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職場のメンタルヘルス(その48)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の48回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅣ)
◎産業精神保健活動(産業メンタルヘルス活動)の範囲と優先順位②
●「企業の社会的メンタルヘルス責任」の外延
⇒近年、企業は利益の追求だけでなく、顧客、株主、従業員(労働者)、取引先、地域社会などのさまざまなステークホルダー(利害関係者)との関係を重視して、そのメンタルヘルスに関する社会的責任(corporate social responsibility:CSR)を果たしていくべきであることが強調されるようになっています。そして、その社会的メンタルヘルス責任への取り組みの一部として、産業精神保健(産業メンタルヘルス)活動を推進するという表明を行っているところもみられます。
CSRに基づく産業精神保健活動(CSRに基づく産業メンタルヘルス活動)は、安衛法の遵守や事業者の安全配慮義務の履行を堅持している限りメンタルヘルス上の問題はないです。しかし、多様なステークホルダーに対してわかりやすい形で公表するため、産業メンタルヘルス活動の外延を拡大すると、中核であるべきそうした産業メンタルヘルス活動の優先順位が見失われてしまう恐れのあることに注意が必要でしょう。
産業メンタルヘルス活動における優先順位の付け方
⇒ここまで述べてきたように、産業保健活動などメンタルヘルス活動としての産業精神保健活動には、優先順位があり(産業メンタルヘルス活動には、優先順位があり)ます。
メンタルヘルス不調の原因は、大半の例で一つではないです。職場や仕事に関連するメンタルヘルス因子がそのメンタルヘルス不調の一部を形成していることも多いが、ほかにも家庭でのメンタルヘルス要因や個人でのメンタルヘルス要因メンタルヘルス不調者の遺伝的素因メンタルヘルス不調者の性格傾向メンタルヘルス不調者の物事の考え方メンタルヘルス不調者ストレス対処の仕方など)が関与しているのが一般的といえます。したがって、職場や仕事に関するストレスを軽減すべく環境調整をしても、メンタルヘルス状態が改善に向かわない例も少なくないです。
しかし、だからといって、産業保健職などメンタルヘルス職がそのメンタルヘルス評価メンタルヘルス不調改善メンタルヘルス活動に十分注力せず、個人でのメンタルヘルス要因(変容可能な部分)への働きかけに邁進するのは、産業メンタルヘルス活動における優先順位を取り違えているというべきでしょう。個人でのメンタルヘルス要因への働きかけを行う際は、時間と手間をかけた職場環境のメンタルヘルス評価職場のメンタルヘルス不調改善に続いて行うか、少なくとも同時並行の形で進められるべきです。
さらに、個人でのメンタルヘルス要因への働きかけは、当該メンタルヘルス不調者やそのメンタルヘルス不調者の周囲から「当該メンタルヘルス不調者本人メンタルヘルス不調に陥ったのは、職場環境ではなく、メンタルヘルス不調者側個人メンタルヘルス問題に帰するところが大きいとの(職場側の)考え方に基づいている」、そして「メンタルヘルス不調者個人への働きかけにかかわるメンタルヘルス活動の実施担当者もその考え方に同調している」などといった見方をされ、メンタルヘルス不調者個人に不信感を抱かせてしまう危険も内包しています。産業保健職などのメンタルヘルス職が、職場でのメンタルヘルス活動の実施担当者となる場合には、そうしたメンタルヘルス不調者個人に不信感を抱かれる可能性も考慮するべきでしょう。集団メンタルヘルス教育として行われる場合にも、同様のことが言えます。ストレスメンタルヘルス疾患の解説などの一般的なメンタルヘルスの知識メンタルヘルス情報の提供から一歩踏み込んだメンタルヘルス不調者個人への働きかけ行う際には、産業保健職などメンタルヘルス職、人事労務管理部署などの間で、事前によく打ち合わせをし、当該メンタルヘルス不調者自身メンタルヘルス教育の受講者に誤解を与えないようにすることが望まれます。
こうしたことから、職場における産業精神保健活動(職場における産業メンタルヘルス活動)は、「何を行うか?」だけでなく「何を行わないか(後回しにするか)?」、「誰が職場における産業メンタルヘルス活動を行うべきか?」をも議論して進められるべきです。「メンタルヘルス不調を減らせる効果が高い順に(仮にそのメンタルヘルス不調の軽減効果が判明しているとして)実施する」、「その職場における産業メンタルヘルス活動への取り組みについて、もっとも高い技術を有している産業保健担当者などのメンタルヘルス担当者が実施する」というメンタルヘルス判断が、必ずしも最善手ではないことに注意すべきでしょう。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その47)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の47回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅢ)
◎産業精神保健活動(産業メンタルヘルス活動)の範囲と優先順位①
●産業保健活動などメンタルヘルス活動と事業者のメンタルヘルス責任
産業保健活動などメンタルヘルス活動は、主として事業者のメンタルヘルス責任使用者のメンタルヘルス責任)の下に推進されるものです。産業保健活動のすべて(メンタルヘルス活動のすべて)が事業者のメンタルヘルス責任を履行することを唯一の目的に行われるわけではないが、事業者のメンタルヘルス責任を果たすための産業メンタルヘルス活動は優先順位が高いです。したがって、職場内で産業保健職が中心となって推進(メンタルヘルス職が中心となって推進)する産業精神保健活動の枠組み(産業メンタルヘルス活動の枠組み)も、事業者のメンタルヘルス責任が重視されます。
