日別アーカイブ: 2010年12月4日

下痢嘔吐症のときには

少し前からですが、下痢嘔吐症がはやっています。げろげろ吐いてしまうこどもたちは、本当に痛々しくて、一刻も早くなんとかしてあげたいといつも思います。

下痢嘔吐症のこどもさんを連れてきたお母さん方のおはなしは、よくこんなふうです。

「なんか今朝から元気がないなあと思ってたんです。あさごはんも食べたがらないし、でも熱もなかったから保育園(学校)行かせました。そしたらお昼ご飯食べ終わってからしばらくして吐きだしたって保育園から連絡があって。。。迎えに行ってそのまま家で寝かせてたんですけど、夜になっておなかすいたって本人が言うので晩御飯ちょっと食べさせました。そしたらそのあと吐いてしまって、それからは水分とっても吐いてしまうんです。。。もう出るものもないのにおえおえするから胃液みたいなの吐きだして。。。おなか痛いといって泣き出すし顔色も悪いし、あんまりしんどそうなので夜だし心配で連れてきました。。。」

このような典型的なおかあさんのお話のなかに、いろんながヒントが含まれています。

まず、そこまでしんどくならずにすんだかもしれない「わかれみち」はどこだったでしょう。おわかりですか?

 

1.朝からしんどそうでごはんを食べなかったのに保育園にいかせてしまった。

2.おなかがすいたと言ったので晩御飯を食べさせてしまった。

大きくはこの2点です。

やはり、朝ごはんが食べられずいつもと様子が違う時には、よほどの事情がない限りあえて集団生活につっこむのはやめましょう。家で安静にしていればもう少し軽く済んだかもしれません。

それから、嘔吐後しばらくしてこどもが空腹を訴えることはよくありますが、固形物をあたえるにはジキソウショウです。そんなときにはまず、水分を少しずつ摂らせて下さい。すこしずつの水分をこまめにあげることでひとまず脱水を防がねばなりません。

ときどき水のみ、お茶のみ、を与えるおかあさんがおられますが、それでは低血糖になって顔色はどんどん悪くなってぐったり感がひどくなります。こういうときは糖分の入った水分をあげてください。手軽なものはスポーツ飲料、りんごジュースです(市販のいわゆる飲む点滴もドラッグストアで購入できます)。

固形物を与えてしまったがために嘔吐は激しくなり、結局のところ水分さえも受けつけられなくなる、という最悪の事態を防ぐには、こどもの空腹の訴えに「おもわずノらない」ことです。空腹感をやわらげるにはアメをなめさせるのが有効です。低血糖もあわせて改善してくれます。

また、脱水が進むと腹痛がおうおうにして出てきます。それは体の中にケトン体というものがたまってくるからです。これがたまると痛みにつながります。排除するにはおしっこで流すしかありませんから、やっぱり「のめてナンボ」なのです。

しかし吐き気のあるこどもに水分をしっかり摂らせるのは至難の業です。どうしてものめなければ、もしくはのんでも吐いてしまうなら、最後は点滴です。

当院でも点滴できます。どうにもならないときは受診してくださいね。

ただし、点滴には時間がかかります。どんなに短く見積もっても1時間程度は必要です。点滴目的受診の際はできるだけ点滴所要時間を考慮の上、早めに受付をお願いします。受付にてその旨を伝えていただくとよりスムーズに治療をうけていただけると思います。