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予防接種のはなし

かなり久しぶりにブログを開けてみました。

いろいろ書きたいこともあったのですが、忙しさに流されて。。。

もうしわけありません。

 

ずっと気になっているのですが、予防接種についてまだまだ誤解が多いようです。

 

まず、「3か月はいったらBCGをうけましょう」 というのは、おおきな間違いです!!!

それは大昔の(言い過ぎかな?)スケジュールで、いまはもっとほかにいそがなくてはいけない予防接種がたくさんあります。

生後3か月の赤ちゃんに、ロタウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒブ、肺炎球菌、4種混合(以前の3種混合+不活化ポリオ)、これらのワクチンを何もいちども打たずに、どうしても一番にBCGを受けたいと主張されるお母さんがたまにおられます。

・・・やめたほうがいいです。

なぜならBCGをさきに打ってしまうと、1カ月間何も打てないのですから、へたをするとロタのワクチンが期限内に入らなくなりますし、ヒブと肺炎球菌があとまわしになってしまうことで髄膜炎になってしまう危険性が高くなるからです。

なぜ、BCGを一番に打ちたいの??とたずねると、

「1か月訪問の保健婦さんにそう言われたから」という答えが8割を占めます。

残念ですが、保健婦さんの勉強不足です(-"-)

ただ、保健センターに乳児健診に行くたびに文句をいうと、センターの予防接種担当の方いわく、

「そんなこと言ってません、お母さんがたの勘違いです。」 ということなのです。。。なんのこっちゃ。

 

また、ロタやB型肝炎のワクチンをすすめても受けさせないお母さんがたまにおられます。

聞けば、経済的事情ではないとのことなので、どうしてうけないの??とたずねると、

「ママ友仲間でも、べつに要らないんじゃない?というひとが多いから」という答えが約半分、

「〇〇先生が受けなくていいと言ったから」という答えが、、、なんと、約半分!!

そんな勉強不足のママ友とつるむのはやめましょう(^.^)/

そして、そんなことをいう医師には勉強をすすめましょう(^.^)/

 

ワクチンはもちろん100パーセントの安全性を保証するものではありません。

有害な副反応ももちろんあります。

副反応を怖がるあまりに、任意接種ワクチンはうけないと決めてらっしゃるお母さんもまれにいらっしゃいますが、有害な副反応が起きる確率と、免疫がないままで感染して重症化する確率と、、、

さて、どちらが高いでしょうか??

そんなこわがりのお母さんでも、海外旅行にいくのには何の疑問も抱かずふつうに飛行機に乗るわけですから、

なんだかふしぎなものです。。。

 

今のこどもたちにはうけるべき予防接種はたくさんあります。

たくさんありすぎてわからない! とおっしゃるお母さんもおられますが、そんなときは相談してください。

ただし、まる投げはおすすめしません。

お母さんが何も知らないままでは、こどもの健康は守れません。ひととおり知識をえたうえで、相談していただくことをおすすめします。

 

予定を組んでもこどもの体調やその他もろもろの事情により、予定はなかなか予定どおりにはいきません。

その都度、一緒に考えていきましょう。

 


金曜日のときどき代診

先日から金曜日がときどき代診になっています。

先生はとてもすてきな女医さんです。二星(にぼし)先生といいます。今は一般小児科医をされてますが、もとはバリバリの小児循環器医(おもに生まれつき心臓に病気をかかえたこどもを専門に診ているひとたち)でした。

どこから連れてきた先生?と思われている方も多いと思うので、紹介しておきます。

いつもきれいにされているのでお若く見えますが、年齢はそこそこいってます(怒られそう・・・)。私が大学研修医になってはじめての指導医で(ですから仕事歴は私より約5年長いです)、それこそオムツの替え方や赤ちゃんのあやし方からこどもの診察のしかたまでこと細かに教わった先生です。

指導はそれはそれはきびしくて、ときどき「鬼」にみえるくらい恐れていました(先生ゴメンナサイ)。

 

「何やってんの、先生!」

「それでお母さんの気持ち、考えてんの!?そんな言い方で伝わると思ってんの!?」

「どうしたらいいとおもってんの?自分の考え言ってみ!?」

と、よくナースステーションで叱られました。

目から鼻に抜けるような頭の良い先生なので、駆け出しのぺーぺー医者としてはついていくのは大変でした。

 

でもそのきびしい指導のおかげで、今はこうして多くの患者さんが来てくれるクリニックの院長として座っています。あのときの細やかな指導がなければ、もっとテキトーなお医者さんになっていたんじゃないかと思います。とにかくどんな小さな仕事でも真摯に向き合わないといけないという基本的な姿勢を、とことん教えられた先生でした。

そんなに怖かった先生ですが、いまではよき相談相手かつ理解者です。いつもなにかと悩んでいると背中を押してくださいます。先生ご自身も男の子2人のお母さんでもいらっしゃいます。

 

代診って・・・誰・・・?

