カテゴリー別アーカイブ: メンタルヘルス

職場のメンタルヘルス(その53)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の53回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅨ)
個人メンタルヘルス情報など個人情報の保護
⇒産業保健職などメンタルヘルス職によるメンタルヘルス情報の取り扱いについては、国際的には国際労働衛生学会(ICOH)の産業保健専門職などメンタルヘルス専門職の倫理コードが、わが国においてはメンタルヘルス開発科学研究会の「産業医の倫理綱領」(1998(平成10)年)、日本産業衛生学会の「産業保健専門職の倫理指針(メンタルヘルス専門職の倫理指針)」(2000(平成12)年)があります。これらの産業医や産業保健専門職などメンタルヘルス専門職の倫理コードには、職場のメンタルヘルス情報を産業保健専門職などメンタルヘルス専門職が事業者に開示する場合には、メンタルヘルス不調者の自由意思に基づく承諾を得るべきであることが明記されています。2000(平成12)年の「メンタルヘルス不調者メンタルヘルス情報に係るプライバシーの保護に関するメンタルヘルス検討会中間取りまとめ」には、職場におけるさまざまなメンタルヘルス情報の取り扱いに関してルールをつくる必要性が述べられています。また、同年の「当該メンタルヘルス不調者個人メンタルヘルス情報保護など個人情報保護に関する行動指針」には、①HIV検査、遺伝子検査を行ってはならないこと、②性格検査を行う場合には、事前にその目的、内容を説明し当該メンタルヘルス不調者の明確な同意を得ること、③アルコール検査や薬物検査は、職業上の必要な場合に限り実施可能で、メンタルヘルス不調者本人の明確な同意を得ること、④ビデオモニタリングは事前に当該メンタルヘルス不調者に通知個人メンタルヘルス情報保護の権利など個人情報保護の権利を侵害しないこと、⑤コンピューター自動処理などのメンタルヘルス結果だけで当該メンタルヘルス不調者の評価当該メンタルヘルス不調者の雇用に関する決定を行わないことが示されています。
2004(平成16)年の「当該メンタルヘルス不調者個人メンタルヘルス情報の保護に関するメンタルヘルス検討会」のメンタルヘルス報告書をもとに示された「雇用管理に関する個人メンタルヘルス情報のうちメンタルヘルス情報を取り扱うに当たっての留意事項について」では、メンタルヘルス情報の定義に、法定のメンタルヘルス診断の結果、メンタルヘルス診断後メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)などから聴取した就業上のメンタルヘルス措置に関するメンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)の意見とメンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)が実施したメンタルヘルス措置の内容、メンタルヘルス指導の結果、当該メンタルヘルス不調者個人が提出したメンタルヘルス診断の結果メンタルヘルス診断書などのメンタルヘルス疾病関するメンタルヘルス情報、産業医がその職務を通して得たメンタルヘルス情報メンタルヘルス測定の結果とそのメンタルヘルス測定結果に基づくメンタルヘルス指導の内容メンタルヘルス保険組合メンタルヘルス事業を通じて取得したメンタルヘルス情報およびメンタルヘルス不調療養の給付に関するメンタルヘルス情報など、幅広いメンタルヘルス事項が含まれています。また、衛生委員会などで審議し、労働組合などとも必要に応じて協議して、メンタルヘルス情報の利用目的メンタルヘルス情報の管理体制メンタルヘルス情報を取り扱う者およびそのメンタルヘルス情報を取り扱う者の権限ならびに取り扱うべきメンタルヘルス情報の範囲メンタルヘルス情報の開示メンタルヘルス情報の訂正メンタルヘルス情報の追加メンタルヘルス情報の削除メンタルヘルス情報の廃棄メンタルヘルス情報に関する苦情の処理について定めることが職場のメンタルヘルス対策として望ましい旨も示されています。
こうしたメンタルヘルス情報の活用メンタルヘルス情報の保護のバランスを適切に維持するためには、その職場のメンタルヘルス問題を深く理解した産業医、産業看護職などメンタルヘルス職の関与が非常に重要です。