労働安全衛生法(安衛法)は、第1条で「労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、メンタルヘルス責任体制の明確化及び自主的メンタルヘルス活動の促進というメンタルヘルス措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的なメンタルヘルス対策を推進することにより職場における労働者の安全とメンタルヘルスを確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」を目的としてうたい、第3条で「単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全とメンタルヘルスを確保するようにしなければならない」と事業者のメンタルヘルス責任を示しています。ちなみに、この「職場環境」という表現は、平成4(1992)年の法改正により「作業環境」から変更された経緯を持ち、作業方法などをも含む、より広い意味での職場におけるメンタルヘルス対策の推進を持たせたものです。
安衛法の条文は、その大半で主語が「事業者」となっています。すなわち、事業者が行わなければならないメンタルヘルス事項が列挙されているのです。安衛法に示された産業精神保健活動(安衛法に示された産業メンタルヘルス活動)は、事業者のメンタルヘルス責任を果たす意味で、まず優先されなければならないです。
また、安全配慮義務という概念があります。もともとは労働契約に付随する事業者にとっての信義則上の債務の一部とされ、損害賠償請求をめぐる民事訴訟で争点となることが多かったが、平成20(2008)年に施行となった労働契約法に盛り込まれました。
安全配慮義務は、危険予知義務と結果回避義務から構成されています。事業者は、雇用する労働者が仕事を遂行する中でメンタルヘルスや安全が脅かされることがないかどうかを確認し(前者)、そのメンタルヘルスや安全が脅かされる可能性が高い場合には、未然に必要なメンタルヘルス対策を講じる(後者)必要があります。
メンタルヘルス不調に関連する職場のメンタルヘルス問題が民事訴訟となった例としては、2000(平成12)年に最高裁判決が出された「電通事件」がよく知られている(本件では、安全配慮義務ではなく、注意義務違反が問われた)が、その後も、事業者の安全配慮義務違反が民事訴訟で争われる例が増加しています。
安全配慮義務をめぐる民事訴訟では、長時間労働ハラスメント、配置転換など、産業保健職の取り組み(メンタルヘルス職の取り組み)よりも、現場のラインや人事労務管理上のメンタルヘルス問題が焦点となることが多いです。
産業保健職などメンタルヘルス職は、日頃のメンタルヘルス活動の中で、職場にそうしたメンタルヘルス問題が内在することを知った場合には、メンタルヘルス問題の改善に向けての働きかけを行い、メンタルヘルス問題の拡大労働者のメンタルヘルス不調の発生の防止に努めることが求められます。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その46)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の46回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅫ)
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい④~
メンタルヘルス科専門医師の主治医精神科医師・心療内科医師)による企業へのメンタルヘルス診療情報提供
⇒就業継続ができているか、休職をしているかにかかわらず、メンタルヘルス不調者メンタルヘルス科診察をし、メンタルヘルス科治療を継続しているメンタルヘルス専門医の主治医心療内科医・精神科医)におさえてもらいたいメンタルヘルス診療情報提供のポイントについて簡潔にまとめます。
メンタルヘルス不調者が就業できている場合に確認すべきポイント
⇒そのメンタルヘルス不調者が現在も就業できている場合、メンタルヘルス疾患メンタルヘルス不調によっては必ずしも職場にメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関への通院の事実を報告しているわけではないです。メンタルヘルス障害メンタルヘルス科治療を職場に報告している場合でも、正しいメンタルヘルス科病名メンタルヘルス科治療計画が伝えられていることは少なく、また、職場側の人事担当者による「メンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関への通院とはすなわちうつ病などメンタルヘルス疾患だろう」という推測による誤解も多いです。この職場側のメンタルヘルス不調者への誤解は結果として、職場でのメンタルヘルス不調者への誤った処遇や配慮にもつながりかねないです。原則として、メンタルヘルス不調者本人の同意があれば、メンタルヘルス科診断メンタルヘルス科治療計画をしかるべき職場のメンタルヘルス責任者正しくメンタルヘルス情報提供すべきです。メンタルヘルス不調者本人の同意が得られない場合は、職場側にメンタルヘルス診療情報メンタルヘルス情報提供をしないことによるデメリットも、メンタルヘルス不調者に説明することが必要です。
メンタルヘルス不調者が休職している場合に確認すべきポイント
メンタルヘルス専門医師の主治医心療内科医師・精神科医師)が職場のメンタルヘルス状況や業務の特殊性をよく理解しておらず、円滑な復職円滑なリワーク)が困難となることも少なくないです。職場の就業規則などにより、復職の際リワークの際)の復職支援プログラムはさまざまリワークプログラムはさまざま)です。たとえば、時間短縮勤務を代表としたリハビリ勤務は、労働契約上、復職前リワーク前)に終える必要がある企業もあれば、休職中から復職後休職中からリワーク後)にまたがってリハビリ勤務を行う場合、さらには、復職後リワーク後)に限ってリハビリ勤務を行う場合など、その形態もさまざまです。休職中のメンタルヘルス不調者メンタルヘルス科診察している場合、職場の上司や人事担当者が復職をどのようにとらえてリワークをどのようにとらえて)おり、どういった業務に、どの程度のストレスから復職することが可能なのかリワークすることが可能なのか)についてをよく確認しておくことが必要です。もちろん、メンタルヘルス不調者本人の同意が得られれば、職場の人事担当者同席の上でメンタルヘルス不調の説明席を設け、メンタルヘルス科診断メンタルヘルス科治療方針復職の方法リワークの方法)を共有することが何より有益であることはいうまでもないです。メンタルヘルス不調者の職種、職場側の環境やメンタルヘルス不調者への配慮の可能性、今後のメンタルヘルス科治療の見通し総合的に考えたメンタルヘルス情報提供をお願いします。
