(写真1)。趣のある日曜日のひとときとなりました。

考えてみると日曜日といってもこのところほとんど学会や勉強会に参加することが多く、疲れが溜まり体力の低下を感じています。そこで一念発起し、最近ウォーキングを始めました。ここ1週間ばかりは1万歩近くを歩いており、体調は良好となってきています。というわけで今日は少しばかりCKDについて自習することにしました。

CKD(chronic kidney diseaseの略)とは慢性腎臓症という病気で最近、大変注目されています。このCKDという概念がアメリカで提唱されたのは、わずか13年前の2002年のことであります。それは米国腎臓財団が提唱した概念で、原因は問わず、慢性に経過する腎臓病(腎臓機能低下)を包括的に含む疾病です。急速にその概念が広まり、今ではCKDの早期発見と治療の重要性を啓発するために「世界腎臓デー」という日が毎年3月の第2木曜日に設定されるまでになっています。我が国でも現在、日本腎臓病学会によってCKD診療ガイドライン(図1)が作成され、医学界において広く周知されています。ガイドラインを具体的にいいますと

① 尿検査で蛋白尿が2プラス以上などの状態がある
② GFR(eGFR)が60ml/1.73㎡未満と低下している

このいずれか、または、両方が3ヶ月以上持続する状態をいいます。

しかしながら比較的新しい概念でもあり、また内科全般の疾患にわたり広く関係する疾患ですから、最初私自身も少し戸惑いました。しかしCKDに注目して患者さんに対処すると、CKDの方が多いことが分ります。特に糖尿病の方はCKDの方が多くおられ、CKDの悪化を阻止するために厳重な血糖低下が必要なことが痛感されます。また糖尿病の方だけでなく、高血圧の人にもCKDの発症が多いことが分かってきました。つまり先ほども少し触れましたようにCKDは糖尿病、高血圧という疾患に広くまたがって発症してくる疾患なのです。推定ですが日本では1300万人の患者さん(8人に1人の割合)がいるとされています。つまり大変な数のCKDの人がおられるのです。

さらにCKDについて重要なことは早期に発見し、血糖や血圧に対して適切な治療をすることによってCKDは改善してくるということであります。早期発見・早期治療により、改善が期待できるわけです。

ではCKDの診断についての当院で行なっている検査の現況について紹介いたします。まず血液でクレアチニンという物質を測定し、これからeGFRを算出します(eGFR 推算糸球体濾過値 estimated glemerular filtration rate)。計算式は複雑ですが身長・体重さえ分かればアプリを用いて簡単に算出できます。次に尿の蛋白量ないし微量アルブミン定量を測定します。このeGFRと尿中微量アルブミン定量の結果をもとに図1に照らしてCKDの診断をすることになります。

例えばある糖尿病患者さんにおいて『eGFRが64、微量アルブミンが72』となればCKDの黄色のステージということになります。このように患者さんに呈示すれば誰もがCKDについて分かり易く理解できます。ですから治療に前向きに進むことになるわけです。

キャプチャ5
写真1 薄墨色のたたずまい
六甲の緑、モノレールそして高層マンション

キャプチャ5.6
図1 日本腎臓学会 CKD 診療ガイド2012から