元町通りの春節祭 2月15日

 毎年2月に神戸の南京町では春節祭があります(写真1)。今年は28日と11日から14日まで開催されました。春節とは旧暦の正月にあたり、中国では新暦の正月よりも大きく祝う風習があるとのことです。神戸南京町の春節祭は30年ぐらい前から華やかに開催されております。30年前から神戸では比較的新しい催しです、そのため神戸育ちである私が子どもの時には春節祭はなかったため、あまり馴染みがありませんでした。しかし春節祭は今やすっかり神戸の2月の名物風情となっております。町中を仮装パレード、獅子舞などが繰り出し、また銅鑼の音も響き渡り賑やかな雰囲気が町に溢れます。

 さて今回は夜尿症についてです。小児科の診療所に夜尿症に悩み、その相談に来院される患者さん(といっても、親)は、案外少ないものです。それは、夜尿症は自然治癒することが大部分であること、恥ずかしくて受診しづらいこと、著効する薬剤が少なかったこと等々が考えられます。医師サイドも従来、何となく夜尿症に対する関心が少なく、「そのうち治るよ、様子をみてね、10歳を越えたら治療しましょうね」と応えていた(お茶を濁していた)ものです。これでは正直なところ、不十分な応対であったと言わざるを得ません。夜尿症には的確な診断と治療が必要なのです。

そのためには、まず夜尿症の定義を正しく知ることが第一歩となります。日本の定義では「56歳以上で月に数回以上夜尿が続くもの」とされています。この定義に従いますと図1のように5歳で20%、小学生全体でも58%の子どもさんが夜尿症といわれています。つまり結構、数多くの夜尿症の子どもさんは多くいるというのが現状なのです。実数では515歳の子どもさんの夜尿症は約80万人と推定されており、このうちわずか1/5程度の人だけが医療機関を受診したとの報告があります。また困ったことに夜尿症の子どもさんは図2に示すように両親の離別、不仲に引き続いて第3番目に強い心理ストレスになっています。以上のような現実を直視すれば、いわば夜尿症は放置された慢性の子どもさんの病気といえます。そのため適切な治療が必要なのです。

では診断したあとは治療へとつなげていく必要があります。そのためには各個人における夜尿症の原因を明らかにすることが必要です。原因には大まかに分けて次の3つのタイプがあります。

①夜間の多尿型

②過活動膀胱型

③覚醒障害型

以下に順次、そのあらましについて紹介していきます。

  の夜間多尿型は抗利尿ホルモン(ADH:anti-diuretic hormone)の分泌が夜に増えないことで夜尿症がおこるタイプです。ADHは尿の産生を抑える作用をもっており、睡眠中はADH分泌量が増えるので尿量が減ることになります。ところが夜尿症の子どもさんではADH分泌量が不足しているため尿量が増加する、そして膀胱に貯めきれずに出てしまう、つまり夜尿となってしまうのです。この①型が70%と最も多いタイプとされています。

  は膀胱の筋肉の収縮力が強く(これを過活動膀胱といいます)、そのため少し尿が膀胱内に溜まっても膀胱が収縮してしまうタイプです。つまりちょっと夜間に尿が溜まっただけでもすぐ出てしまう、つまり夜尿となってしまうタイプなのです。なお実際にはこの①と②の両方の要素を持っていることが多いとされています。

  は簡単にいいますと、尿意がきても目が覚めない、いいかえると覚醒障害があるため夜尿症となってしまうタイプです。尿意があっても目が覚めないため、夜間の睡眠中に排尿してしまうということです。反対に夜尿のない子どもさんでは尿が出そうになっても脳が覚醒して排尿させないようにしているというわけです。

以上の3つの原因について理解すると治療(特に薬物治療)は分かり易くなってきます。

まず①の多尿型についてです。はじめにすべきことは図3に示すように大まかな尿量測定です。おねしょの尿量が200ml250ml以上あれば図3の上に示した多尿型と判定されます。ADHホルモン剤が有効で尿量が減少します。この際図3の下に示したように尿浸透圧・比重の低下を確認することも必要であります。ADHホルモン等には内服薬と点鼻薬があり、ある程度以上の効果が期待できます。報告によると自然経過より治癒率が2~3倍上がるとされています。

次に②の過活動膀胱型に対しては膀胱筋肉の収縮を抑える抗コリン剤が有効とされています。薬剤により膀胱の筋肉を柔らかくし、尿が溜まり易くしようというわけです。

最後③の覚醒障害型については薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法には抗うつ薬がありますが、最近では副作用(不整脈)のため使用されなくなってきています。一方非薬物療法にはアラーム療法があります。これは夜尿が出始めるとセンサーが感知してアラームが鳴り、脳に排尿を止めようという指令を出させる訓練をするものです。これを何度も繰り返し、やがて膀胱尿量を増加させ、夜尿を改善させようという方法です。外国では実施率が高く、それなりの成果をあげています。

以上のような原因と治療を分かり易くご家族に説明し、気長に構えて頂きます。治療効果が出るのには少なくとも2週間以上、3か月くらいはかかることを理解していただくことが大切です。もっとも現実として自然学校、修学旅行などの学校行事への参加にあたり、すぐに効果の出る治療を求められることがよくあります。これは解決が少し難しい問題なので、おねしょパンツを使用したり、主治医と相談していくことが必要です。

夜尿症はやはりゆっくりと気長に治療していくことが必要です。それでも、どうしても軽快しないとき、少数の方なのですが先天的疾患の可能性があります。これには注意が必要であり、専門医への受診が必要です。

 いずれにしろ、1.起こさず、2.怒らず、3.焦らずの3原則を守り、その他の日常生活の改善を十分にして治療を進めていくことが重要です。最近ではインターネット上に色々な役に立つツールが公開されています。これらを上手に利用していくことも良い方法と思います。

 160219 写真1 写真1 元町アーケイド街からの看板

 

160219 図11 夜尿症の子どもさんは、どのくらいいるのでしょう。
(フェリング・ファーマ株式会社/協和発酵キリン株式会社
「かかりつけ医による夜尿症の初期診療について」より引用)

 160219 図22 夜尿症は子どもさんの心理ストレス第三位である
(図1と同様のパンフレットより引用)

 160219 図33 西三和 外来小児科2013:6(3)332-338