◎事業場との連携において、メンタルヘルス科主治医側から事業場に望むこと
⇒事業場がメンタルヘルス科主治医と連携を図る方法について前々回(2019年11月6日)に記したが、当該メンタルヘルス不調者、事業場両者にとって有益なものにしていくため、また、メンタルヘルス科主治医が安心して連携を図れるために以下に示した①~④のポイントを整備しておくことが大切です。
①産業医を中心とした安全メンタルヘルスシステムが整備されていること
個人メンタルヘルス情報保護、守秘義務の認識が確立していること
メンタルヘルス情報が産業医の手元に集中され、産業医が就業上必要とメンタルヘルス判断するかぎりで集約・整理したメンタルヘルス情報のみが、職場の中でそのメンタルヘルス情報を必要とする者のみに伝えられるメンタルヘルス体制が確立していること。メンタルヘルスの専門的な立場から産業医はメンタルヘルス情報を集約・整理し、当該メンタルヘルス不調者プライバシーが守られたメンタルヘルス状態メンタルヘルス関係者間メンタルヘルス情報交換を行う調整役としてのメンタルヘルス機能が果たせること
メンタルヘルス科主治医と連携に関する費用負担について認識があること。健康保険が適用されるのはメンタルヘルス不調者本人メンタルヘルス科診療に限られるため、メンタルヘルス科主治医に対してメンタルヘルス情報提供、あるいはメンタルヘルス科面会を行う場合は、相応の費用を負担するメンタルヘルス制度が確立していること
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その45)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の45回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅪ)
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい③~
◎産業医によるメンタルヘルス疾患疑われるメンタルヘルス不調者メンタルヘルス情報提供
⇒職場内にて産業医としてメンタルヘルス障害を疑われるメンタルヘルス不調者にかかわる場合メンタルヘルス対応について述べます。産業医にはメンタルヘルス科を専門とする医師精神科医師・心療内科医師)もいれば、メンタルヘルス科を専門としない医師もいます。メンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)の場合、適切なメンタルヘルス医学的メンタルヘルス科診察を実施し、必要に応じてメンタルヘルス科専門病院メンタルクリニックとの間で病診連携を取ることになるでしょう。
メンタルヘルス問題は、メンタルヘルス科を専門としない産業医によるメンタルヘルス対応です。この産業医によるメンタルヘルス対応の多くは、診察室でメンタルヘルス不調者を診察し、産業医からメンタルクリニックメンタルヘルス科専門病院への紹介に至ります。メンタルヘルス科への紹介の際メンタルヘルス専門医師の主治医心療内科医師・精神科医師)にとって、メンタルヘルス疾患に関する正しいメンタルヘルス科診断メンタルヘルス科診断名の入ったメンタルヘルス不調者メンタルヘルス診療情報提供書の提供よりも、より詳しい社内でのメンタルヘルス情報の提供が大変重要となります。また、メンタルヘルス情報提供書に示される内容に関しては、可能なかぎりメンタルヘルス不調者本人から適切な同意を得ることが重要です。メンタルヘルス診療情報の提供に際し、一般的なメンタルヘルス科の現病歴に加えて、最低限おさえておきたいポイントがあります。以下、メンタルヘルス診療情報提供の際のポイントを列記します。
メンタルヘルス不調者の業務内容メンタルヘルス不調者の職場環境
メンタルヘルス科主治医は産業医が考えている以上に、メンタルヘルス不調者の業務上の背景を理解していないです。たとえば、総務室勤務のメンタルヘルス不調者の場合、メンタルヘルス科主治医はただ単に事務職としてしかメンタルヘルス不調者をとらえていないことも少なくないです。そのメンタルヘルス不調者が総合職として採用され、一定期間でメンタルヘルス不調者が配置の転換や転勤を余儀なくされるようなメンタルヘルス状況なのかどうかなども、ときにはメンタルヘルス科診断の上で重要メンタルヘルス情報になります。したがって、可能なかぎり詳しいメンタルヘルス不調者の業務内容メンタルヘルス不調者の職位メンタルヘルス不調者の転勤メンタルヘルス不調者の配置転換の有無などのメンタルヘルス情報を記述する必要があります。
ほかには、職場環境の特殊性も考慮すべき重要なメンタルヘルス診療情報提供のポイントです。たとえば、学校の教諭などの専門職の人がメンタルヘルス障害を疑われた際、メンタルヘルス科受診に至るまでは通常のメンタルヘルス対応でおおむね十分であるが、休職に至って復職に至る休職に至ってリワークに至る)場合、学校教諭であれば、「復職=生徒の前で授業を行いリワーク=生徒の前で授業を行い)、多少なりとも学級運営に携わること」なので、復職後しばらくの間リワーク後しばらくの間)、半日からの慣らし勤務(リハビリ出勤)やメンタルヘルス症状の悪い日の安易な欠勤は難しいです。職種の特殊性をメンタルヘルス情報提供の際にあわせて伝えることも重要です。
■職場でのメンタルヘルス不調者の対人環境
メンタルヘルス不調ハラスメントなどが関与していると思われる場合は特に重要です。どのような人とメンタルヘルス問題を起こしたのか、メンタルヘルス問題となる人はほかの同僚や部下などへの接し方はどうであったのか、メンタルヘルス不調者への接し方はどうであったのかなど、詳しく記述します。このような職場のメンタルヘルス情報は、たとえばハラスメント被害妄想との鑑別などに役立つことがあります。
■職場でのメンタルヘルス不調者の日頃の様子
