日別アーカイブ: 2019年7月17日

職場のメンタルヘルス(その1)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回から「職場のメンタルヘルス」というタイトルで、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
職場のメンタルヘルスをめぐる最近の動向(Ⅰ)
●労働環境の変化と増加する労働者のストレス
⇒経済のグローバリゼーションが進展するなか、企業は競争力強化のために幾度ものリストラクチャリングを繰り返し、生産やサービスの効率化を図ってきました。その結果、労働の集約化と高密度化が進展し、職場におけるゆとりの部分はどんどん削られ、過重労働の問題も深刻化しています。また終身雇用制度の終焉と成果主義の導入により、安定的な経済的報酬だけでなく、これまで日本人労働者のワークモチベーションを根底で支えてきたキャリア的報酬や心理的報酬も得にくい状況になり、組織と労働者の関係および職場の人間関係において、さまざまな葛藤が生じやすい状況となっています。
こういった労働環境をめぐる急激な変化に伴い、労働者が感じるストレス疲労も増加しています。厚生労働省が5年ごとに行っている労働者健康状況調査によると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は約62%(男性63.8%、女性57.7%)に達しています。不安や悩みストレスの内容としては、職場の人間関係(35.1%)、仕事の量の問題(32.3%)、仕事の質の問題(30.4%)、会社の将来性(29.1%)の順となっています。男女別にみると、職場の人間関係の問題は男性(30.0%)より女性(44.4%)が高く、会社の将来性の問題は男性(34.2%)が女性(19.9%)より高くなっています。
普段の仕事による心身の疲労についても、「とても疲れる」とする労働者の割合は14.1%、「やや疲れる」58.2%であり、これらをあわせると労働者の72.3%が普段の仕事において疲れを感じていると答えています。男女別の割合をみると、男性(70.1%)より女性(75.7%)のほうがやや高くなっています。また、年齢階級別にみると、男性では40~49歳(77.1%)で、女性では30~39歳(78.0%)で、それぞれ最も高くなっています。
仕事のなかでストレス疲労を感じるのはある面仕方がないことではあるが、これらの調査結果は、現在の労働環境は健全なレベルをやや逸脱した状況であることを示しているのかもしれないです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。