ノーマスク搭乗者に対する相次ぐ退機命令に思う

当院では、大型空気清浄機・陰圧隔離室・玄関前待機駐車場・N95使用など院内感染に関しては人一倍気を使って、徹底しているつもりである。
その中で最近報道されている、ノーマスク搭乗者に対する相次ぐ退機命令には、一抹の不安を感じざるを得ない。
まずその客にコロナを疑わせる症状でもあったかどうかである。体温は乗る前に測っていてパスしている筈であるし、咳もしていない様子であるし、二十歳前後の遊び人でもなかろうし、静かに座っている乗客の感染源としての可能性は99.9999パーセントないと考えられるのである。
万が一当人が無症状患者であったとしても、換気の行き届いた空いた機内では感染の可能性は極度に低いと考えられる。にも拘らず、無理やりマスクをしておけというのは、個人の自由をあまりにも束縛するものであり、かつ個人の尊厳を無視するものである。
航空会社の内規では、客にマスク着用を勧めることになっているのかも知れないが、それはあくまでも法律ではない。にも拘らず寄ってたかって皆で非難するのは、まるで戦時中の再来を想像するのである。盲目的且つ付和雷同による「ハイアーヒトラー」、国内では特高による戦争反対者の逮捕、赤狩りと称した迫害、と同じではないか。日本人はその国民性でもってまた同じ過ちを犯しているのではないだろうか。全体主義的性格に危険性を感じる。
降ろされた客が騒いだとか、暴れたとか言う噂もあるが、あったとしてもそれはまともに考えもしない、愚かな周りの客や乗務員が刺激して、そうさせたのではないだろうか。降ろす口実作りに。
いずれにせよ、「少々のビールスが入ってきても、跳ね返してやるぞ」という自信を持てるだけの体力作りと健康維持の努力を何もせずに、「お前出ていけ」は余りにも身勝手で、安易な責任転嫁と言わざるを得ないのではないだろうか。

2020年9月14日 八杉誠






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