メンタルヘルス不調者本人のこれまでの職場での仕事ぶりメンタルヘルス不調者本人の勤怠状況、周囲から見たメンタルヘルス不調者本人の性格や入社(入職)以来のメンタルヘルス不調者本人の職場適応メンタルヘルス不調者本人の職務遂行能力の推移などはメンタルヘルス科診察上有益なメンタルヘルス情報になります。メンタルヘルス不調者本人との交流の中で、メンタルヘルス不調者本人のアルコールの摂取状況なども把握できているとより好ましいです。親しい同僚や客観的な第三者などから、これら職場のメンタルヘルス情報が得られるとよいです。
このように、産業医からの職場のメンタルヘルス情報提供に当たっては、職場でのメンタルヘルス不調者本人および周囲のより詳しいメンタルヘルス情報の提供をお願いしたいです。職場のメンタルヘルス情報が少なくて、あいまいなメンタルヘルス科診断名を記載された職場のメンタルヘルス診療情報提供書より、メンタルヘルス科診療に有益です。また、メンタルヘルス不調者本人の同意が得られ、可能であれば、メンタルヘルス科初診の際職場でのメンタルヘルス不調者本人の様子をよく把握している職場のメンタルヘルス代表者や産業保健スタッフなどメンタルヘルススタッフメンタルクリニックでのメンタルヘルス科診療に同伴してもらえるとより好ましいです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その44)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の44回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩ)
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい②~
メンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)との連携の具体的方法
⇒事業場外資源へのメンタルヘルス情報提供の依頼は文書で行うのが原則です。また、産業医が選任されている事業場においては産業医がメンタルヘルス対応するのが望ましいです。メンタルヘルス情報提供依頼書においてはメンタルヘルス情報提供を依頼する内容を明記した上で、メンタルヘルス専門医の主治医心療内科医・精神科医)がそのメンタルヘルス情報提供依頼事項に回答することに対する、メンタルヘルス不調者本人の同意書を提出する必要があります。職場からメンタルヘルス専門医師の主治医心療内科医師・精神科医師)に対するメンタルヘルス情報提供依頼書の様式例にしたがってメンタルヘルス情報内容を記し、最後にメンタルヘルス不調者本人の同意書を付加することで有効なメンタルヘルス科主治医との連携を図ることが可能となります。
直接メンタルヘルス科主治医との連絡や面会を行う場合においても、文書によるメンタルヘルス情報提供に準じた手続き、すなわち、メンタルヘルス科主治医より提供受けたいメンタルヘルス情報内容事前にメンタルヘルス不調者に明示し同意書を得ることが必要であり、さらに、メンタルヘルス不調者本人の同席が原則です。このような場合に備えて、あらかじめ衛生委員会などにおいて、必要なメンタルヘルス情報収集におけるメンタルヘルス不調者の同意の取り方や、メンタルヘルス情報提供依頼するメンタルヘルス情報内容基本的メンタルヘルス項目、またメンタルヘルス科主治医との連絡や面会の手続き方法などを定めておくことが望ましいです。
一方、当該メンタルヘルス不調者職場でのメンタルヘルス状態や行動、メンタルヘルス情報などをメンタルヘルス科主治医職場のメンタルヘルス情報提供することも事業場外のメンタルヘルス科主治医メンタルヘルス不調者本人職場におけるメンタルヘルス状態を正しく理解するため、あるいは復職、休職リワーク、休職)など復職支援判断リワーク判断)のための復職支援情報リワーク情報)として有用です。しかしながら、職場から事業場外のメンタルヘルス科主治医メンタルヘルス情報を提供する際においても、原則として当該メンタルヘルス不調者の同意が必要と考えられます。このメンタルヘルス情報提供する際のポイントは、できるかぎり「事実関係」を私情を交えずに記載することです。
ただし、当該メンタルヘルス不調者本人あるいは第三者の生命、身体または財産の保護のために必要があるとメンタルヘルス判断される場合であって、当該メンタルヘルス不調者本人の同意を得ることが困難であるようなときには、当該メンタルヘルス不調者本人の同意がなくてもメンタルヘルス情報を提供することが可能とされています。たとえば、メンタルヘルス不調者の自殺危険性に関するメンタルヘルス情報などの場合においては、そのメンタルヘルス状況積極的にメンタルヘルス科主治医に伝えることが必要です。
これらメンタルヘルス情報提供の原則を守った上で有効なメンタルヘルス科主治医との連携関係を築くためには、本来はメンタルヘルス情報が産業医らの手もとに集中されており、産業医らが就業上必要とメンタルヘルス判断するかぎりにおいて、集約・整理したメンタルヘルス情報が、職場の中でそのメンタルヘルス情報を必要とする者に伝えられるメンタルヘルス体制が望ましいです。この場合、メンタルヘルスの専門的な立場から産業医らはメンタルヘルス情報を集約・整理し、メンタルヘルス不調者プライバシーなど個人メンタルヘルス情報が守られたメンタルヘルス状態で、メンタルヘルス関係者間メンタルヘルス情報交換が可能になるよう、調整役としてメンタルヘルス機能することが期待されます。
産業医が選任されていない小規模な職場においては、衛生管理者などメンタルヘルスの推進を担当する者メンタルヘルス責任者となってメンタルヘルス情報を管理する必要があります。個人メンタルヘルス情報保護など個人情報保護守秘義務)に関しては、十分に留意する必要があります。
