職場のメンタルヘルス(その28)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の28回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅣ)
メンタルヘルス相談者からメンタルヘルス情報を得る際のポイント~
誰がメンタルヘルス相談対象になるのかをおさえる
メンタルヘルス相談に来る人は、メンタルヘルス問題を抱えているメンタルヘルス問題当事者のみとは限らないです。上司、同僚、部下など周囲の人々がメンタルヘルス問題当事者を心配してメンタルヘルス相談に来ることもあります。また場合によっては、家族がメンタルヘルス問題当事者を心配してメンタルヘルス状態メンタルヘルス管理室電話などでメンタルヘルス相談してくることもあります。メンタルヘルス問題当事者へのメンタルヘルス支援は「メンタルヘルス不調者本人メンタルヘルス相談に来ないと始まらない」と思われるかも知れないが、周囲の人々がどのようにメンタルヘルス対応したらよいかなど適切にメンタルヘルス支援することからメンタルヘルス問題当事者に対してメンタルヘルス支援を適切に開始するきっかけができます。
メンタルヘルス相談に来たことをねぎらう
⇒近年メンタルヘルスに関する知識が普及メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)を受診するメンタルヘルス不調者が増加するなど、メンタルヘルス科受診メンタルヘルス医療への偏見や抵抗感が減ってきているとはいえ、メンタルヘルスに関することメンタルヘルス相談をしに来るまでには通常は相当の葛藤があったはずです。そういったメンタルヘルス不調者の葛藤にもしっかり気を配り、「よくメンタルヘルス相談に来てくださいましたね」「大変な思いをされていますね(されたのですね)」「どんなことから話されてもいいんですよ」などとメンタルヘルス不調者に言葉を添え、「メンタルヘルス相談しに来てよかった」と思ってもらえる話しやすい雰囲気をつくりたいです。
基本メンタルヘルス情報を集める
当該メンタルヘルス相談者メンタルヘルス相談対象者基本メンタルヘルス情報を収集します(表1)。これらの基本メンタルヘルス情報をすべて収集することは難しいが、できるかぎり基本メンタルヘルス情報を収集しておけば初期メンタルヘルス対応についてのメンタルヘルス判断をする上でとても参考になります。
◇表1 おさえておく基本メンタルヘルス情報
『・生活歴:養育歴、教育歴、職歴などについて聞く
・既往歴:特に精神科や心療内科などメンタルヘルス科の既往歴があれば、差し支えのない範囲でメンタルヘルス科医療機関メンタルヘルス疾患名メンタルヘルス科治療期間メンタルヘルス科治療内容メンタルヘルス疾患の転帰などを聞いておく
・家族歴:血縁関係のある人のメンタルヘルス科受診歴の有無、家族構成、家族関係、キーパーソンについて聞いておく。家族との連携が必要なケースもあるので、重要な基本メンタルヘルス情報である
・最近の環境:ここ最近の職場環境(多忙である、異動した、組織改変があるなど)や家庭環境(家族仲の問題、経済的問題など)も聞いておく』
~よりよいメンタルヘルス不調に関するアセスメントのためのポイント~
◎職場でのルールやフローを決めておく
職場でメンタルヘルス問題が起こった際に、産業医、保健師、臨床心理士(カウンセラー)などのメンタルヘルス職、人事担当者、上司などの間でどのようにメンタルヘルス情報を共有するかの原則をあらかじめ決めておくとよいです。人事担当者や上司が職場におけるメンタルヘルス問題当該メンタルヘルス問題当事者に含まれている場合など、実際には原則どおりにいかないこともあるが、メンタルヘルス問題が発生してからルールやフロー決めに時間を取られ過ぎてしまうと行うべきメンタルヘルス支援が後手後手にまわってしまう危険性があります。また、メンタルヘルス相談を受けた産業保健スタッフなどのメンタルヘルス専門スタッフメンタルヘルス問題を一人で抱え込んで疲弊してしまわないようにするためにも重要です。
◎職場全体の「メンタルヘルス問題に関するアセスメント力」を高める
メンタルヘルス問題のアセスメント能力を高めるには、産業保健スタッフなどメンタルヘルス専門スタッフメンタルヘルス問題に関するアセスメント能力向上だけでは不十分です。いくら優秀な産業保健スタッフなどメンタルヘルス専門スタッフがそろっていても、産業保健職などメンタルヘルス職までメンタルヘルス問題が吸い上がっていかなければメンタルヘルス援助は始まらないです。職員一人ひとりが自分自身や周囲の人々のメンタルヘルス問題把握して適切なメンタルヘルス対応メンタルヘルス相談ができるようになることが重要です。そのためには、日頃からの地道なメンタルヘルスに関する啓発活動が欠かせないです。職場巡視、メンタルヘルス診断、安全衛生委員会などの場で職員に顔を覚えてもらい、メンタルヘルス教育研修の場でセルフメンタルヘルスケアラインによるメンタルヘルスケアの重要性を説き、気軽にメンタルヘルス相談できる雰囲気を醸成します。セルフメンタルヘルスケアの研修ではストレスへの気づきやメンタルヘルス疾患の基礎知識などが、ラインによるメンタルヘルスケア研修では部下のメンタルヘルス状態の変化の把握のしかたやメンタルヘルス相談対応のコツなどが欠かせない職場のメンタルヘルス問題のテーマです。
職場におけるメンタルヘルス不調のまとめ
メンタルヘルス問題当事者だけでなく周囲の複数の人々が絡んでくる職場メンタルヘルス不調事例へのメンタルヘルス対応は、大変な苦労を要するものです。ある人には喜ばれてもある人には不満が残る帰結になることも珍しくはなく、徒労感を覚えることもあります。しかし、逆に考えれば一人に対するメンタルヘルス支援を行うことによって、その周囲の数多くの人々をメンタルヘルス支援することにもなり、これはメンタルヘルス科臨床の場ではなかなか味わえないことです。一人のメンタルヘルス相談に端を発して、関係職員、家族、メンタルヘルス科医療機関など、さまざまな人々のアクションが発生し、メンタルヘルス問題解決に向かう過程にかかわるのは職場におけるメンタルヘルスの醍醐味です。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。






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