春らしくなってきました 3月20日

日ごとに春らしくなってきました。それでも朝夕はまだ少し寒い日が続いています。春の長雨が降るかと思えば、春の強風も吹く、そんな日々です。町を行く人の姿もコートの人、セーターの人と様々な装いです。このように気候が不安定なので体調を崩さないようにしたいものです。

さて3月も下旬となり、いわゆる年度末(3月31日)が近づいてきました。確定申告が済み、その後今度は年度末に締め切りの様々な書類を書かねばなりません。また今年は2年に一度の医療保険制度の改正があり、4月から実施されます。その準備にも忙しい日々です。そんな中、時間をみつけてあちこちの講演会に出かけてきました。いずれの講演もなかなか内容のある素晴らしいものでした。そのうちのひとつ、認知症の講演が特に印象的でした。

その講演とは「認知症早期発見のために必要なこと」というタイトルです。今回、知り得たことを少し報告してみます。講師は神戸大学大学院の神経内科・准教授の古和久朋先生です。認知症については実地臨床の場において関係者の誰もが本当に悩み、またご家族の方々が日々直面している大問題です。今回のお話しにより、少しは光明がみえたような気がしました。

認知症の人は厚生労働省によると現在439万人と推定されています。これは65歳以上高齢者の12~17%と推定されています。しかもその予備軍の人は400万人いると考えられています(図1)。さらに困ったこととして厚生労働省は10年後に認知症は約1.5倍増えて700万人を超えるものと推定しています。これは65歳以上の高齢者のうち、実に5人に1人が認知症ということを意味しています。由々しき大問題なのです。

ところで最近、軽度認知障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)という病態が注目されています。これは健常者と認知症の間にいる人(正常でもない、認知症でもない両者の中間状態の人)という状態であります。概ね厚生省がいう予備軍に相当する人たちと考えてよいでしょう。MCIは図2のように定義されています。図1の下に示したように厚生省によりますと全国のMCI有病者数は約380万人と推計(平成22年)されています。MCIの人では認知機能に問題はあるものの日常生活には支障がありません。しかし放置しておくと5年間で半分の人が認知症へと進行するといわれています。では一般の外来で初期の認知症に気づくにはどうすればよいでしょうか?それには

薬があるのに何度もとりにくる

保険証・診察券を忘れる

不適切な身なりをする

同じ言い回しを何度も言う

などがあるとのことでした。このような話を聴きますと日常外来での医療従事者の対応が異なってくると思いました。

MCIの治療については「脳梗塞の薬であるシロスタゾールが有効である」という研究(COMCID study)が最近進められています。この研究については承知していましたが、今回はじめて基礎的な解説を聞きました。そのあらましです。認知症の人では脳内の老廃物アシロイドベーターが蓄積します。ところがシロスタゾールは老廃物アシロイドベーターを脳の外へ流出させる作用があるとのことです。また運動もやはりアシロイドベーターを除去するので認知症に対しては運動が良いとのお話でした。

最後に興味深いこととして最近では「徘徊」という単語を使わずに「1人歩き」という表現をするということを知りました。アルツハイマー以外の認知症では初期のうちから運動障害があるために「1人歩き」が少ない傾向があるとのことです。ですからアルツハイマーであれば反対に「1人歩き」が多いということになるわけです。

ところで何といっても現在のシーズンは花粉症の最盛期です。患者さんも多く受診され、シーズンを乗り切るのに患者さんは(私を含めて)一大決心(大袈裟でしょうか)が必要です。

花粉症の患者さんの数は2500万人ぐらいと推定されています(図3)。これはとんでもなく多い数であり、国民の4人に1人が花粉症ということであります。たしかに親しい人が5~6人も集まった時に「花粉症の人、手を挙げて」と聞くと、必ず2人ぐらいは手を挙げてくれるものです。もっとも北海道、沖縄、また外国ではスギの木が少ないので花粉症が少ないのですが(図4)、転地療養するわけにもいかず多くの人が耐えているわけです。さらに注目すべきことは、花粉症の人は近年増加傾向にあること、若い人や子どもに多いこと(高齢者には少ない。図5)、そして若い人ほど花粉症の症状が辛いことがあげられます。つまり現在の花粉症の人のイメージとしては症状の重い若い人というものになります。

ではこの辛い花粉症に対し、どんな対策をしているのでしょう。すると図6に示したようにマスクが最も多く、次に飲み薬、部屋干し、うがいと続いていました。つまり何よりマスクが必須アイテムというわけです。因みに一回のマスクの使用枚数を調べた結果によりますと高知県がトップで福島、宮崎という結果でありました。いずれにしろ花粉症対策には、まずマスクをはじめとし、手洗いうがい等の生活改善をすること、次に薬物による治療を考慮すべきです。最近、花粉症の薬物療法には新しい薬剤が登場しており、選択肢も広がってきております。いいかえれば使用できる薬物も多く、どのように治療を選択するのか悩むこともあります。幸い今年2016年に「鼻アレルギー診療ガイドライン」が発表されました。本ガイドラインには明快な考え方が示されております。ひとことで紹介しますと鼻噴霧用ステロイド薬を初期から使いましょう。抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤、そして舌下免疫療法などの治療法が新しく記載されました。本ガイドラインは実地医家には大変有用となっています。

 160323.1キャプチャ1 認知症高齢者の現状(平成22年)
厚生労働省のホームページから

160323.2キャプチャ2 MCIの定義 認知症ねっとのホームページから引用 

160323.3キャプチャ3 花粉症の患者さんの数は2500万人ぐらいと推定されている
oxpro.jp/2012Pollen.pdfから引用

160323.4キャプチャ4 地域別にみた花粉症 アレルギー,Vol.15,No.2,2003 科学評論社
出典: 1998 年のアレルギー性鼻炎の全国疫学調査」より

160323.5キャプチャ5 花粉症は子どもさんに多い ウェザーニュースからの引用 http://weathernews.com/ja/nc/press/2013/130416.html

160323.6キャプチャ6 花粉症の対策 ニュースからの引用
http://weathernews.com/ja/nc/press/2013/130416.html