と不審に思ってらっしゃった方も多いかもしれませんが、そういうわけで、誰よりも私が信頼する先生です。

新しい風を入れて、クリニックの質をもっと高めていきたいと思っています。

よろしくお願いします。

 

 


ちょっと一息 ♪

最近、といってももう数ヶ月前からですが、当院待合にはハーブティーが置いてあります。

もちろんフリードリンクです。

よく来院される方はお気づきだと思いますが、何種類かの中からその日のスタッフが自分の好みで選んで入れています。

数種類のハーブが混合されていて、はちみつで甘さを少し足してあるので、非常に飲みやすくなっています。

 

こどもが病気の時は少し気持ちの余裕をなくしてしまうことが多いと思います。

待ち時間が長いとそれもやっぱりいらいらしてしまいますね。みんな同じです。

 

そんな時には待合でハーブティーを少し飲んでみてください。

熱いですから、まずは冷ましながら香りを楽しんでください。

そのあとやけどをしないようにいそがずに飲んでくださいね。やけどをするとおそらくイライラに拍車がかかります。

 

少しでも気持ちが和らげばいいなぁと思って導入しました。

みなさんの感想はいかがですか?

お母さん方のちょっとした楽しみになってくれたら嬉しいです。

 

ただし、はちみつ入りですから1歳以下の乳児には与えないように気をつけてください。

あと、嘔吐で受診されるこどもたちにあげるのも、もちろん控えてくださいね。

 


医学博士

つい先日、医学博士号をいただきました。

今6歳の息子が生まれた直後に研究をはじめたので、子育てのための途中休憩はありましたが、それは長い道のりでした。

クリニックの定休日にあてている毎週火曜日に、今も大学病院に行っていますが、そこでずっと川崎病の研究を続けています。そのテーマで博士号をいただきました。

 

ところで、川崎病って何? と、ときどき言われます。

公害ですか?ときかれることもあります。

この病気は川崎市でかかる病気ではなくて、川崎富作先生が発見された病気です。約50年前に報告されていますが、いまだに原因もはっきりつきとめられていません。でも年間1万人の患者さんが出ていることや心臓に後遺症を残すことがあって、こどもの病気としては要注意のものです。

なぜ研究テーマを川崎病にしたのか。

これはたまにあきれられますが、研修医の時にはじめて参加した川崎病学会で、白髪のステキな川崎富作先生にお会いして握手していただいたことがきっかけです。川崎先生のファンになった、という単純なはなしです。

でも、川崎病はまだまだわかっていないことが多くて非常に奥が深く、研究していてなんとなくハマってしまいました。その結果、博士号までいただいちゃいました。

 

人生、わからないものですね。

ちょっとしたきっかけでなにかがかわったり、はじまったり、するんですね。

 

ところで先週、国際川崎病学会が京都で開催されました。

相変わらずステキな川崎先生(御歳88におなりです)にお会いして、また握手をしていただきました。

「この握手が始まりであった」事をお伝えしたかったのですが、なんとなく胸がいっぱいになって何も言葉にならず、握手のお礼をいうことしかできませんでした。

お伝えできるまでは絶対にご健在でいらっしゃってくださいね・・・と祈るような気持ちで京都から帰ってきました。

 

 


インフルエンザワクチン

そろそろインフルエンザワクチンの話が出る季節になってきました。

当院の接種開始は医師会指定の10月15日です。

今年はこどものワクチン接種量が増えるので、もしかしたら(?)そのうちワクチンが足りない!ということにならないか、ちょっとどきどきしています。

ところで、毎年のように、

「おたくのワクチンは有機水銀は入っていますか?」

という問い合わせ電話がかかってきます。

ワクチンには水銀が入っているものと、入っていないものがあるのですが、なんでもアメリカで「こどもの発達障害にはワクチンに添加されている有機水銀が原因である」という、衝撃の論文がでたことがあるんだそうです。さまざまな検討の結果、因果関係はないと認められたのですが、いまなおその影響が残っているようで、水銀添加をすごく気にされるお母さんがおられます。

