学校医、そして東洋医学会総会 6月16日

学校保健安全法という法律があり、小、中、高等学校には学校医を置くことが義務づけられています。少し調べたのですが学校医のはじまりは古く、明治4年に東京と神戸の小学校に置かれたとのことです(母子保健情報第68号2014年から)。誰もが小、中学校の義務教育の時には健康診断で学校医の先生に御世話になった記憶があることでしょう。学校医は通常、校医と呼ばれ学校における保健管理に関する専門事項について指導します。具体的に大きなウエイトを占めている仕事として定期健康診断があります。限られた時間内で多くの子どもさんを診るのは大変です。7月までには健康診断を終了せねばならず、6月は各地の学校へ出掛けていき、ハードなスケジュールとなっています。

このタイトなスケジュールの中、富山市で開催された日本東洋医学会総会に出掛けてきました。今回のテーマは「伝統の継承と新たな展開」ということです。北陸新幹線の開通により、東京~富山間はアクセスが大変良くなっています。しかし関西方面からのアクセスは従来通りのままで時間がかかります。時間的には新幹線で東京へ行くのと同じぐらいです。今回は折角でしたので金沢・富山間を開通したばかりの北陸新幹線に乗車しました(写真1,2)。さて、それはともかく出発前に学会プログラムをみながら、興味のある講演をピックアップしていきます。これは結構楽しいものであり、当日は事前に決めた計画通り会場を要領よく小走りで回ることとなります。

今回も学会で新しい知見を色々と学びとることができました。忘れないうちに要点をまとめ、明日からの診療に役立つようにしています。なかでも特に印象に残った「実践漢方セミナー」について紹介したいと思います。そのセミナーでは呼吸器疾患をはじめ、疾患別に分けて漢方医学の実地診療における要点が解説されました。セミナーは全部で10あり、どれも魅力的な内容でしたが、とりわけ皮膚疾患での話が印象に残りました。演者は元・大阪市立大学皮膚科の准教授の小林裕美先生でした。皮膚科の疾患では、まず現代医学における標準治療をすること、しかし、それだけでは軽快しにくい疾患に対し漢方療法を適切に用いれば治療効果を高めることが出来るのだと先生は強調されました。そのためには、もちろん適格な診断が当然必要なのです。小林先生が30年ほど前に漢方療法を始めた頃は諸先輩からは全く理解が得られなかったとのことでした。また実際に漢方薬を用いるにあたり、診断名が同じでも個別に処方薬は異なってきます。例えばニキビの治療において初期では十味敗毒湯、慢性化した時は荊芥連翹湯、角化してくればヨクイニンや桂枝茯苓丸というように異なってくるわけです。さらに白癬についてですが、その診断には必ず30%KOHによる染色の上、検鏡すべきところです。ところが頭部白癬に対し、KOH染色での診断をせず、ステロイド外用を漫然と連用していることが現実にあるとのことです。

あらためて基本に立ち返ることの重要性を認識しました。

さらにまたランチョンレクチャーでは思春期心身症、起立性調節障害の漢方治療が紹介されました。これについては私もある程度以上の理解をしていますので大変面白く拝聴しました。

最後に富山のおいしいものも少し楽しみ、関係者への土産を購入し少々疲れて帰路につきました(写真3)。

キャプチャ5
図1 学会雑誌の総会号表紙

キャプチャ6
写真1 初めて見た北陸新幹線はくたか号

キャプチャ7
写真2 ゆったりとしたはくたかの車内

キャプチャ8
写真3 結構なお料理でした
富山のかさ桜亭 http://kasazakuratei.com/