次に、メンタルヘルス科診療の費用の面もメンタルヘルス的に検討しておく必要があります。健康保険が適用されるのはメンタルヘルス不調者本人(および条件によってはメンタルヘルス不調者の家族)のメンタルヘルス科診療に限られるため、企業のメンタルヘルス担当者メンタルヘルス科主治医と面会してメンタルヘルス情報提供を受ける場合には健康保険は適用できないです。また、文書にてメンタルヘルス科主治医からメンタルヘルス情報提供を受ける場合においては、事業場内に保険診療を行っているメンタルクリニックなどメンタルヘルス科診療所を有し、産業医からのメンタルヘルス情報提供依頼がある場合を除いては、メンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関は保険請求をできないです。メンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関に対して無報酬で責任のあるメンタルヘルス対応を求めることは無理があり、全てのメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関には相応の報酬を支払うべきであると考えます。この保険診療適用であるメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関への報酬支払いの点についても、事前にメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関との間メンタルヘルス相談し、職場のメンタルヘルス対策として企業のメンタルヘルス責任者は相応の費用を負担することも留意しておく必要があります。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その43)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の43回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅨ)
公的メンタルヘルス機関の現状と有効性は?~
外的資源、あるいは「労働者の心の健康(労働者のメンタルヘルス)の保持増進のためのメンタルヘルス指針」にある事業場外資源として活用できる公的メンタルヘルス機関には、メンタルヘルス不調者と事業場を対象として運営されているもののほか、地域メンタルヘルス機関として設置されているものがあります。
後者の地域メンタルヘルス機関は、産業メンタルヘルスに対する理解メンタルヘルス対応が現状としては必ずしも十分とは言えない面があります。しかし、メンタルヘルス不調者はもちろん事業場も当然、地域の一員にほかならないです。したがって、メンタルヘルス不調者にかかわるメンタルヘルス問題に関しても、地域メンタルヘルス機関の有効な利用が期待されます。また、そうした公的メンタルヘルス機関のサービスの多くが無料で利用できる利点も小さくないです。このようなことからも、職域精神保健(職域メンタルヘルス)と地域精神保健(地域メンタルヘルス)との連携は産業精神保健(産業メンタルヘルス)の重要なメンタルヘルス課題であり、職域と地域のメンタルヘルス相互理解およびメンタルヘルス科専門医療機関との連携メンタルヘルス科専門医療機関とのネットワークづくりが求められます。
産業メンタルヘルス従事者は、メンタルヘルス不調者が種々の資源を活用しやすいように、また自らのメンタルヘルス業務を効果的に進めるために、公的メンタルヘルス機関のそれぞれのメンタルヘルス機能を知り、メンタルヘルス専門職種の配置状況などのメンタルヘルス情報を収集するとともに、日常的にメンタルヘルス科専門医療機関とのネットワークの構築およびメンタルヘルス科専門医療機関の参加を図ることが望まれます。
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい①~
メンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)との連携の原則
当該メンタルヘルス不調者就業措置、復職支援など就業措置、リワークなど)においてメンタルヘルス専門医の主治医心療内科医・精神科医)など事業場外資源と事業場とが連携を図ることは、当該メンタルヘルス不調者のよりよい適応のためにも必要であり、メンタルヘルス不調者、事業場両者の利益に繋がる事柄です。よって推進されるべきことであるが、メンタルヘルスに関する情報、特にメンタルヘルス疾患名などは誤解や偏見を招きやすいだけにきわめて慎重に進める必要があります。
事業場外資源と事業場とが連携を図るための原則として、まず、メンタルヘルス専門医師の主治医心療内科医師・精神科医師)が当該メンタルヘルス不調者本人メンタルヘルス科診療内容に関して個人メンタルヘルス情報保護および守秘義務を遵守する義務を負っていること、また、メンタルヘルス科主治医にとって、当該メンタルヘルス不調者はあくまで患者としての存在であるので、メンタルヘルス科主治医は患者の不利益になる可能性のあることは回避する立場にあることを認識しておく必要があります。
よって、メンタルヘルス科専門医療機関から当該メンタルヘルス不調者本人自身メンタルヘルス情報を得たい場合、あるいはメンタルヘルス相談をしようとする際には、メンタルヘルス科主治医へ依頼するメンタルヘルス情報提供の内容、目的などを事前に当該メンタルヘルス不調者に対し説明し、当該メンタルヘルス不調者から同意を得ることが原則となります。また、メンタルヘルス科主治医に対しては、職場側のプライバシーに関する規則や体制(メンタルヘルス科主治医から提供され得られたメンタルヘルス情報が職場の中でどの範囲に伝わるのか、どのような目的でメンタルヘルス情報が利用されるのかなど)も説明しておく必要があります。さらに、メンタルヘルス科主治医提供を求めるメンタルヘルス情報は、当該メンタルヘルス不調者の就業制限、休職、復職などに関して職場で配慮すべき内容リワークなどに関して職場で配慮すべき内容)が中心であり、そのための理解を得るための必要最小限のメンタルヘルス状態メンタルヘルス機能に関するメンタルヘルス情報とすべきです。したがって、必ずしも具体的なメンタルヘルス疾患名が必要ではないことを職場側としても留意しておく必要があります。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その42)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の42回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅧ)