私は気にしなくてよいと思っています。

実際、その衝撃の報告のあとに有機水銀を一切添加しないワクチンだけ流通させた時期があったそうですが、にもかかわらず、発達障害と診断されたこどもたちの数はその後もうなぎのぼりであったそうです。

一説には、

あるアメリカ上院議員のお孫さんが発達障害があったそうで、症状が水銀中毒と似ていたことから知り合い(?)の研究者にその論文をかかせて公表し、国の責任を追及したんだそうです。

・・・かなしい話です。お孫さんをみているとやりきれない気持ちになったのでしょうか。

 

また、ワクチンの対象も変わりました。

今年はワクチンの添付文書には6か月以降と書かれてありますが、宝塚市は1歳以上を対象と決めたんだそうです。

ただ、私の考えとしては「小さいこどもこそ重症化しやすいので予防が肝心」ということで、当院では添付文書通りに6カ月以降を対象とすることにしました。

ところで毎年気になるのですが、

「うちは小さいこどもだけ接種します」

というご家庭があります。

任意接種ですから料金のこともありますし、いろんな事情があるのだろうとは思いますが、小さなこどもを守るには家にもちこまないことが一番大切です。家族みんなで予防しましょう。

そこで!!

当院では13歳未満のこどもの接種予約と同時に13歳以上のご兄弟やご両親が接種を予約される場合に限り、減額措置を設けました。ちょっとのことですが、それでもすこしでも助けになればいいかなと思います。詳細は予約の際にお電話にてお問い合わせください。

 

接種予約はすでに開始しております。

お早めにご予約ください。


我が家でのとびひ対策

むしむし、暑苦しい季節になってきました。

こんな季節は外来でとびひをみる機会が増えます。

とびひの原因は、・・・「掻いちゃった」

と単純なことですが、掻いてしまうモトは、みずいぼ、虫さされ、あせも、などなど、皮膚がかゆくなるもの全部なので、こどものほとんどがとびひを経験しているといっても過言ではないと思います。

とびひになってしまうと、抗生剤を内服して、こまめな消毒と軟膏塗布でおさめていきます。

でもなかなかすっきりおさまらないこともあって、結構厄介です。

しかも、とびひ以外は本人はとっても元気なのに、保育園や幼稚園では出席停止の目にあうことも。(働く母にとってはこれがけっこうイタイです。。。)

やっぱりできればならないようにしたい!というのが母の共通の願いですね。

 

家庭でできる簡単な対策として、アロマバスがおすすめです。

精油はラベンダーがよいでしょう。皮膚の消毒殺菌・抗ウイルス作用もあり、皮膚の修復も助けてくれます。さらにすぐれた鎮静作用もあって、リラックスにもつながります。

 

私は面倒なことは苦手なので、バスタブに直接、ラベンダーの精油を3-5滴垂らします。これだけです。

手間をかけるのが気にならない人は、

生クリーム30mlにラベンダー精油を3-5滴入れて混ぜるとバスミルクとして楽しめます。(作り置きは1日が限度です)

 

皮膚のケアをするとともに、これからの季節は何かと疲れますから、ハーブティーで上手に体力を回復させてあげましょう。

クエン酸を多く含むハイビスカスとビタミンCの爆弾と呼ばれるローズヒップのハーブティーは、2つのハーブの相乗効果により体力回復にはもってこいの飲み物です。しかも、冷やして少し甘みを加えると非常においしいドリンクで、夏場にはおすすめです。

 

ラベンダーのお風呂は我が家ではなんとなくでやっていたことでしたが、一度ラベンダーオイルを切らしてしまってしばらく使わないでいたところ・・・

保育園児の息子はみずいぼをもらいました。みずいぼからやっぱりとびひに。

あわてて精油を購入してラベンダーのお風呂を再開したところ、とびひはあっというまに、みずいぼは2か月くらいできれいにおさまりました。

 

アロマごときにそんなに効果があるのか??と半信半疑だったのですが(アロマ関係の方、ゴメンナサイ)、

ちょっと思い知らされた出来事でした。

 


