師走を迎えて 12月5日

早くもというか、1年の最後の月、師走となりました。ついこの間まで「いつまでも暑いなぁ」と口にしていたのが嘘みたいに時は瞬く間に過ぎ去っていきました。街の中を歩くと年末風物であるクリスマス商戦、大売出しなどの華やかで慌ただしい景色が溢れています。また各地からも雪便りが届き、雪不足に悩んでいたスキー場もようやく安堵されたことと思います。ただ冬将軍が訪れるとインフルエンザが猛威をふるいはじめます。インフルエンザに罹らないためには早寝、早起き、十分な休養、規則正しい生活をおくり、また手洗いうがいを忘れずにすることです。もちろん予防接種をしておけば罹っても軽く済むことが期待できます。これらが誰でも出来る毎日のインフルエンザ対策の基本です。「何だ、そんな簡単なことか!」と思われることでしょう、しかし実際にやろうとすれば結構難しいことでもあります。そこで

① 普段より30分(少なくとも15分)早く床につくこと

② ことあるごとに手洗い・うがいをすることをクセにする(手洗い・うがいマニアになること)

③ 疲労を感じたら無理せずに休むこと

以上の3点を具体的にすぐ出来る対応として今年の冬は実行することにしました。というわけで、この3つのスローガンを書きだして目の付くところに貼り(写真1)、厳しい冬を乗り切ろうと決めました。

さて今日は2つのことについて学ぶ機会がありました。ひとつはノロウイルス感染症について、もうひとつは学校検診において運動器検診が義務化される件についてです。

まずノロウイルスについてです。毎年冬になるとノロウイルスの集団食中毒がたびたび報道されます。その感染力の強さ、発症したときの辛さなども今では多くの人が知るところとなっています。厚生労働省の食中毒統計によりますと食中毒の原因としてノロウイルスが最も多いことが分かっています(図1)。ノロウイルスに対してはワクチンもなく、しかも直接有効な治療法もありません。ですから罹ってしまっても、いわゆる対症療法しかありません。悪いことに、時には重症化し(特に高齢者や小児)死亡する人もあります。加えてその感染力は極めて強く、感染した吐物や糞便の汚物に触れるだけでなく吸い込むことでも感染します(いわゆる空気感染)ので我々が困らせられるわけであります。さらに厄介な問題として最近、ノロウイルスの遺伝子に変化がおこっているという事実です。変化して強くなったウイルスが大流行する可能性もあるというわけです。

では、その対応策です。まず消毒と手洗いが基本です。消毒はよく知られているようにアルコール消毒は無効で次亜塩素酸ソーダによる消毒が必要とされます。次亜塩素酸ソーダはトイレのノブ、感染した汚物を包み込むのに使用します(次亜塩素酸ソーダの調整法http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1265935032756/index.html)。また加熱(85-90℃で90秒以上)殺菌することも有効であります。ですから生ものを控えることも必要となってきます。手洗いは石鹸を使って手についたウイルスを十分に洗い流すことが重要です。特に食事の前の手洗いは大切です。ところが消費者庁の調査によりますと食事の前に必ず手を洗う人は52.6%程度、つまり半分ぐらいなのです(図2)。これではノロウイルスにつけ込まれる危険性があります。手を洗う習慣を身につけたいものです。

ノロウイルスの危険性が高まるこれからの冬に向け、食中毒にならないようにしましょう。

次は学校検診において運動器検診が義務化されるという話題です。同テーマについて先日、医師会主催で研修会が開かれました(図3)。最近、学校保健安全健康法が一部改正され、来年(2016年)4月から施行されます。その改正内容のひとつに「四肢の状態に関する検査を必須項目に追加」するということが盛り込まれました。この改正は子どもの運動器疾患を早期発見することが目的です(図4)。といっても現状の学校での内科検診でも大変であり、これに加重するように運動器検診を実施することは現実には極めて困難なことと思われます。そこでまずは運動器検診保健調査票(図5)の記入を家庭で行ない、次にこの調査票をみて内科検診担当医が注意することになります。このようなレジメに従い、最終的には専門医等による診察を医療機関で受けていただく、このような流れになります(図6)。

たしかに初めての試みですので現場は混乱するかもしれません。また小児科医にとって運動器疾患への対応は慣れていないものです。しかし、子どもさんの健康を第一に考える小児科医は、本改正を臨床医としてのスキルアップと考え研賛に励むべきだと思います。

というわけで運動器検診の具体的なノウハウを学ぼうと考えています。

1210キャプチャ1写真1 自分の部屋にはった今冬のスローガン

1210キャプチャ2
図1 食中毒の原因としてノロウイルスが最も多い
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/151112kouhyou_1.pdfより引用

1210キャプチャ3図2 食事の前に手を洗う人は50%程度、つまり半分程度
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/151112kouhyou_1.pdfより引用

1210キャプチャ4図3 研修会当日のレジメの表紙

1210キャプチャ5図4 四肢の状態に関する事項

1210キャプチャ6図5 運動器検診保険調査票

1210キャプチャ7図6 内科の学校医がするべきこと

1210キャプチャ8図7 運動器検診の手順

 謝辞

図2から7は兵庫県医師会の研修会(平成27年11月26日)のレジメから引用させていただいています。