産業精神保健(産業メンタルヘルス)領域のメンタルヘルス学術研究については、メンタルヘルス医学研究の基本原則が示された「ヘルシンキ宣言」(2008(平成20)年修正)を踏まえ、「メンタルヘルス疫学研究に関する倫理指針」(文部科学省、2008(平成20)年改正)などを参考にして、産業精神保健領域(産業メンタルヘルス領域)のメンタルヘルス学術研究として計画およびメンタルヘルス学術研究の成果として実施される必要があります。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その52)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の52回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅧ)
個人メンタルヘルス情報など個人情報の保護
メンタルヘルスに関する問題は、個人メンタルヘルス情報など個人情報の中で、特にデリケートな面を有しています。メンタルヘルス科主治医、産業看護職などメンタルヘルス職メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)、メンタルヘルス科医療機関メンタルヘルス科専門病院メンタルクリニック)、メンタルヘルス障害者社会復帰促進センターの職員などには、法的な守秘義務が課せられています。産業保健活動などメンタルヘルス活動では、メンタルヘルス不調者メンタルヘルスに関する数多くのメンタルヘルス情報を取り扱うが、特にメンタルヘルス面メンタルヘルス問題は、未だ誤解や偏見の多い領域であり、そのメンタルヘルス情報そのもの当該メンタルヘルス不調者が不当に不利なメンタルヘルス措置を受けることを誘発する恐れがあります。したがって、メンタルヘルス情報の取り扱いには、より十分な注意が必要です。
職場におけるメンタルヘルス情報取り扱いの原則は、次の3点に集約できます。
メンタルヘルス不調者本人の同意なしに個人メンタルヘルス情報を目的外使用をしたり、第三者に個人メンタルヘルス情報を提供しないこと。
これら個人メンタルヘルス情報の目的外使用や第三者への提供を行うと、個人メンタルヘルス情報保護などの個人情報保護法に違反することになります。ただし、「生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、メンタルヘルス不調者本人の同意を得ることが困難であるとき」は、除外されます。しかし、そのメンタルヘルス不調者本人から同意を得ることが困難である場合でも、できる限りメンタルヘルス不調者の代諾者に同意を得るように努めることが求められます。メンタルヘルス面が非常に不安定メンタルヘルス状態で、自傷他害のおそれが強い場合などが該当するでしょう。
必要最小限のメンタルヘルス情報を取り扱うこと。
匿名のメンタルヘルス情報で不都合がない限り、メンタルヘルス不調者の個人名を明示したり詮索したりしないです。やむを得ず、メンタルヘルス不調者本人の同意なし個人メンタルヘルス情報を取り扱う場合には、その個人メンタルヘルス情報をできるだけ限定することが重要となります。
得られた個人メンタルヘルス情報は、必要最小限のメンタルヘルス職の者で共有すること。
「雇用管理に関する個人情報のうち個人メンタルヘルス情報を取り扱うに当たっての留意事項」には、メンタルヘルス科診断名や検査値などの生データは、産業医や産業看護職などメンタルヘルス職が扱い、メンタルヘルス医学的な知識に基づいて加工、メンタルヘルス判断を行ったメンタルヘルス結果を事業者に伝えるべきことが記されています。メンタルヘルス不調を有するメンタルヘルス不調者に対する就業上のメンタルヘルス措置に関しても、人事労務管理者や上司は、職場において配慮すべき具体的なメンタルヘルス事項を知らされればよく、メンタルヘルス科診断名や詳細なメンタルヘルス科治療経過メンタルヘルス科治療薬の内容などは知らされないメンタルヘルス的な仕組みが求められます。メンタルヘルス科専門医師の主治医精神科医師・心療内科医師)から出されるメンタルヘルス科診断書傷病手当金の申請書類の扱いも同様です。
一般メンタルヘルス診断メンタルヘルス情報は、[労働安全衛生法第66条の7]に規定されているメンタルヘルス診断事後メンタルヘルス措置に活用されなければならないです。また、メンタルヘルス事例によっては、事業者がメンタルヘルス不調者メンタルヘルス情報を取得し、メンタルヘルス不調者の業務に対するメンタルヘルス適応状況を把握して、それらメンタルヘルス適応状況に基づいた就業上のメンタルヘルス措置を行うことを怠ると、安全配慮義務違反に問われるおそれもあります。安全配慮義務の履行に必要な個人メンタルヘルス情報は、労働安全衛生法の規定を超えて、職場における個人メンタルヘルス情報として取り扱う必要があるのです。