職場におけるメンタルヘルス不調は職務遂行能力へどのように影響するか?②~
メンタルヘルス問題と企業業績との関係
⇒企業経営においては、「人財」とも呼ばれるくらい「ヒト」は大切な経営資源の1つであることは自明ですが、一方で、企業業績が順調でないと積極的に「ヒト」へ投資をし続けることはできないと考える方も多いのではないでしょうか。
実は、この考え方とは反対の考え方が、近年欧米を中心に浸透し始めてきています。
優良メンタルヘルス経営企業と一般的な企業の株式価値の推移を比較したメンタルヘルス結果を見ると、従業員のメンタルヘルスに積極的に投資してきた群(CHAA:優良メンタルヘルス経営賞 受賞企業)は、市場平均と比較して、実に13年で1.8倍もの差が現れていました。
また、日本においても、独立行政法人経済産業メンタルヘルス研究所が行った企業における従業員のメンタルヘルスの状況と企業業績の関係を迫ったメンタルヘルス研究結果で、2004(平成16)年から2007(平成19)年にかけてメンタルヘルス休職者比率が上昇した企業(メンタルヘルス不調により休職しているメンタルヘルス不調者の割合が増加した企業)とメンタルヘルス休職者比率が上昇しなかった企業に分け、売上高利益率の変化を見ると、いずれのメンタルヘルス休職者比率の企業群も、2008(平成20)年のリーマンショックによる景気後退の影響を受け売上高利益率は減少していましたが、その減少の度合いは、メンタルヘルス休職者比率が上昇した企業ほど大きかったのです。また、メンタルヘルス休職者比率が上昇した直後の2007(平成19)年時点では売上高利益率の差は見られませんでしたが、その後、年を追うごとにその差が顕著となっていることがおわかりいただけると思います。このことから、メンタルヘルス不調の影響はすぐに生じるわけではありませんが、数年かけて企業の売上高利益率を押し下げる影響を持っているともいえます。さらに、このメンタルヘルス調査においては、メンタルヘルス休職者比率の増加は、約2年程度のラグをともなって、売上高利益率を悪化させるといったメンタルヘルス解析結果も示されています。
つまり、従業員のメンタルヘルスに対して積極的に投資していくことが、職場でのメンタルヘルスの結果として企業業績におけるメンタルヘルス向上につながるといったメンタルヘルス的な知見が得られてきているのです。
◎「健康経営」によるメンタルヘルス向上という考え方
⇒これまで見てきたように、勤労者のメンタルヘルスは、顕在化しているメンタルヘルス休職者メンタルヘルス問題だけでなく、その水面下に潜むアブセンティイズム(Absenteeism)やプレゼンティイズム(Presenteeism)といったメンタルヘルス問題も含め、企業業績に大きな影響を及ぼしています。
企業がメンタルヘルス不調におちいり休職するメンタルヘルス不調者を減らしていく取組みはもちろん重要ですが、氷山だけを削るメンタルヘルス対策をしていては、いずれまた新しいメンタルヘルス事例が氷山として水面に顔を出してくるだけで、本質的なメンタルヘルス問題の解決にはつながっていきません。
水面に出ている氷山の部分だけでなく、水面に潜む氷の部分も含めた氷の塊自体を小さくしていくこと、すなわち、従業員のメンタルヘルス問題のみならず、モチベーションの改善も含めた積極的なメンタルヘルス対策を図っていくことが、メンタルヘルス対策においても重要であり、これが、ひいては企業業績におけるメンタルヘルス向上にもつながっていくのです。
こうした考え方は、日本においても「健康経営」として広まり始めています。「健康経営」とは、「『企業が従業員のメンタルヘルスに配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる』との基盤に立って、メンタルヘルス管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」(特定非営利法人健康経営協会)と定義されています。
健康経営の発祥国であるアメリカでは、“health and productivity management”としてメンタルヘルス実証研究が進んでいます。例えば、アメリカの会社でメンタルヘルス教育プログラムを提供したそのメンタルヘルスへの投資効果の試算によると、健康経営への1ドルのメンタルヘルス投資額に対して、生産性やモチベーションにおけるメンタルヘルスの向上など3ドルのメンタルヘルス投資リターンがあったというメンタルヘルス報告もなされているほどです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その41)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の41回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅦ)
職場におけるメンタルヘルス不調は職務遂行能力へどのように影響するか?①~
◎アブセンティイズム(Absenteeism)とプレゼンティイズム(Presenteeism)
メンタルヘルス不調による労働生産性の低下は、アブセンティイズムとプレゼンティイズムの2つに分けられます。アブセンティイズムとは「休業しているメンタルヘルス状態」であり、プレゼンティイズムとは「出勤しているメンタルヘルス不調者メンタルヘルス問題による職務遂行能力の低下であり、主観的にメンタルヘルス測定が可能なもの」と定義されます。つまり、メンタルヘルス不調など何らかの理由で、メンタルヘルス不調者遅刻・早退・欠勤など目に見える勤怠不良の形を繰り返すメンタルヘルス状態をアブセンティイズム、また、出社はしているものの、何らかのメンタルヘルス不調のせいで頭や体が思うように働かない、モチベーションが上がらないなど、本来期待されるパフォーマンス(職務遂行能力)が発揮できていないメンタルヘルス状態をプレゼンティイズムと呼びます。
アブセンティイズムの場合、休業日の労働生産性は全くないが、アブセンティイズムはプレゼンティイズムに比較して原則的に長期化しないです。無断欠勤か、メンタルヘルス不調による休業かにより大きく異なるが、メンタルヘルス不調により休業できる期間の上限は就業規則により明確化されており、労働生産性が全くないメンタルヘルス状態のまま、社員としての資格を長期間にわたり維持することはできないからです。
