復職支援(リワーク)(その10)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の10回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎うつ病などメンタルヘルス疾患の身体面での症状
うつ病は一般的に「①抑うつ気分」と「②意欲の低下」が二大症状として現れると言われています。我々精神科医・心療内科医はこのメンタルヘルス症状のどちらかがなければ、うつ病とは診断しないので、この二つのメンタルヘルス症状は非常に重要なものになります。
しかし、実際にはこのメンタルヘルス症状以外にも頭痛やめまいなどの身体面での症状で職場に行けなくなり、種々の検査をしてみるものの特に異常がなく、最終的に精神科・心療内科を受診し、うつ病と診断されるケースが少なくないのです。そしてこの身体面での症状が、うつ病などメンタルヘルス疾患を患った方をより苦しめることになるのです。例えば、健康な方が頭痛やめまいなどを感じたらどうしますか?多くの方が脳神経外科や整形外科などの病院を受診し、検査を受けて「特に異常がありません。少し疲れがたまっているようなので、睡眠を十分に取って、ゆっくりとした生活をしてください」と言われれば、安心して休養を取るように心がけるでしょう。しかし、うつ病などメンタルヘルス疾患患者様はうつ病メンタルヘルス症状である「不安感」と、さらには「自分はメンタルヘルス障害ではない」と信じたい気持ちから、次から次へと他の病院や他の診療科を受診し、結果的にうつ病などメンタルヘルス不調の回復にとって最も重要となる休養を取れなくなってしまうこともあるのです。そこで、ここではうつ病などのメンタルヘルス疾患の身体面の症状について、説明をしたいと思います。
この身体面の症状は一般的に「自律神経失調症」と呼ばれますが、そもそも自律神経とは何なのでしょうか?私たちの身体は、精神的ストレスや環境の変化など外からの刺激に対して、体内の状態を一定に保とうとする働き(ホメオスタシス)があり、この働きを担うのが自律神経なのです。例えば、皆様が階段を駆け上ったときに、心臓がバクバクといつもよりも早く鼓動しますが、これは皆様が心臓を早く動かそうと思って動かしたわけではなく、心臓が勝手に早く動くのです。このように内臓や血管の収縮・拡張・ホルモン分泌など、すべての身体の器官を調整しているのが自律神経なのです。
自律神経は、興奮や集中したりするときに機能する「交感神経」と、のんびりとリラックスをしているときに機能する「副交感神経」という、全く逆の働きをする二つの神経が微妙な綱引きをして、身体のバランスを整えています。ところが、ストレスが蓄積すると、自律神経の微妙なバランスを崩してしまい、自律神経失調症状を起こすのです(この状態を「自律神経失調症」と呼びます)。自律神経は全身の器官をコントロールするので、そのバランスが崩れると全身の機能に支障を来し、さまざまな症状が出ます。
上記うつ病などのメンタルヘルス疾患による身体症状は、上記うつ病などメンタルヘルス不調が良くなっていくと共に自律神経のバランスが改善され、なくなることがほとんどです。
よって、気になる身体症状があった場合には、一度はきちんと検査を受け(例えば、甲状腺の病気などが原因でうつ病などメンタルヘルス疾患になる場合もあります)、特に異常がなければ「うつ病などメンタルヘルス不調を治すことが先決だ」とメンタルヘルス疾患による身体症状を受け止めることも重要です。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。






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