診療と研究と

最近とても疲れていて、ブログを更新できていませんでした。今日は頑張って書いてみます。

 

当院は火曜日が休診です。休診でも実は遊んでいるわけではありません。京都にある大学病院に行っています。

そこで何をしているかというと、川崎病専門外来と臨床研究をやっています。

京都まで車で高速を使って片道約1時間半くらいの道のりです。体力的には結構しんどいのですが、火曜日の朝は気分的にはウキウキしてます。

私は普段の診療も好きですが、実は研究も大好きです。自分でもこんなに研究にはまるとは思っていませんでしたが、やりはじめると面白いものです。

その昔、若かりし頃はむしろ「研究なんて・・・」と思っているほうでした。なんだか地味だし、暗い!というイメージを抱いていました。

でも研究好きの先生が、

「診療って、目の前にいる患者さんひとりひとりを相手にして治療しているだけだろ。だけど研究って、結果が出れば何万人というこどもを助けることができるんだ。すごいだろ?!」

と、力説されていたのを覚えています。その通りです。すごいことです。今はそう思います。

そこまでの結果が出せるかどうかはわからないですが、研究をしているとそんな妄想にとらわれることがあります。

研究の形はいろいろありますが、私の研究は患者さんに直結した内容なので、いろんな仮説や予想をたてて、それが証明されるべく、いろんなデータを集めていきます。予想していた結果につながりそうなデータが集まってくると、

「これってすごいことがわかってきてるんじゃない??」

とか、

「この予想が正しいとしたら、治療が変わってくるんじゃない??」

とか、胸が躍ることがあります。(もうそんなに若くないので普段胸が躍ることはなくなりましたし、とても貴重な体験です。)

そんなたまに感じるわくわくが研究の醍醐味でしょうか。

マラソンランナーがマラソンをやめられないのと似てるかもしれません。

真面目に研究をやっている人にすればふざけてると思われるかもしれませんが、こんな研究者がいてもアリでしょう。

 

どんなことでも自分の楽しみに変えていければ、人生はもっともっとたのしめるはず、ですもんね。

 

 

でももちろん、普段の診療もとても大切にしています。

 

これも私が若かりし頃の話ですが、診療の大好きな先生が、

「もともと元気なこどもを元気に戻してあげるって、当たり前のことだけどすごく重要なことだよね。」

とおっしゃってました。

本当にその通り!です。だから普段の診療はやめられません。

 

そんなこんなで、診療と研究はやっぱりどちらも捨てられず、どちらにもしぼれず、体力の限界を感じながらも両方続けていきたいと思っています。

 

でもそろそろ体力の限界かなぁ、なんて思っていましたが、最近ちょっとずつこどもたちの病気も落ち着いてきているようです。

こどもたちの体調が落ち着いている時期は少し診療枠を減らして、また秋~冬のいろんなものが流行ってドえらいことになる時期にむけて、体力を温存しておこうと思います。

 

診療枠減少にご理解いただければ幸いです。


予約診療の意味

当院は基本的に予約診療です。

携帯やパソコンでインターネットにアクセスして、予約を取っていただいています。すこしでも診療時間の目安になるかと思って導入しましたが、これが結構トラブルのもとになっています。

予約の順番に、診療が近づくとお知らせメールがとぶはずなのですが、よく「メールが来ません」と苦情が入ります。予約システムの業者と何度も改良とメンテナンスを繰り返し、テストではとくに問題ないのですが、それでもなぜか実際にはメールが飛ばないことが多々あるようです。

ど素人の私にはよくわかりませんが、考えられる原因はいろいろあるようで、そのうちの一つは「患者さんを予約順に診なかった」ということなんだそうです。

たまにずいぶん後の予約の方が「こどもがしんどそうで予約の時間まで待てなかった」という理由で前倒しで来院されることがあります。

「??」のこともありますが、「こりゃ待てないわ」のこともあって、一概に順番抜かしのお母さんを責めるわけにはいきませんし、受付のスタッフは医療の素人ですから、医療的に公平な判断は難しく、やはりお母さんの訴えに従って受けつけてしまいます。そうすると予約の順序が乱れてメールがうまく飛ばなくなるんだそうです。

