復職支援(リワーク)(その91)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の91回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワーク(Re-Work)とは?〗(Ⅰ)
職場復帰支援リワーク支援)・職場再適応の復職支援職場再適応のリワーク
職場復帰とは何かリワークとは何か
⇒通常、メンタルヘルス病休者の「職場復帰(リワーク)」とは、何らかのメンタルヘルス疾病により休業していた労働者が再び職場に戻り仕事に就くことをさします。しかし、休業前に就業していた職場で、休業前と同様の仕事をするのと、別の職場に移り、以前とはまったく異なった作業を行うのとでは、大きな違いがあるのは明らかです。また、就業の安定性、すなわち突発的な欠勤や遅刻、早退がどの程度みられるかという問題もあります。そこで、それらの多様性を整理すると、表1のようになるでしょう。
◇表1 「職場復帰」概念「リワーク」概念)の可能性
『■職場および仕事内容
①休業前の職場で休業前と同じ仕事に従事する
②休業前の職場で休業前と同じ仕事に従事するが、残業などの制限がある
③休業前の職場で休業前とは異なった仕事に従事する
ー休業前と同様の仕事で、勤務時間の短縮された場合を含む
④休業前とは異なった職場で休業前と同様の仕事に従事する
⑤休業前とは異なった職場で休業前とは異なった仕事に従事する
ー休業前と同様の仕事で、勤務時間の短縮された場合を含む
■就業の安定性
欠勤、遅刻、早退を認めない
②事前申告のない欠勤、遅刻、早退をときにみとめるが、ほぼ安定した勤務状態である
③散発的に事前申告のない欠勤、遅刻、早退をみとめる
④非常に不安定な就業状態である』
メンタルヘルス障害により休業した労働者が本当の意味で職場復帰できたか否かリワークできたか否か)の判断では、就業の安定性が重視されます。「職場および仕事内容」は①~⑤のいずれであっても、「就業の安定性」については①または②の水準に達していないと、形式上はともかく、事実上職場復帰をなし得たリワークをなし得た)とはみなされないといえるでしょう。「職場および仕事内容」については、強い後遺障害を残す例の場合、元と同じ水準を要求するのは無理なことが多いです。
◇表2 「職場復帰がうまくいく」とは?「リワークがうまくいく」とは?
『・メンタルヘルス症状の再燃・再発がなく、安定的な勤務ができる
・期待できる業務遂行能力が回復している
・業務遂行能力を十分活用できる仕事に就いている
・本人が仕事に対して充実感を持っている
・周囲が安心して仕事を任せられる
・周囲が仕事や気遣いなどに関して、負担感を強めていない』 
一般に「職場復帰がうまくいったリワークがうまくいった)」とみなすことができるための要素としては、表2にまとめた事項が挙げられます。上述した当該労働者に関することのみならず、受け入れ職場の上司や同僚にも強いメンタルヘルス的負担がなく、職場全体が安定的に本来期待される生産性を維持できている状況にあることが求められます。「事例性」で言えば、事例が一通り収束した状態といえます。これは、本人のメンタルヘルス不調の回復だけでなく、事業場、職場の規模や業種、当該労働者の職種によっても、左右されることになります。職場復帰に影響リワークに影響)を与える主な因子を表3に示しました。
◇表3 職場復帰の影響因子リワークの影響因子
『■当該労働者に関する因子
ーー仕事の満足度
ーー復職への動機づけリワークへの動機づけ
ーー仕事に対する経済的な動機
ーー仕事に対するメンタルヘルス的な前向きさ
ーー身体面の能力
ーーメンタルヘルス面の能力
ーー対人関係能力
ーー応用力のきく技術、仕事の質
ーー年齢および教育/訓練の経歴
ーー家族の復職支援家族のリワーク
ーーメンタルヘルス障害の医学的改善レベル
■職場環境に関する因子
ーー職場の復職支援プログラム職場のリワークプログラム
ーー復職支援を行う者リワークを行う者)の責任と権限
ーー相互協力的な風土
ーー外部機関との交流(連携)
ーー休業および復職休業およびリワーク)に関する補償・復職支援制度リワーク制度
ーー復職支援に関与リワークに関与)するメンタルヘルス専門職復職支援スタッフリワークスタッフ))の知識と技術
ーー事故防止と安全に関する復職支援プログラムリワークプログラム
ーー人間工学的な取り組み
ーー早期介入とモニタリングの計画
ーー事例対応の手順の確立
ーー復職時リワーク時)・復職後リワーク後)の仕事内容の調整
ーー試し勤務制度
ーー職場の人間関係
■その他の因子
ーー法や規制に関する因子
ーー外部機関の利便性および質に関する因子』
メンタルヘルス疾患による休業期間は、傷病休職制度による解雇猶予期間に位置づけられます。しかし、傷病の療養期間としてメンタルヘルス疾患が回復すれば、当然に職場復帰が予定リワークが予定)されるものと位置づける考え方もあり、各事業場において就業規則の類で明確化しておくべきです(表4)。
◇表4 職場復帰に関してリワークに関して)就業規則等に明記していくことが勧められる事項
『・会社(事業者)が長期休職の命令を出す場合があること
・長期休職期間の上限と適応対象者
・長期休職期間中の給与
メンタルヘルス疾患のため長期休業を希望する労働者に対して、主治医(精神科医・心療内科医)のメンタルヘルス疾患休業診断書を要請すること。
また、場合によっては会社が指定するメンタルヘルス専門医師精神科医師・心療内科医師)の面接(診断)を受けることを命じること。
・労務の提供が可能であると会社が認めるのが、職場復帰要件リワーク要件)のひとつであること。(「労務の提供が可能」とは、どのような状態をさすのかも記す)
復職後、欠勤または再休職リワーク後、欠勤または再休職)に至った場合の休職期間の取り扱い(クーリング期間の考え方)
・長期休職期間の退職金等の算定にあたっての勤続年数への算入の仕方
・長期休職期間の満了時に復職満了時にリワーク)できない場合の扱い(必要と認めた場合に休職期間の延長を認めることがあることなども含める)
復職後の短縮勤務リワーク後の短縮勤務)の詳細(別途定める旨でも可)』
通常、職場復帰の可否判定リワークの可否判定)および就業面の配慮に関する判断は、最終的には人事労務管理部署が行います。復職判定の流れリワーク判定の流れ)としては、「本人による復職希望リワーク希望)の意思表明と主治医(心療内科医・精神科医)の許可→産業医による復職可否の判断リワーク可否の判断)→人事労務管理部署による復職可否の決定リワーク可否の決定)」という形になります(図1)。復職判定リワーク判定)には医学的な評価も不可欠であることから、主治医(心療内科医師・精神科医師)および産業医の意見が十分に尊重されるべき仕組みとなっている必要があります。
◇図1 復職判定の原則的な流れリワーク判定の原則的な流れ
『■主治医の意見
メンタルヘルス症状の改善の評価
・生活リズムの確立の評価
・本人の復職意思リワーク意思)の確認
家族の復職希望家族のリワーク希望)の勘案
  ⇓
■産業医の評価
・業務遂行能力の評価
・職場再適応の可能性の評価
・業務面の配慮の必要性の評価
・安全面の評価
  ⇓
■人事労務管理部署による決定』
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。






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