木曜日の昼下がり 5月29日

木曜日というのは、小規模な診療所で働く医療従事者にとって少し嬉しい日であります。というのは多くの診療所において午後から休診となるからです。木曜日の午後が休診という風習は、神戸市では広く浸透し定着しているようです。世間一般では土曜日は朝から完全に休みとなっています。しかし診療所では土曜日の午前は休むことはなく、午後から休むだけです。つまり診療所にとって木曜日と土曜日は同じく半ドン(午後が休みの早期終業)なのです。ですから木曜日の午前診療が終了すると、しばしの解放感に浸ることができます。木曜日の夜となれば講演会、コンサートまた映画館へと、それぞれの趣のままに足を向けることも可能なのであります。平日ということで比較的何処も空いており、土日・祭日とは違ったゆったり感を味わうこともできます。

というわけで、ある木曜日のことです。色々と所要もあって久し振りに大阪梅田にまで出掛けました。デパートの明るい吹き抜けの喫茶店に座り(写真1)、アイパッドで医学動画をみて勉強しました。また原稿を書き、はたまた居眠りをすると、たいへん有意義な時間を過ごしました。

今回、勉強したテーマはCOPD(Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略)についてです。その定義は、「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である」というものです。この定義だけでは何となく分かりにくいでしょうが、以前は、肺気腫、慢性気管支炎といわれていた疾患です。そうなのです、長年にわたり喫煙を続けた人が、年をとって咳・痰が出現し、また呼吸困難に陥ってくる病気なのです。最近ではCOPD は「肺の生活習慣病」といわれています。COPDの人は全国で40歳以上の8.5%(男性13.1%,女性4.4%)の人がかかっていると推測されており、潜在患者は530万人以上と考えられています。つまり患者さんは多く、死因の10位以内にも入っているのです。ただ治療を受けているのは、そのうち5%未満だけと少ないのが現状なのです(日本医師会ホームページ 健康の森)。

COPDという疾患については最近、多くのことが判明してきております。最近になって日本呼吸器学会からガイドライン(写真3)が出され広く周知されてきたため、一般の診療所でも対応可能となってきました。初めのうちは大した症状はないのですが、次第に進行し非可逆的、つまり気管支や肺が破壊され呼吸不全という状態になってしまいます。

COPDも早期診断・早期治療によってかなり病状が改善するものと期待されています。まず診断にはスパイロメトリーという検査法が必須であります。特に負担のある検査ではありませんので、気になる方、特に喫煙者の人は受けられるとよいでしょう。

次に治療の基本は吸入療法となります。その理由は吸入薬には副作用が少ないからです。ただ多種の薬剤があるため、少し難解な状態です。大きく分けて抗コリン薬とβ2刺激薬の吸入があり、さらにステロイドも加わることがあります。実際には合剤といって2種の薬剤を含んだ吸入剤が使用されることもよくあります。ただ専門家の間でも、どの薬剤を吸入するかは意見が分かれています。いずれにしろ問題は、COPDの患者さんでは労作時息切れがあるために身体活動性が制限されること、風邪引きを繰り返し咳・痰が悪化することがあります。ですから早急に主治医と相談して適切な吸入治療をしていくこと、これが大切で必要なことです。最後に一言、禁煙が大切なことはいうまでもありません。

キャプチャ1
写真1 吹き抜けの明るい喫茶店

キャプチャ2
写真2 これが実際の写真 アイフォンと充電器は必須のアイテム
動画はDr.林の笑劇的救急問答(ケアネットTVからの引用)

キャプチャ3
写真3 COPDガイドライン
日本呼吸器学会による

キャプチャ4
図1 禁煙が大切です
日本医師会ホームページから