一方、プレゼンティイズムの場合、アブセンティイズムの期間を挟みながら長期化する場合が、それほどまれではないです。その理由は、職務遂行能力低下のメンタルヘルス状態を定量化するのは困難であり、その結果、就業規則上、職務遂行能力低下のメンタルヘルス状態を定義づけることが難しく、プレゼンティイズムを呈しつつ働き続ける期間の上限が明確化されにくいためです。
したがって、産業保健業務など産業メンタルヘルス業務に携わる産業メンタルヘルス医療者が最もメンタルヘルス対応に苦慮するのは、プレゼンティイズムに関してでしょう。「出勤はなんとかできるが、仕事はほとんどできない。ストレスの高い業務に従事させることにより、メンタルヘルス状態悪化のおそれがあり、また、本来なら該当するメンタルヘルス不調者の行うべき業務のしわ寄せがほかの社員に及び、士気の低下やメンタルヘルス障害の招来が懸念される」といったメンタルヘルス状況において、どのようにメンタルヘルス的介入するのが適切か、産業保健担当者など産業メンタルヘルス担当者はしばしば頭を悩ませることになります。
顕在化したメンタルヘルス問題背後にある大きなメンタルヘルス問題
⇒実は職場におけるメンタルヘルス問題は、単にメンタルヘルス不調による休職者だけのメンタルヘルス問題ではありません。メンタルヘルス不調による休職者を氷山にたとえると、そのメンタルヘルス問題の背景(予備軍)には、氷山の水中にある氷の部分に当たる、休職してはいないものの欠勤がちとなっているメンタルヘルス不調者(アブセンティイズム)や、勤務は続けているもののモチベーションの低下などにより労働生産性が低下しているメンタルヘルス不調者(プレゼンティイズム)など、本質的に解決していかなければならない、より大きなメンタルヘルス問題が潜んでいるのです。
具体的に、アメリカの会社でメンタルヘルス関連コストに関するメンタルヘルス調査を行ったところ、もちろん日本とアメリカのメンタルヘルス医療制度は異なるが、このメンタルヘルス調査結果から、従業員のメンタルヘルスに関連した企業の総コストのうち、医療費や薬剤費といった直接費用は全体の4分の1にすぎず、残りのほとんどは、アブセンティイズムやプレゼンティイズムといったメンタルヘルス状態による労働損失が占めているということがわかりました。
また、他のメンタルヘルス調査においても、「企業経営における最大の労働損失はプレゼンティイズムによるメンタルヘルス状態である」といった指摘もなされており、メンタルヘルス不調による休職者(氷山)のメンタルヘルス問題以上に企業経営において看過できないメンタルヘルス問題となってきています。よく、「メンタルヘルス対策にお金をかけるのは無駄」、「メンタルヘルス管理は非生産部門で、企業にお金を落としてくれるわけではない」などという企業の労務関係者がいるが、これまでの話で、メンタルヘルス対策を怠ると企業や組織に大きな損失が発生するおそれがあるということがご理解いただけたのではないでしょうか。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その40)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の40回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅥ)
職場のメンタルヘルス・スクリーニングにおけるメンタルヘルス課題②~
◎本格的なメンタルヘルス・スクリーニング導入のための職場のメンタルヘルス環境整備
⇒このメンタルヘルス問題については、日本産業衛生学会の産業精神衛生研究会(産業メンタルヘルス研究会)におけるメンタルヘルス報告書メンタルヘルス・スクリーニング導入について一定の見解を示しています。同産業メンタルヘルス研究会でのメンタルヘルス報告書に盛り込まれた、職場のメンタルヘルス・スクリーニング導入に際しての必要条件を以下に示します。
『①心の健康(メンタルヘルス不調を含む)について理解のある職場のメンタルヘルス風土を醸成するためのメンタルヘルス啓発メンタルヘルス教育メンタルヘルス研修など)が十分に行われていること
②衛生委員会でのメンタルヘルス審議を経て、事業場全体でのメンタルヘルス・スクリーニングの導入について合意を得ること
③就業面の配慮を含むメンタルヘルス・スクリーニング導入後事後メンタルヘルス措置の進め方をあらかじめ明確にしておくこと
メンタルヘルス情報の取り扱い方法を決め、文書化しておくこと
⑤精神面の健康状態(メンタルヘルス状態)を適切にメンタルヘルス評価できるメンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)によるメンタルヘルス二次検査が受けられる手配をしておくこと
メンタルヘルス・スクリーニングへの回答を拒否するメンタルヘルス不調者に対して、メンタルヘルス・スクリーニングを強要してはならないこと
メンタルヘルス・スクリーニングの有効性が確認できない場合のメンタルヘルス対応メンタルヘルス科的に検討すること
メンタルヘルス専門職が不在の事業場にも適用できる職場のメンタルヘルス・スクリーニング導入のためのガイドラインを作成すること
職場のメンタルヘルス・スクリーニングが、産業医の関与する包括的なメンタルヘルス対策の一部であると位置づけられること』
メンタルヘルス不調メンタルヘルス・スクリーニングに当たっては、職場におけるメンタルヘルス・スクリーニング導入後事後メンタルヘルス措置を適切に実施できる職場のメンタルヘルス体制づくりが行われ、メンタルヘルス関係者メンタルヘルス・スクリーニングでの役割分担が明確になっている必要があります。職場のメンタルヘルス関係者メンタルヘルス・スクリーニングにおける役割分担が不十分メンタルヘルス状況でのメンタルヘルス・スクリーニング実施は、産業保健スタッフなどメンタルヘルス専門スタッフに多大な時間と労力を要するメンタルヘルス・二次検査後に、さらに就業上のメンタルヘルス措置に関するメンタルヘルス対策を求めることになりかねず、その他の産業保健業務など産業メンタルヘルス業務に甚大な影響をもたらします。
