Expert Meeting for Dyslipidemiaに参加して

今日は東京で脂質異常症の講演会に出席しています。昨晩は東京在住のO先生と会食し、自分が先輩であるにもかかわらず、六本木のステーキ屋さんですっかりご馳走になりました。いつもありがとうございます。さて、会は虎ノ門ヒルズフォーラムで行われ、脂質異常症(高脂血症)に対する薬物療法について、専門家の先生による講演が今から行われようとしています。特に冠動脈疾患の最前線治療から一歩引いた開業医の立場としては大変勉強になります。

脂質異常症に関しては、米国で最近気になるトピックが2つありました。1つ目は米国心臓病協会と米国心臓学会器学会(ACC/AHA)が動脈硬化性心血管疾患の予防のための脂質異常症治療に関するガイドラインを改定し、コレステロール低下薬のスタチンをコレステロール値などの管理目標値なしで投与する事を推奨した点です。「どうせスタチン投与でコレステロール値は下がるのだから投与しておけばいい」という考え方?で、自動追尾ミサイルに使われる軍事用語になぞらえて “ファイアー・アンド・フォーゲット(撃ちっ放し)”というそうです。何だか物騒でアバウトでいかにもアメリカ的だなと思います。きめ細かく患者さんを診る日本の実情を考えると違和感を感じざるを得ません。また2つめのトピックは、つい最近やはり米国の厚労省などが、高コレステロール食と動脈硬化性心血管疾患に関連性がなく、食事制限の必要がないと発表したことです。これも詳しく原著を読んだわけではないので、はっきりしたことは言えませんが、最初の話題と合わせると、リスクのある患者さんにとりあえずスタチンを投与しておけば、コレステロール制限の食事は必要ないというふうに解釈できます。米国では日本に比較して圧倒的に心筋梗塞の罹患率が高く、スタチンの使用が4〜5倍であるという現状があり、一概に現在の我々の治療方針を変える必要は無いものと考えます。勿論心筋梗塞後や糖尿病患者さんなどハイリスクの方にも、まだまだ脂質異常症治療が不十分であるという本邦の現状は改善されるべきですが、外国のデータに付和雷同しないためにも、日本の特性に合わせた臨床研究によるエビデンスの構築が必要だと考えます。

本日は東京マラソンで交通規制があります。新幹線に乗り遅れないようにしたいと思います。それでは。

 






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