音と笑いのおもちゃ箱 6月7日

2年前に「音と笑いのおもちゃ箱」という会を開催させていただきました。今回も来たる7月4日(土)の午後2時から灘区民ホールで挙行致します。音楽と落語を楽しんでいただこうという趣向です(図1)。もしお時間があれば御来場下さい。入場無料です 。私も落語を演らせていただきます。

はっきりといって素人の旦那芸であり、つき合う聴衆の方々にとっては迷惑なことでしょう。正直、素人の下手な趣味につき合うのは辛いことと思います。しかし本業だけというだけでは面白くありません。というより趣味もあってこそ、また本業にも精が出ると手前味噌ですが勝手に思っています。趣味をある程度して本業に戻ると意外に効率よく仕事が進むものです。

というわけで今回は本業として脳震盪について少し勉強をしました。そのため久し振りに尼崎にまで足を伸ばし、土曜日の午後、日本医師会健康スポーツ医の研修会に参加しました。本来、土曜日は1週間の疲れを癒し、来週に向けての準備時間でありますが、今回は休養をとるのではなく頑張ってみました。この研修会は日本医師会が認定している健康スポーツ医を対象として、その研鑽を積むことを目的に開催されているものです。

講演は兵庫医大・整形外科の吉矢晋一教授のお話しでした。テーマは「スポーツ救護の現場における評価と処置―外科的立場から―」であります。タイトルからも分かるように外科領域の話ですので「内科系医師には関係が少ないのでは?」と予想していました。しかしその予想はくつがえされました。多数の学ぶべき医学知識を再確認することができ、明日からの臨床の場において役立つ実戦力が備わったように思います。なかでも脳震盪について興味がひかれました。

脳震盪とは頭への直接的な衝撃があると起きることはいうまでもありません。しかし頭以外への衝撃、たとえば背中への衝撃であっても、それが頭に間接的な影響を与えると脳震盪は発症するのです。また注目すべきこととして脳震盪が発症したとしても意識喪失する人は10%以下にしかないということです。つまり外見からだけでは脳震盪の判断は難しいのです。特に激しい運動をするスポーツ選手の健康な生活を守るためにも脳震盪については極めて深刻に取り扱う必要があるのです。けっして軽視してはならないのです。ですから最近ではスポーツ団体から脳震盪の対応策が広報されています。

例えばインターナショナルラグビーのホームページをみれば脳震盪対応法としてIRB(International Rugby Board)ガイドラインが示されております。また国際サッカー連盟(FIFA Fédération Internationale de Football Association)はポケットSCATS 2(Sport Concussion Assesment Tod)という手引きを出し、脳震盪に対する評価方法を示しています(図2)。これらをスポーツ現場で実際に使用すると多いに有用と考えられます。もちろんスポーツだけではなく日常生活での外傷にも有効と思われます。

このように最近では脳震盪から人間を守ることについての意義が詳しく解説されています。ところがスポーツ選手は少々の脳震盪でも頑張って試合続行する人が多く、現実には難しい判断を迫られることが多くあります。これまではスポーツで転倒しても選手自身がなおも闘志を燃やし続行することはよくありました。野球で頭部に死球を受けてしばらく立ち上がれないバッターをよくテレビで目にすることがあります。また記憶に新しいところではスケートの羽生結弦選手が練習中に中国選手と激しくぶつかった事例です。結果的に羽生選手は大事に至りませんでした。しかし今後は、スポーツの現場において脳震盪を考慮し選手を守るために「退場」との判定が優先されることも予想されます。その時、立ち会っているスポーツ医は選手、審判者の間に挟まれ苦しい判断を迫られると思われます。

最後にスポーツにおける重大事故には熱中症、心室細動は忘れてならないということが話されました。熱中症ではクーリングと救急車要請、心室細動ではAEDの使用が重要なことがあらためて強調されました。

以上のように大変有意義なお話を聴くことが出来ました。

0608 1
図1 音と笑いのおもちゃ箱のポスター

0608 2図2  SCATS 2の一部抜粋
www.rugby-japan.jp/about/committee/safe/…/SCAT2.pdf
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