メンタルヘルス・スクリーニングの結果は、職場のメンタルヘルス環境改善に活かすべきだが、わが国ではまだ確立されたメンタルヘルス・スクリーニング導入のためのガイドラインはないです。また、メンタルヘルス・スクリーニングを実施された回答者から「正直な」メンタルヘルス・スクリーニングへの回答が得られない場合には、メンタルヘルス・スクリーニングの結果の歪みが本来実施されるべき職場のメンタルヘルス環境改善とは乖離する危険性もあります。メンタルヘルス科診断メンタルヘルス科面接指導など個人メンタルヘルス情報守秘義務は言うまでもなく、メンタルヘルス・スクリーニングの結果の目的外使用も厳に禁じられなければならないです。メンタルヘルス・スクリーニングへの回答の歪み(虚偽)に関しては、メンタルヘルス・一次スクリーニング陰性者にも、一定の確率ランダムにメンタルヘルス・二次スクリーニングを行うなどのメンタルヘルス措置を講ずるなどのメンタルヘルス対策も考えられます。メンタルヘルス・一次スクリーニング陰性者にもメンタルヘルス・二次スクリーニングを行うことにより、「メンタルヘルス質問票メンタルヘルス不調で該当回答すると、メンタルヘルス不調者扱いされてメンタルヘルス科面接を受けさせられる」という見方をある程度抑制できるかもしれないです。しかし、メンタルヘルス・一次スクリーニング陰性者へのメンタルヘルス・二次スクリーニング実施は一方で、数多い偽陽性者にさらにメンタルヘルス科面接対象者を上乗せすることになってしまいます。やはり、メンタルヘルス・リテラシーの普及事後メンタルヘルス措置のための職場におけるメンタルヘルス体制を構築していくことが肝要であると考えられます。
メンタルヘルス不調者が増えているといわれる現在、メンタルヘルス・スクリーニングの導入喫緊のメンタルヘルス課題です。ストレスチェック制度の導入は、そのメンタルヘルス対策の一つでもあります。しかし、メンタルヘルス問題に関していまだ偏見の根強い現状にあっては、すべてのメンタルヘルス不調者が不利益とならないような職場のメンタルヘルス体制づくりが必要不可欠であることを忘れてはならないです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その39)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の39回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅤ)
職場のメンタルヘルス・スクリーニングにおけるメンタルヘルス課題①~
大うつ病性障害などメンタルヘルス疾患偏重の弊害
自殺対策とも密接に関連するメンタルヘルス問題特にうつなど職場のメンタルヘルス不調へのメンタルヘルス対策は、事業場および国や地方自治体など、社会全体で考えていくべき大きなメンタルヘルス的関心事です。同時に、職場のメンタルヘルス活動で最も注目されているのも、うつなどメンタルヘルス不調についてメンタルヘルス問題です。簡易メンタルヘルス科面接法でも準拠しているDSM-Ⅳの大うつ病エピソードなどメンタルヘルス疾患の中メンタルヘルス症状9項目は、今日では産業精神保健医療従事者などの産業メンタルヘルス医療従事者のみならず一般にも広く流布されています。しかし、大うつ病エピソードなどメンタルヘルス疾患は、うつ病など当該メンタルヘルス疾患制止メンタルヘルス症状に集中し過ぎているという指摘があります。典型的なメランコリー親和性メンタルヘルス症状が認められない、職場でのメンタルヘルス不調者における勤労者うつ病など職場のメンタルヘルス疾患には、不安焦燥メンタルヘルス症状の前面に認められるケースも多いです。そのため、現行うつ病など当該メンタルヘルス疾患の概念におけるメンタルヘルス評価法だけでは、職場での不安焦燥優位メンタルヘルス症状が特徴的勤労者うつ病などについて、職場のメンタルヘルス疾患による自殺へのメンタルヘルス対策が不十分となります。一般的に、うつ病などメンタルヘルス疾患の極期に入る前メンタルヘルス疾患の回復期に自殺の危険性が高くなるといわれているが、仕事での不安焦燥優位に認められるような特異的メンタルヘルス症状による勤労者うつ病においては、焦燥感や絶望感が強く興奮状態にあるメンタルヘルス状態の極期に自殺の危険性が高いです。
一般地域住民のメンタルヘルス統計を見れば、たしかに大うつ病エピソードなどメンタルヘルス疾患の頻度は高いです。しかし、産業保健スタッフなどメンタルヘルス専門スタッフが把握すべきはメンタルヘルス不調者であって、そのメンタルヘルス不調者の多く抑うつ反応などメンタルヘルス反応を呈するものの、大うつ病エピソードなどメンタルヘルス疾患のみに注目して済む話ではないです。特に男性のメンタルヘルス不調者など男性の勤労者うつ病では、抑うつ気分などメンタルヘルス症状と怒り感情などイライラ相反するメンタルヘルス症状とが混在する傾向にあり、メンタルヘルス不調メンタルヘルス評価に怒り感情など別のメンタルヘルス症状に対するメンタルヘルス測定を加えるべきという指摘もあります。厚生労働省「地域におけるうつなどメンタルヘルス疾患対策検討会」によるメンタルヘルス・二次スクリーニングの中には、1項目だけ不安症状などメンタルヘルス症状が入っているが、今後さらに不安症状などメンタルヘルス症状項目の追加をメンタルヘルス科的に検討する余地があります。
加えて、大うつ病エピソードなどメンタルヘルス疾患についてメンタルヘルス科診断に依拠する2週間という期間基準もメンタルヘルス科的に検討する余地があります。メンタルヘルス疾患の研究目的なら、操作的メンタルヘルス科診断基準準拠してメンタルヘルス測定をします。しかし、継続的であるべき職場におけるメンタルヘルス活動の一環として行うメンタルヘルス・スクリーニングでは、もとよりメンタルヘルス科診断を目的としていないのであるから、メンタルヘルス科面接からさかのぼる2週間だけというメンタルヘルス科診断に依拠する操作的メンタルヘルス科診断基準による期間基準に従う必要はないです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。