日別アーカイブ: 2015年11月19日

心療内科と心身相関(その3)

心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科と心身相関」の3回目です。引き続き、心療内科について詳しく触れたいと思います。
【続き→】こころと身体をつなぐルートとしては、自律神経系、内分泌系、免疫系の3つが挙げられます。このうち自律神経系は、循環、呼吸、消化、体温調節、内分泌機能、生殖機能、代謝などの機能を制御しています。自律、というのは、運動神経のように意識によって随意に働かすことができず、状態に応じて自律的に調節される神経系という意味です。
自律神経は、交感神経系と副交感神経系の2つの神経系で構成されており、この両者の作用は、一般に拮抗的、相互対立的に働きます。交感神経は、活動、緊張、攻撃などに向かわせ、ストレスの多い状況において重要となります。副交感神経は、身体を休ませる方向に向かわせ、リラックスや体の修復をしている時に重要となる神経です。
これらの働きを具体例で示すと、例えば心拍数は自律神経が制御しており、安静時は1分間に約60回から80回くらいの心拍が、運動や緊張などによって100回から150回くらいに簡単に増えます。この状態は、交感神経の緊張が副交感神経の緊張を上回っていると考えられます。
逆に睡眠中などは副交感神経優位となり、心拍数の変動幅の中では最低に近い値となるでしょう。自律神経とは、このように意識しなくても身体や周囲の状況に応じて、身体をより適切な状態にしようと働くのです。しかし、自律的自動的に働くために、かえって病状の悪循環を招くということもあります。例えば慢性疼痛という病態では、交感神経の緊張が関与して疼痛部位を中心に筋肉を緊張させるため、血流が悪くなり、疲労物質が滞留、皮膚温が低下して疼痛が増し、そのため更に筋緊張や血流低下が生じる、という悪循環に陥ることがあります。
このような状態になってしまうと、本来なら自動調整される自律神経を、半ば意識的に交感神経の緊張を除くようコントロールして、身体の状態を適切な状態に保つことが必要になります。しかし時には本来のバランスを取り戻すことにつながります。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。