日別アーカイブ: 2015年4月22日

リワーク(復職)支援(その9)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク (復職)支援」の9回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】●対応困難に関する留意点
職場復帰時期リワーク時期)を本人の希望、主治医の意見、職場の受け入れ準備状況等をもとに慎重に決め、就業面の配慮についても関係者の話し合いのもとに十分な吟味を行っても、順調に業務遂行能力が回復し、職場再適応が果たせる例ばかりではないです。どのような対応を行っても、症状の再発・再燃が繰り返される例、業務遂行能力が元と同等のレベルにまで回復しない例は存在します。しかし、目の前の事例が、それに該当すると決めつけることには十分に慎重になるべきです。少なくとも、以下の事柄については、当てはまらないかどうかを確認する必要があります。
■軽すぎる業務負荷
職場復帰時リワーク時)の打ち合わせにおいて、関係者の意思の疎通が十分でないと、極めて負荷の少ない業務が与えられることがあります。急激に業務負荷を高めるのが好ましくないことは自明であるが、長期にわたって負荷の軽い作業を続けさせると、当該労働者は、同僚の業務負荷との落差から、疎外感や焦りを強め、メンタルヘルス不調の再燃をきたす可能性があります。
■生活リズムを崩すような業務制限
前項でも論じたように、職場復帰のタイミングリワークのタイミング)は、症状が軽減しただけでなく、生活リズムが安定して、通常の出勤時間に間に合うように起床し、日中のまとまった時間何らかの作業を行うことができる段階にあることを必要条件にするのが一般的であるが、職場復帰後リワーク後)もこれを継続するのを後押しするような配慮が望まれます。
すなわち、決められた出勤時間に遅刻しがちになった場合には、それを容認し続けるのではなく、そのような状態になっている理由を本人から聴き取り、業務内容の見直し等、可能な範囲で調整を行うのです。
職場復帰当初リワーク当初)は定時出勤であり、本人がフレックスタイムの活用を希望する場合にも、それを素通しさせるのではなく、開始時期について、主治医も含めた関係者での話し合いを持ちたいものです。前項で述べたように、一般に、フレックスタイムへの移行は、職場復帰プランリワークプラン)で設定した業務遂行能力の回復レベルに到達し、さらに勤務状況が十分に安定したと考えられる時点にするのが無難です。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。