あと、予約なしの飛び込み診察の方がいらっしゃいます。飛び込み患者さんは受けつけないクリニックもあるそうですが、当院は私の考えで出来る限り全員受け入れています。

なぜなら、「こどもの病気は突然」だからです。

「落ち着いて予約なんかしている場合じゃなかった」場合や、「予約が埋まっていて取れなかったんだけれどもどうしてもみてほしい」場合など、飛び込んでしまう理由はいろいろあるはずです。

でも飛び込みを引き受けることでどうしても診療の時間はおくれおくれになるので、予約の患者さんには不満が募るようです。

たまに受付で、

「予約の意味はどこにあるんですか?」と憤慨されてるお母さんがおられます。そんなお母さんも診察室に入ってこられれば私にはそんな文句などおっしゃいませんが、受付での声は診察室に丸ぎこえです。私の前でサンドバック状態の受けつけスタッフに内心詫びながら、でもそのお母さんの気持ちもわかりますし、気を取り直してこどもの病状を私に説明しているお母さんの顔を微妙なおもいで眺めます。

うちの予約システムがただの順番予約でしかないことを説明すべきか、お母さんの気持ちもわかっていることを言ってあげるべきか、飛び込み患者さんの事情を話すべきか、・・・etc

でも結局は何も言いません。病気や治療や薬の説明で時間を取ってしまうからです。早く次の患者さんをみてあげないと、しんどい子供たちがわんさと待っています。なーんとなくかくしきれない不機嫌さを漂わせているお母さんの姿としんどそうなこどもの姿と、あんまりいい雰囲気でない診察室の空気をなるべく変えられるように私もいろいろ努力はしているつもりです。(が、・・・まあ、それはみなさんの評価におまかせします)

本来、当院の予約は実は診療の「順番」予約でしかありません。でも10分ごとの予約の時間が設定されていることで時間指定のような勘違いが起こってしまっているわけです。時間表示が出ないようにしたいところなのですが、システムの業者さんいわく、当院の導入システムではそういう設定は出来ないんだそうです。残念。。。

もっとウン百万の高価なシステムを導入すれば出来るんでしょうけれど、うちにはそんな財力もありません。現状では憤慨されてるお母さんにはとにかくこんなご説明しかできませんが、どうでしょうか。

ちょっとでもご理解いただけるとうれしいです。

 

あと、夜診に来られる患者さんで、たまにお母さんがおっしゃいます。

「はやくみてもらえませんか、でないとうちの子は寝不足になってしまいます・・・」

これはどうしようもありません。夜診にこられる患者さんはみなさん同じ状況なので、これは勘弁してください。。。

宜しくお願いします。


花粉症

そろそろ花粉症の話題が登場する季節になってきました。

私自身は花粉症とは無縁なので、その苦しさ?はもひとつ理解できていません。が、大変な人は本当に大変なようで、ティッシュの箱が手放せないとか、いろんな話を聞きます。

ならないように予防する民間療法もいろいろあるようですが、メディカルハーブにもおすすめレシピがあります。

 

◎ ネトルのティー

 一般的にアレルギー体質の改善目的に用いられます。ちなみにドイツでは(ドイツ人の友人がいないので本当かどうかは知りませんが)、春先のアレルギー予防にネトルなどのハーブを積極的に摂る療法を「春季療法」とよび、ほとんど生活習慣になっているのだとか。即効性はないので根気よく使い続けることが肝心です。

 

花粉症の症状が出てしまってからはまた違うレシピがあります。

 

◎ エルダーフラワーのティー

 くしゃみ、鼻水などの不快な症状の改善に有効です。抗アレルギー作用が鼻粘膜を落ち着け、目の充血も軽くしてくれます。毎食後に飲み、同時に蒸気をたっぷり吸いこむようにするとさらに効果があるといわれています。

 

あと、アロマも結構使い心地は良いようです。

 

◎ 吸入法

 ティッシュに精油を垂らし、マスクのなかにしのばせます。

 精油は ペパーミントとユーカリがよいでしょう。これに好みによってレモンやラベンダーを加えて香りを調節します。

 鼻詰まりが楽になって、頭重感がずいぶんましになります。

 

薬にたよるのも悪くありませんが、西洋医学は万能ではありません。もちろん漢方もしかりです。

何か一つの療法に固執するのではなく、柔軟にいろんな療法の良いところ取りをしてみましょう。

意外な療法があなたには効くかもしれません。


解熱剤賛否両論

「解熱剤」はゲネツザイと読みます。有名どころですが、お母さん方の2割くらいは「カイネツザイ」とおっしゃいます。

それはよいとして、ところで解熱剤を使ったことはありますか?

