トイレがいつも気になる

30代男性、20代より軟便気味で1日3回以上の排便。出勤前、仕事中に急にトイレに行きたくなることが続いていました。健診結果はいつも便潜血(-)でしたが、気になるため、今回大腸検査を希望して来院されました。

大腸カメラ検査の結果、Ⅰp径20㎜近くのポリープが見つかり、大きさから連携病院にてポリープ切除(腺腫)を行いました。

他に病変がなく、日常のトイレが気になる排便状態などは、過敏性腸症候群(IBS)に該当しますが今回のように、大腸カメラで若い方でも切除対象となる大腸ポリープが見つかるケースがあります。欧米の食生活スタイルで増加傾向にある大腸癌の予防になりますので、便潜血(-)でも何らかの症状があれば大腸カメラ検査をお勧めします。


胸のつまり感

ピロリ菌除菌後、慢性胃炎O-Ⅱ 腸上皮化生(++)の方で、ピロリ菌除菌成功後でも慢性胃炎の状態がある程度進んでいますので、年1回の胃カメラ定期観察が推奨されています。

いつも1年に1回のペースで経過観察を行っていましたが、除菌後、調子よく過ごされていましたが、最近飲みこむときに胸あたりのひっかかりが出てきたということで約7ヶ月遅れての胃カメラ検査となりました。

今回の胃カメラ検査では、胃食道接合部近くに早期食道ガンが見つかり、連携病院にてESD(粘膜剥離術)が行われ無事退院されました。食道ガンは、胃ガンと比べ日本ではまだ少ないですが、進行は胃ガンより早い為、より早期の発見が必要です。

胸のつかえ、違和感といった症状があれば、胃カメラ検査では、食道から胃、十二指腸と観察していきますので、より多くの病気を見つけることができますのでお勧めいたします。


お腹の風邪

1月に入り正月以降から急な冷え込みとなりカゼの方が多く見られます。

特に、お腹の不調の方が多く見られます。鼻水、咳はなく、夜中、起床時、夕方から時間に関係なく急に嘔吐、下痢、腹痛の症状が出現。(いつも通りの食事だったのに)

発熱は、個人差がありますが胃腸の症状から感冒性胃腸炎(お腹にくる風邪)が考えられます。 食べてないので栄養をつけようと無理に食事を摂られる方がおられますが逆効果ですので気をつけてください。胃腸に負担をかけないのが1番です。

対処方法は、『トップページ』「よくある胃腸の病気」をご覧ください。

まだまだ、本格的な寒さが続きますので体を冷やさないように気をつけてください。


経鼻内視鏡検査の精度では不安?

胃カメラ検査で「経鼻内視鏡検査」と「経口内視鏡検査」では、経口内視鏡検査の方が精度が上では?経鼻内視鏡検査では判らないのでは?との質問を受けます。

10数年前、最初の経鼻内視鏡(第一世代)では、確かに画質に差がありました。が、数年で第2世代、第3世代の経鼻内視鏡カメラが次々と開発され、同等の画質レベルに追い付き、現在、第4世代(当院使用)では、近景(数ミリ~数センチ)では、通常に使われる経口内視鏡よりもフォーカスが合っており詳しい観察が可能、遠景、中景に差がないとの報告があります。
むしろ「経鼻内視鏡検査」の方が、画質やフォーカスという面では「経口内視鏡検査」を逆転している状態となっています。
早期ガン(5㎜以内の微小ガンも含め)の観察には、「経鼻内視鏡検査」の方が「経口内視鏡検査」より適してるのではないかと感じています。(組織検査は、経口と同様にできます。)

また「経鼻内視鏡検査」は、口径が細いため、仮に経口として使われても嘔吐反射は軽減され、経鼻挿入では、さらに嘔吐反射は軽減されます。食道病変など(ほぼ近景でみる状態)の観察には、反射も少なく適した検査だと実感しています。


慢性胃炎の方は、胃カメラ検査をお勧めします

慢性胃炎 O-Ⅲ 腸上皮化生の強い状態の方で(ABC分類D群に相当)、3年前胃カメラ検査で早期胃癌を指摘、連携基幹病院にて視鏡下剥離術(ESD)施行。
以後当院で、本人の希望より毎年、6ヶ月毎に胃カメラ検査施行。今年、1回目の胃カメラ検査で、前回(3年前)胃癌切除した部位とは離れたところに早期胃癌が見つかり、前回同様に内視鏡下剥離術(ESD)施行となりました。
ご本人も定期的に胃カメラ検査していて、早く見つかったことに納得されていました。本当に良かったです。

慢性胃炎の状態(重症度)に応じて、胃癌の発生率が高い状態にありますので、最低でも、50~60才以上で慢性胃炎のある方は、年1回、(重度の方は、6ヶ月毎)胃カメラ検査をお勧めします。


ピロリ菌の除菌判定検査の重要性

30代の女性の方で、4年前に「胃痛」「胃もたれ」の症状で精査希望で来院。胃カメラ検査にて「発赤、びらん、萎縮を伴う典型的な慢性活動性胃炎」が見られ、ピロリ菌検査 陽性。ピロリ菌1次除菌施行。