また、運輸業など、一部の業種などによっては、顧客をはじめとする第三者の安全やメンタルヘルスの確保が、メンタルヘルス不調者自身プライバシー権よりも優先される場合があります。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その51)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の51回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅦ)
メンタルヘルス医療におけるメンタルヘルス専門職の役割
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)や心理職(カウンセリング職)に求められるメンタルヘルス要件
メンタルヘルス科臨床を専門領域としてきた、あるいは現在もしているメンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)や臨床心理士(カウンセラー)が、企業に招かれ、事業場内でメンタルヘルス科診察、個別メンタルヘルス相談活動、産業保健職などメンタルヘルス職としてメンタルヘルス助言メンタルヘルス支援メンタルヘルス教育研修などを行うメンタルヘルス活動の例が増加しています。多くの企業、事業場で、メンタルヘルス不調者が増加し、職場のメンタルヘルス対策の一環として、メンタルヘルス不調者らを常勤あるいは非常勤で雇用する動きがみられているのです。
ここまで述べてきたように、産業精神保健活動(産業メンタルヘルス活動)は、メンタルヘルス医学あるいはメンタルヘルス医学領域メンタルヘルス疾病管理だけを指すものではないです。むしろ、メンタルヘルス不調の予防、特に仕事や職場を主因とするメンタルヘルス不調の発生を未然に防止することが重視されます。しかし、わが国のメンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)は、メンタルヘルス不調の予防のためのメンタルヘルス教育メンタルヘルス訓練をほとんど受けていないです。したがって、メンタルヘルス専門医師心療内科医師・精神科医師)や臨床心理士(カウンセラー)が、事業場内で職場のメンタルヘルス対策に大きな貢献をするためには、安全衛生法規、人事労務管理に関する諸制度、所属する事業場における就業規則や労働協約の類、事業場内の各職場の業務内容、業務ストレス、他の産業保健活動などメンタルヘルス活動、職場内の集団力学などに対する理解が重要となります。企業の中でメンタルヘルス不調者や経営層に信頼されながらメンタルヘルス活動を続けているメンタルヘルス臨床家の大半は、こうした職場のメンタルヘルス対策に意識的です。
メンタルヘルス科臨床に精通するメンタルヘルス専門家の助力を得ることは、多くの場合産業精神保健活動の質(産業メンタルヘルス活動の質)を高めるのに有用であるが、メンタルヘルス専門家らと産業保健職などメンタルヘルス職が連携するにあたっては、こうしたメンタルヘルス事項を前提条件としたいです。
メンタルヘルス科診療行為と産業保健活動などメンタルヘルス活動
⇒特に大規模事業場で散見されるが、事業場内でメンタルヘルス科診療メンタルヘルス疾病メンタルヘルス科臨床的治療)が行われているところがあります。その場合、メンタルヘルス科診療録と産業医や産業看護職などメンタルヘルス職が健康診断などを通して作成した健康管理記録は、性格の異なるものであり、区別して取り扱われる必要があります。事業場内のメンタルヘルス科診療活動は、いわば事業場外で行われるものが、事業場の一部を間借りして実施されているという考え方をするのがよいです。すなわち、メンタルヘルス科診療録と健康管理記録のすり合わせ、職場のメンタルヘルス情報共有は、当該メンタルヘルス不調者の了解を得る手続きを踏むなど、事業場内の産業保健職などメンタルヘルス職と事業場外メンタルヘルス科医療機関メンタルヘルス科専門病院メンタルクリニックなど)が連携、職場のメンタルヘルス情報交換をするのと同様の扱いをするのです。
