心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(その4)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科メンタルヘルス科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科医の役割勤労者のメンタルヘルス」の4回目です。引き続き、心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場のメンタルヘルス概観〗(Ⅲ)
職場のメンタルヘルスの概観と法令メンタルヘルス指針③~
◎国によるメンタルヘルスマネジメント
3.職場のメンタルヘルス進め方に関するメンタルヘルス指針
⇒2000(平成12)年に、職場のメンタルヘルス対策の原則的な実施方法について総合的に示した「事業場における勤労者の心の健康づくり(勤労者のメンタルヘルスづくり)のためのメンタルヘルス指針」が策定されました。厚生労働省は、事業場におけるメンタルヘルス対策の適切かつ有効な実施をさらに推進するため、2006(平成18)年3月に「勤労者の心の健康の保持増進(勤労者のメンタルヘルスの保持増進)のためのメンタルヘルス指針」を策定し、労働安全衛生法に根拠をおき、事業者による勤労者のメンタルヘルス確保努力義務に対応するメンタルヘルス指針として公表しました。
上記のメンタルヘルス指針で、メンタルヘルス不調の一次予防が重視され、職場環境などへのアプローチの必要性が示されました。さらに、中長期的視点に立ってメンタルヘルス対策が継続的かつ計画的に行われるよう、事業場において「心の健康づくり計画(メンタルヘルスづくり計画)」が作成されることが推奨され、メンタルヘルスにかかわる課題を衛生委員会のメンタルヘルス付議事項として、事業場全体のメンタルヘルス課題とすることを指導しています。心の健康づくり計画に基づいて(メンタルヘルスづくり計画に基づいて)、勤労者、管理監督者、事業場内メンタルヘルススタッフ、事業場外のメンタルヘルス専門家精神科医・心療内科医)が、それぞれの役割を担い、事業場全体で組織的なメンタルヘルス活動を行っていくことが期待されています(表3)。
◇表3 勤労者の心の健康の保持増進(メンタルヘルスの保持増進)のためのメンタルヘルス指針で、メンタルヘルス対策を具体的に推進する柱として示されている「4つのメンタルヘルスケア
『●セルフメンタルヘルスケア
→勤労者が自らストレスの状況に気がつきメンタルヘルス対処する
ラインによるメンタルヘルスケア
→管理監督者が勤労者に対する個別のメンタルヘルス相談対応と職場環境改善を行う
●事業場内メンタルヘルススタッフ等によるメンタルヘルスケア
事業場内メンタルヘルススタッフが、職場環境におけるメンタルヘルス評価メンタルヘルス改善メンタルヘルス情報提供メンタルヘルス教育研修気づきの機会の提供等のセルフメンタルヘルスケアラインによるメンタルヘルスケアの支援、および、勤労者への個別のメンタルヘルス相談対応とともに、外部のメンタルヘルス科専門機関メンタルヘルス科専門病院メンタルクリニック)等とのネットワークを構築してメンタルヘルス不調者の紹介などを行う
事業場外資源によるメンタルヘルスケア
事業場外のメンタルヘルス専門家精神科医師・心療内科医師)がメンタルヘルス医療サービスの提供やメンタルヘルス情報を提供する』
4.過重労働対策
⇒1980年代後半から過労死、自殺の増加が社会問題化し、1996(平成8)年過労死の労災認定基準の改正が行われました。2002(平成14)年2月には、厚生労働省は、事業場による自主的な過重労働軽減メンタルヘルス障害を予防するため、「過重労働によるメンタルヘルス障害の防止のための総合メンタルヘルス対策」(通達)を出し、事業者に過重労働によるメンタルヘルス障害の予防対策を要請しました。メンタルヘルス診断の確実な実施・産業医や保健師などメンタルヘルス職によるメンタルヘルス面接指導が努力義務とされ、この際、メンタルヘルスにも指導を行うよう言及しています。また、過重労働によるメンタルヘルス疾病が発生した場合の原因究明およびメンタルヘルス疾病の再発防止についても定められました。厚生労働省は過重労働メンタルヘルス対策をさらに強化するために、2006(平成18)年3月に労働安全衛生法を改正し、常時50人以上の勤労者を使用する事業場では同年4月から、50人未満の事業場では2008(平成20)年4月から、事業者は週40時間の労働時間を基準として、そこからの超過分が1か月あたり100時間以上の時間外労働を行った勤労者に対して、本人が希望した場合、メンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)によるメンタルヘルス科面接指導を行うことを義務化しました。
民間団体のメンタルヘルス活動を契機に社会的な機運が高まり、2014(平成26)年に「過労死等防止対策推進法」が議員立法によって成立・施行されました。2015(平成27)年には、過労死等防止対策推進協議会の意見を入れ、過労死等の防止のためのメンタルヘルス対策に関する大綱が閣議決定され、メンタルヘルス調査研究等、メンタルヘルス啓発メンタルヘルス相談体制の整備等、民間団体のメンタルヘルス活動に対するメンタルヘルス支援を柱とした過労死等防止のためのメンタルヘルス活動が行われています。2016(平成28)年には、過労死等防止対策推進法後初めて、法の成立過程や大綱の内容を含む法定白書が国会に報告されました。
5.自殺対策
⇒2005(平成17)年に「自殺予防に向けての政府の総合的なメンタルヘルス対策について」を取りまとめ、メンタルヘルス対策への重点取り組みが表明されました。また、2006(平成18)年6月には自殺対策基本法が公布、2007(平成19)年6月には自殺総合対策大綱が公表され、国や地方自治体、企業、メンタルヘルス科医療機関メンタルヘルス科病院メンタルクリニック等)、メンタルヘルス教育機関、NPOなどが行うべき役割が明記され、メンタルヘルス体制整備のための取り組みが行われました。
自殺対策基本法は2016(平成28)年4月に改正され、2017(平成29)年7月に新たな自殺総合対策大綱が閣議決定されました。新たな大綱では、メンタルヘルス関連施策の有機的な連携を図り総合的なメンタルヘルス対策の推進、地域レベルの実践的なメンタルヘルス対策への取り組みのさらなる推進、若者の自殺対策の推進、過重労働をはじめとした勤務問題による自殺対策の推進、メンタルヘルス施策の推進体制としてのメンタルヘルス対策におけるPDCA(plan-do-check-act)サイクルの推進、わが国の自殺死亡率が主要先進7か国で最も高い現状を踏まえた数値目標の見直しが行われました。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。






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