灘のだんじり祭り 5月18日

灘のだんじり祭りが今年も5月11日に開催されました。このお祭りは阪神淡路大震災の復興を祈願し、平成8年に初めて開催されました。灘区の数台のだんじりが一同に集合し、巡行する姿には正直大変おどろいたものです。今年は数えて第19回目となり、いわば5月における灘区の恒例事業となっています。今年は5台のだんじりが区内を巡りました。さわやかな風に吹かれながら、少しだけだんじりと一緒に歩いてみました。

まったく電気等の動力を使わずに人力だけで運行されるのが、だんじりなのです。これをひく人達のエネルギーは大変なものであります。子どもの時から自分の氏神さんのだんじり囃子の音色には慣れ親しんでいるため、他の氏神さんのだんじり囃子とは簡単に識別できます。5台のだんじりは囃子をかなで、しっかりと地域の中にとけこんで巡行しました(写真1、2、3)。いわば日本の原風景というような情景でありました。

さて気分を一転して、また日常生活へともどりました。気持ちのよい5月の風を吸い込み、そのあとデスクに向かって少しばかり東洋医学について勉強することになりました。

最近では医学部教育の場において東洋医学が医学部の学生達に教えられるようになっています。私の医学学生時代は「東洋医学の臨床教育はほとんど皆無といっていい状態」でした。東洋医学を本格的に勉強したのは医学部を卒業してからであり、ここ30数年間は自分なりに勉強してきました。とりわけ漢方薬については毎日の臨床の場でも研鑽しております。現在も各地で開催される勉強会に出来る限り出席するようにしています。ただ

①漢方薬は西洋薬と違い二重盲検法が困難なこと(そのために客観的な効果判定評価が難しい)
②服用しづらいこと(特に子どもさんは苦手?)
③誰にでもよく効くというものではないこと(効くには証を確実にとる必要がある)等々の理由で積極的な処方が敬遠されている様に思われます。それはともかくとして、今回大変よく効き多くの医師も推奨している処方を2つ御紹介いたします。

ひとつはアレルギー性鼻炎に有効な小青竜湯、もうひとつは「こむらがえり」に有効な芍薬甘草湯という漢方薬です。

まず小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。傷寒論(写真4)という大変有名な中国の医学書があります。この書物は漢の時代に発刊されたもので古典的な教科書です。同書のなかに既に小青竜湯についての記載があります。もともと喘息における去痰作用があることで知られている薬剤ですが、鼻アレルギーに対し鼻汁を排除する効果もあるのです。小青竜湯は特に水様性鼻汁によく効き、花粉症の季節になると鼻水に苦しむ多数の方々に処方されることになります。治療効果は大変高く、満足な結果が得られます。私自身も花粉症なのですが、服用すると20分ほどで鼻腔内が乾燥し鼻水が止まってくる効果を実感しています。

次に芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。本剤も傷寒論の中にすでに記述がみられ、昔からある有名な処方です。胃腸の強い痛みに対する処方ですが、今回は腹痛以外の効果について紹介いたします。それは芍薬甘草湯の「こむらがえり」に対する有効性です。朝方、床の中で急激に足の「ふくらはぎ」の筋肉が発作的に収縮し、大変な痛みに襲われた経験のある人は多いと思います。これは、いわゆる「こむらがえり」という病態です。痛いことこの上なく、発作後も足は痛みますし、また再発も多いので結構なストレスとなります。医学的には原因はまだはっきりと分かっていません。またその治療も確立されたものはないようです。

ところが芍薬甘草湯が「こむらがえり」にはある程度有効であることが、広く知られています。たしかに服用によって「こむらがえり」の発作から遠ざかることが可能となります。ただ本剤には時として偽アルドスラクン症という厄介な副作用の発症があります。ですから副作用の発現を考慮し、長期にわたって服用するというのではなく、こむらがえりのよく起こる時にだけ短期間で頓用することが推奨されています。漢方の薬剤処方においてもやはり患者さんとよく話し合い、治療を進めて行くことが大事というわけであります。

キャプチャ1
写真1 町の中を進むだんじり

キャプチャ2
写真2 大きな幹線道路を方向転換するだんじり

キャプチャ3
写真3 アーケードの中を進むだんじり

キャプチャ4
写真4 傷寒論 文政10年(1827)刊
くすりの博物館(http://www.eisai.co.jp/museum/curator/column/index.html)から引用