日別アーカイブ: 2019年5月17日

百舌の「はやにえ」

昼の暑さに比して、朝晩の気温低下が気になります。寝冷えして体調を崩す人が多いようです。お気をつけください。

大阪市立大学と北海道大学の共同研究チームが面白い発表をしたので紹介します。

百舌が捉えた獲物を木の枝などに刺す「はやにえ」ですが、これまでは餌が少ない冬の「保存食」と思われていました。今回研究チームが大阪の里山で行った調査で、はやにえの消費が寒さが続いている2月に少ないことから、単なる「保存食」では無いのではとの疑問が生じたとのことです。

研究チームは「はやにえ」の効果を調べるため百舌を三つの群に分けて観察したとのことです。

・はやにえを取り除いた「除去群」

・通常オスが消費するはやにえの3倍量相当の餌を与えた「給餌群」

・はやにえの数を操作しなかった「対照群」

はやにえを取り上げられた「除去群」では、オスのさえずりの詠唱速度が遅くなり、メスの獲得に失敗することが多くなったそうです。「給餌群」と「対照群」ではメスの獲得に差はなかったそうですが、餌をたくさん与えられ栄養状態の良い「給餌群」の方が詠唱速度も早く、早期にメスを獲得できたとのことです。

このことから、「はやにえ」は冬の栄養状態を改善し、「歌の質」を改善させる栄養食として働いていると考えられました。

食事の少ない冬でも、栄養食を確保して質の高いさえずりを行えるオスがモテる百舌の世界、なんだか人間の社会を見ているような気分になるのは私だけでしょうか?

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