うつ病かもと思ったら - 杉浦こころのクリニック 杉浦 正義先生
2011年4月26日火曜日 15:47
- Q1.うつ病になる人の傾向はどういった人ですか?
- Q2.うつになるとどういった症状があらわれるのでしょうか?
- Q3.病気と認められるレベルの症状と一時的な症状の線引きはどこでしょうか?
- Q4.うつ病になりやすい季節はあるのでしょうか?
- Q5.どのような治療方法がありますか?
- Q6.患者さんは、どんな薬を使用されているのですか?
- Q7.薬以外でうつ病を防ぐ、予防する、症状を和らげる方法はあるのでしょうか?
>>杉浦こころのクリニック 院長 杉浦 正義先生のプロフィール
Q1.うつ病になる人の傾向はどういった人ですか?

まじめ、几帳面、完璧主義、責任感が強く、自分ひとりで背負う人がなりやすいです。元々の性格的な要素が大きく関わっているので、同じ職場で同じ仕事をしていてもなる人とならない人がいます。
-先天的な要素が大きんでしょうか?
はい。しかし先天的な部分だけではなく、周囲の環境の変化によって引き起こされることもよくあり、誰にとっても、可能性としてはゼロではないです。
どれだけ強靭な精神の人でも極度のストレスを受け続ける環境にいると、一時的なうつ状態になることがあります。
Q2.うつになるとどういった症状があらわれるのでしょうか?

うつにも色々な症状がありますが、気分の落ち込み、ゆううつ感、意欲の低下、不眠、思考制止(例えば本の内容が頭に入ってこないなど、頭の回転が鈍くなり、記憶力、決断力の低下、物忘れなどを伴います。)他には食欲不振、不安、イライラ感、全身の倦怠感、易疲労感などが主な症状です。
気をつけてほしいのは高齢者の方の場合は物忘れ、記憶力の低下でも認知症の疑いもありますので、一概にうつとは言えません。
Q3.そういった症状は誰もが一度は経験することがあると思うのですが、
病気と認められるレベルの症状と一時的な症状の線引きはどこになるのでしょうか?

それは中々難しい問題ですが、「不眠」が重要なキーワードになるでしょう。ただ単に眠れないだけですと一時的なストレスによる症状の可能性が高いです。ですがうつに伴う不眠症の場合は、気分が落ち込む、食欲が湧かない、疲れやすいなどの周辺症状があります。
眠れない時期が続いて他の症状も現れると、うつ病の可能性が高いと思いますので、専門医への受診をお薦めします。
Q4.うつ病になりやすい季節はあるのでしょうか?

うつ病の人が自殺などの行動として顕著に現れるのが春に多いです。と言うのは、冬場はうつの症状が悪化しやすく希死念慮(死にたいという気持ち)が大きくなりますが、気温が寒く日照時間も短いので行動に移すまでのエネルギーや元気が出てこないのです。動物の冬眠のような期間ですね。
それが春になれば気温も上がり日照時間も長くなり、行動に移すエネルギーが出てくるので、冬場に悪化した希死念慮を自殺という行動に移しやすい危険な時期です。そういったこともあり、春に患者さんが増える傾向にあります。
-そういった理由から五月病という言葉があるのかもしれないですね。また最近は新社会人が春に陥るうつは、六月病と呼ばれています。若い方がうつ病にかかることが多くなったように感じるのですが?
確かに最近は大学の新入生や新卒の社会人ぐらいの若い年齢層の患者さんが増えています。そういった方がよく陥る五月病や六月病は、冬場に悪化したうつの症状が原因と言うより、急激な環境の変化によるものと考えられます。
-環境の変化とは?
社会環境の変化です。昔に比べ人と人との関わりが希薄になり、親以外から叱られることが減りました。しかも少子化の影響からか、親からも叱られず育っている子供も多いです。
そしてその子供が大人になり、そのまま社会に放り出されて、そこで初めてきつく叱られる環境を経験して極度のストレスを感じてしまう方が多いのでしょう。こういった社会の変化から、若い患者さんが増えてきたのだと思います。
Q5.ところで、「杉浦こころのクリニック」さんでは患者さんに対して行う治療方法は
どういったものがありますか?

私たちのクリニックは心療内科ですので話を聞くだけではなく、薬による治療も行います。しかし初めて来る人はなかなか飲みたがりません。副作用、依存性があるのでは?と不安に思う方が多いです。また、薬を飲むことで自分が病気なのではないか?という現実を受け入れられないのでしょう。
-それは男性女性どちらもですか?
どちらかと言えば男性がその傾向にあります。症状が悪化してもなかなか来院されない方が多いです。
来院されても、薬をなかなか飲んでくれません。逆に女性はすんなり受け入れ、薬もまじめに服用される方が多いですね。
Q6.副作用や依存性などの不安がある患者さんが多い中で、どんな薬を
使用されているのですか?

うつ病の患者さんには副作用が少なく、依存性も低い抗うつ薬を処方します。主にSSRI、SNRI、最近ではNaSSAといった薬ですね。
これらはストレスによるセロトニンやノルアドレナリンなどの、やる気や元気に関係している神経伝達物質の機能低下を補う薬です。これらは飲んですぐ効果がある即効性のある薬ではありませんので依存性はない分、2週間前後の期間の服用が必要です。また、必要に応じて睡眠薬や抗不安薬も使います。これらは即効性がありますが、その分、数時間で効果は切れて元の状態に戻ります。
-そのような薬を飲むときに気をつけることは何かありますか?
絶対にアルコールと一緒に薬を飲まないで下さい。アルコールと一緒に服用すると、薬物の血中濃度が通常の数倍に上がって意識障害、記憶障害、健忘などの危険性があります。
Q7.わかりました。それでは最後に、薬以外でうつ病を個人で防ぐ、予防する、
症状を和らげる方法はあるのでしょうか?

もし職場などで仕事に対してストレスを強く感じるようであれば、負担の軽いような業務に回してもらう、一定期間休職するなど、環境の改善をして下さい。そのための支援を私たちのクリニックで行っています。他にも、最近ではリワーク支援を行っている職場の産業医も増えてきました。
-リワーク支援とは何でしょうか?
休職している患者さんが復職するまでの準備の支援です。例えば、決まった時間、実際に出勤していた時間に職場ではなく図書館に通うなどして、ストレスがかからない程度に生活のリズムを作るといった活動のアドバイスやお手伝いをすることです。
-なるほど。他にはどういった予防対策がありますか?
まずは自分自身を知ることも大事です。自分がストレスを感じやすい体質なのかそうでないのかを知ることです。ストレスを感じにくいと自分では思っていても、体調不良や気分が落ち込んだりするなど、心身に異常が出たらストレスを感じているサインです。自分のストレスに対する強さがわかれば早めの対策も立てられますからね。
あとは薬での治療も大事ですが、何より規則正しい生活をすることが非常に重要です。実はうつ病の方のほとんどが夜型生活を送っています。ですので午前中に外に出て、近所を散歩する、日光浴などをして、特に朝日を浴びることをこころがけて下さい。光療法、光線療法という言葉も医学用語としてあるぐらいですから。逆に夕方以降の活動は控えるべきです。日中に眠くなっても二度寝や昼寝は我慢して、朝型にリズムを変えましょう。薬の服用だけでなく、生活のリズムを整えるといった自助努力も大事でしょうね。
――――――本日はありがとうございました。
お話を伺った先生:杉浦 正義先生(杉浦こころのクリニック)

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