たまに熱で受診されたこどもさんに解熱剤を処方しようとすると、

「使わない方がいいんですよね?」とか、「解熱剤なんて使うもんじゃないとヨソ(他院)でいわれて、今まで使ったことがありません」とか、おっしゃるお母さんがおられます。

確かに臨床研究では解熱剤使用グループvs.非使用グループを比較したところ、最終的に解熱するまでの時間は非使用グループの方が数時間短かった、という結果があるようです。やはり「解熱剤を使用しない方が風邪のなおりは良い」という通説はうそではないと思います。

しかし「解熱剤を使用しない看病」は想像以上に大変です。やったこと、ありますか?

高熱のこどもは始終ぐずります。水分をとらせるにも一苦労です。しんどくて眠れずに、夜中じゅう何度も起きます。小さなこどもは明け方までずっと抱っこですごすはめになることも珍しくありません。高熱が一晩で終わればなんとか持ちこたえられますが、そんな保証はどこにもありません。あと何日続くかわからない看病は、息つぎ禁止の潜水に似てます。母も(看病は大抵の場合が母ですね)結構へとへとです。

解熱剤を使うと高熱が平熱になるわけではありませんが、少しだけでも解熱すればこどもたちはとても楽になるようです。水分をしっかり摂れるようになりますし、眠るにもぐずりません。脱水をふせぎ、体力を回復させて免疫力を保つには、やはり十分な水分摂取と睡眠は大切です。

そしてこどもがそうなることで、看病する者の体力と気力を保つこともできます。「高熱でしんどそうだけれど水分はとれる、眠れる」こどもの看病と、「高熱でしんどくてなかなか水分もとれない、ぐずって眠れない」こどもの看病は、母の精神的・肉体的負担を評価すれば、天と地ほどの差があります。

若かりし頃の私は「解熱剤は使わない方が治りが早い」ので「なるべく使わないように」説明する派でした。でも、自分が母となって看病する立場になってからは、解熱剤賛成派です。息子が保育園に行き出したころよく熱を出し、看病に奔走した日々があるからです。解熱剤を使用せずにはいられませんでしたから。治癒までのわずか数時間の差を期待して解熱剤使用を控えることは不可能でした。よく外来でも熱の続くこどもさんのお母さん方に「熱はいつごろおさまりそうですか?」と聞かれます。同じ質問を何度も自分の中で繰り返していました。(・・・そんなのわかるわけありません。)

しかしそうはいっても安易な使用はやはりダメです。「38.5℃以上の発熱があり、しんどそうな時」に使用してください。高熱があっても水分が十分に摂れ、眠れていれば解熱剤を使う必要はどこにもありません。たまに「夜中にふと寝ているこどもを触ったらすごく熱かったので解熱剤を使いました」というお母さんがおられますが、それはやめましょう。せっかく眠っているのなら、そっとしておいてあげましょう。

使用のタイミングですが、1日3回までという制限付きなので、高熱が持続している時は迷ってしまうと思います。

おすすめは、

朝のうちはなるべく使わずにごまかします。

1回目:11時くらい(少し下がったタイミングで水分をしっかりあげます。食べられそうなら消化の良い食べ物をすこしあげます。そのあとお昼寝を。)

2回目:18時くらい(1回目と同様。そのあと早々に寝かせます。)

3回目:夜中熱で起きてしまったら(とにかく寝かせることを目標に)

そして合間合間ですこしずつ水分を補給します。

 

解熱剤反対派は大抵男性の小児科医です。とくにご年配の先生が多いです。

大変失礼ながら、おそらくこどもの看病とは無縁に生きてこられたに違いないと私は思っています。

解熱剤は正しく使用すればこわいものではありません。使ってはいけないものでもありません。

「絶対に使用しない」と断言されるお母さんがたまにおられますが、もちろんそういう考えも否定はしません。でも私は親子ともに病気をうまく乗り越えてほしいと思っています。なるべく負担の少ない形で。

高熱のこどもが比較的楽そうな顔をしてすやすやと眠っている姿を見るたび、私はいつも解熱剤の存在に感謝してしまいます。安全な解熱剤のない時代は大変だったろうな、と思いをめぐらせます。これは小児科医としてではなく、ひとりの看病する母親として、身にしみて思うのです。