通常なら内服終了後、約30日以降にピロリ菌一次除菌の判定行いますが、以後受診がない状態でした。再び、今年に入り「胃痛」「胃もたれ」の症状続き、最近強くなり精査希望で来院。
胃カメラ検査では、前回と同様の所見で除菌できていない状態でした。ピロリ菌判定検査でも陽性。二次除菌開始となりました。

ピロリ菌除菌薬には、抗潰瘍の薬、抗生剤が入っているので内服で急性症状が強い方は、短期間で改善します。もう治ったかのように思います。但し、除菌ができていないと再び元の状態に戻り 潰瘍、急性炎症状態の再発になりますので“除菌成功か否か”のピロリ菌判定検査は、大切です。


ノド・食道の異物感、違和感

ノドの詰まる感じ、食道の違和感の症状で胃カメラ精査で来院された方です。
他院にて、逆流性食道炎の疑いで胃薬のPPI(制酸剤)が処方されていましたが、改善ないとのことでした。胃カメラ検査で、食道入口、食道、胃と食道接合部、胃粘膜にも色調、形状ともに特別な所見はなし。

日常でも食事に関係なく感じたり、何かに集中しているときは、感じていないということでした。胃カメラ検査で「がん」などがないことで安心されました。

近年、しばしばよく同様の症状を呈するケースが多く見受けられます。やはり、胃カメラ検査で食道入口、食道、胃と食道接合部に明らかな異常認めず、考えられることとして東洋医学(専門ではありませんが)では、神経性食道狭窄症という診断となります。咽頭、食道過敏の状態で疲労、ストレス、睡眠不足、季節、環境の変化などが原因が考えら、漢方薬などが治療に使われていますが、経過観察となるケースが多いです。

症状として、ノド、食道に異物感、違和感がある場合、上記のケースもありますが、まず、他に異常がないか(咽頭、食道がん、ポリープ、食道炎、潰瘍など)確認は必要ですので胃カメラ検査を受けられることをお勧めします。


若年者のピロリ菌感染

3月に入り、「胃痛」「胃もたれ」「食後の張り」といった胃の不調を訴えられた30代の方の胃カメラ検査が立て続きました。30代のピロリ菌感染は、20~30%台との報告ですが、最近では珍しく胃潰瘍を伴った方もおられ全員がピロリ菌感染陽性で、全員一次除菌開始となりました。
幼少時期に感染すると言われ、30年前としても日本の衛生環境も悪くない年代ですが
感染ルートは不明で(ご両親の感染ない方も多く)若年者のピロリ菌感染が、多く見られることがあります。除菌治療は、若年ほど効きやすいので、胃カメラで早く確定診断してから治療開始をお勧めします。


なぜ、胃カメラは1年に1回も必要なのでしょうか?

胃癌は、慢性胃炎の程度が強く、その範囲が広く、年数が長い人ほど 発生率が高くなることがわかっています。
慢性胃炎を悪化させる原因の
1番目はピロリ菌の関与、
2番目に喫煙、加齢、
3番目に塩分、不規則な食生活がきます。
長年、慢性胃炎で胃粘膜を傷つけ続けた結果、胃粘膜に癌として異常細胞が発生します。早期胃癌(深さが粘膜下層まで)から進行胃癌(筋層を超えていく)まで約1年という速いスピードで進行していきます。
早期胃癌のほとんどが自覚症状はありません。

何らかの胃の不調で検査を受けた時、健診、人間ドッグ(内視鏡検査)でたまたま見つかるケースがほとんどです。

50歳代で61%、60代で74%のピロリ菌感染があり組織学的慢性胃炎があります。
慢性胃炎の段階で、できるだけ早く早期胃癌(微小癌5㎜含め)の有無を確認する事が大切です。
慢性胃炎、癌の有無は、組織検査で判定されます。
そのために、1年に1回胃カメラを受けましょう。


ピロリ菌を除菌したら胃ガンはもう大丈夫?

40代で40%以上、50代で50%以上、60代で60%以上の人に慢性胃炎が存在し、それに伴い胃ガンの発生率が高くなってきます。ピロリ菌が胃ガン発生の危険因子であることはWHO(世界保健機関)でも認められ、除菌治療で胃ガンの発生を約1/3~1/2に抑えられるという報告があり、除菌治療が広く行われています。
ただし、除菌治療でピロリ菌が(-)だから胃ガンの発生がゼロになるわけではありません。年齢とともに慢性胃炎は進み、炎症が進んだ胃粘膜はどのような方法を使っても元の状態には戻らず、食塩・刺激物・喫煙・不規則な食生活・癌家系といった危険因子は残っています。

★それでは、どのように胃ガンを予防すればいいのでしょうか?

残念ながら、現在の医療レベルでは「胃ガンを予防できる薬」はありません。現段階では、自動車などと同様、常に使っているものだからこそ定期的にメンテナンスをすることです。

胃カメラ検査による定期メンテナンスのメリット

1.今の胃の中の状態(慢性胃炎の範囲・程度)を知ることができる。
2.疑わしいところは組織検査ができ、早期ガン・微笑ガン(5mm)の早期発見ができる。