月別アーカイブ: 2008年11月

不言実行

クリニックもインフルエンザワクチンの接種を受けに多くの方が来院され、特に若い世代の人が目立ち、健康への関心が強いことは良いことと感じています。
さて、医師として色々な人々と関わる上でいつも痛感するのは言葉の難しさです。
言葉によって励まし勇気を与えることもできる反面、何気ない一言で人は容易に傷つくこともよく経験します。
ですから言葉選びの大切さと共に、なるべく余計なことは喋らずできるだけ少ない言葉で真意を伝える努力、言うならば不言実行の精神を培いたいと常々思っています。


心の強さ

人の強さ、正確には人の心の強さとは何でしょうか?
ともすれば自己主張する、人に対して強い態度に出ることが強さと思われがちですが、それはむしろ弱い心、脆い心なのです。
本当の強さとは、自律心があり人やモノに依存せず、また惑わされず、自由で柔軟な思考ができ、信念を持っている、そのような広い心を指すのだと思います。
ただ人間はなかなかそのような心を持つことが実際には簡単ではなく、それゆえに悩み苦しむのだと思いますが、少なくとも自分は小さな存在であるという謙虚さを失わない限り、自然と素直な心、感謝できる心が育まれて行き、思いやりや優しさを常に忘れない温かい人になれると信じます。


貧血

若い女性に見られる貧血の多くは鉄欠乏性貧血で、過多月経などが主な原因ですが、中高年者で貧血を認めた場合には注意が必要です。
なぜなら中高年者での鉄欠乏性貧血は、重大な原因疾患が潜んでいることが少なくないからです。
胃がん、大腸がんなどの消化器がんでは慢性的な出血による鉄欠乏性貧血を伴うことは珍しくなく、実際に血液検査から貧血を指摘され精査して大腸がんが見つかることもしばしば経験します。
また最近では骨髄異型性症候群と言って、骨髄機能の異常から貧血に加えて白血球減少や血小板減少を来す血液疾患も増加していて、高齢者のみならず若年者でも見られ注意が必要です。
いずれにせよ貧血が見られた場合、安易な造血剤の投与は禁物で、原因疾患の精査を速やかに行い、適切な原因療法の選択がなされるべきであることは言うまでもありません。


小さな喜びを積み重ねよう

人生には節目となる幾つかの転機があり、普通それらは大きな喜びを伴うことが多いものです。
例えば志望大学の入試に合格した時、憧れの職業に就けた時、恋する人との結婚にゴールインした時などなど…..
しかし、大きな喜びも時とともにその実感は忘れ去られて行きます。
幸福な人生というものを考える時、人は何を求めるべきか?
それはおそらく日々の日常の中に、いかに沢山の喜びを見いだせるかどうかだと思っています。
人それぞれ喜びの基準は違いますが、その目線が低ければ低いほど多くの喜びを感じることができるはずで、小さな喜びの積み重ねにこそ本当の幸せがあるのだと信じます。


十の言葉より一度の笑顔

暗い世相の中、心から笑えることが少なくなりがちです。
しかし笑うという行為は人間にとってとても大切で、心身ともに健康を維持するためには欠かせないことなのです。
常に笑いのある家庭は楽しく、家族は幸せを感じることが多いはずです。
また職場でもユーモアと微笑みが溢れる所では、皆が楽しくやりがいを持って仕事ができるでしょう。
そして辛く悲しい状況にある人には、沢山の慰めの言葉より身近な人の優しい笑顔がなによりの救いとなるに違いありません。
さあみんな、大いに笑いあいましょう!


孤独

人間は孤独な存在である。
自分を完全に理解してくれる人は誰もいない。
だから人は傷つき、悩み、苦しむ。
しかし人は人を信じることができる、
人を愛することができる。
信じられることより信じることを、
愛されることより愛することを望もう。
そうすれば孤独をも楽しむことができる。
光輝く姿は孤独の中にこそある。