一人のメンタルヘルス科専門医が、事業場内でメンタルヘルス科診療を行いながら同時に産業医として産業メンタルヘルス活動にも従事していることもあります。職場のメンタルヘルス科専門医メンタルヘルス科診断メンタルヘルス科治療を行うだけでなく、復職支援に関するリワークに関する)判断や配置転換のメンタルヘルス助言なども担当している例がそれに該当します。この場合には、メンタルヘルス科診療録と健康管理記録を分けて管理をしても、同一の医師がそれらのメンタルヘルス科診療録と健康管理記録を活用するのであるから、現実的にはあまり意味がないことになります。事業場内に複数の医師がいるところでは、担当職場を分担することなどにより、メンタルヘルス科専門医が主治医となっているメンタルヘルス不調者メンタルヘルス管理を直接行うことを回避する工夫が望まれます。
●「メンタルヘルス科産業医」という矛盾
⇒産業精神保健(産業メンタルヘルス)に関するメンタルヘルス啓発書メンタルヘルス実践本などで、「メンタルヘルス科産業医」という表現が散見されます。その大半は、メンタルヘルス科臨床を専門とするメンタルヘルス科専門医が企業に雇用され、産業医業務のうち精神保健(産業医業務のうちメンタルヘルス)に関わるもの(特に、メンタルヘルス相談復職可否の判定リワーク可否の判定)、メンタルヘルス教育研修)を担当する場合を指しています。
しかし、この形は、現行の産業医制度からみると変則的であり、「メンタルヘルス科産業医」を一般的に認められるべき用語とすべきかどうかは疑問です。
産業医の職務は、[安衛法第14条]で表1のように規定されており、[同法第15条]では、「少なくとも毎月一回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない」ことも定められています。行っている業務がこれより不足しているならば、産業医としての職務を完遂しているとは言えないです。
◇表1 産業医の職務(安衛法第14条)
『・健康診断及び面接指導等の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
・作業環境の維持管理に関すること。
・作業の管理に関すること。
・前三号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
・健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
・衛生教育に関すること。
・労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。』
現在、業務上疾病としてもっとも多いのは腰痛であり、騒音性難聴もまた、一部の業種では多数例みられます。最近では、石綿による悪性腫瘍も職業性疾病の枠を越えて社会問題となっています。しかし、その対策のために、整形外科産業医、耳鼻咽喉科産業医あるいは呼吸器科産業医といった臨床科別の、いわば縦割り型の産業医は存在していないです。メンタルヘルス不調者の急増と職場のメンタルヘルス対応の難しさを反映しているともみなすことができようが、「メンタルヘルス科産業医」を認めることが、他の健康問題と比較して「メンタルヘルス不調」の特別視「メンタルヘルス不調」への偏見の助長につながるおそれも否定できないです。
理論上は、事業場内のメンタルヘルス科専門医の役割は、精神保健面(メンタルヘルス面)に関して、産業保健職などのメンタルヘルス職職場においてメンタルヘルス支援するもの(メンタルヘルス助言者メンタルヘルス相談役)と位置づけるのが、現時点では自然でしょう。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その50)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の50回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅥ)
◎産業保健専門職などメンタルヘルス専門職の中立性について
⇒産業医による産業保健活動などメンタルヘルス活動のあり方を論じる際に、よく俎上に載せられるメンタルヘルス事項の一つに「立場の中立性」があります。医師である以上、メンタルヘルス面における弱者(多くの場合、メンタルヘルス障害を有しているメンタルヘルス不調者本人)の側に立ち、メンタルヘルス不調者らが周囲の理解を得ながらできるだけメンタルヘルス不調者自らが希望する仕事に従事できるようメンタルヘルス支援を行うべきであるという考え方(①とする)があります。他方、産業医は、事業者に雇用されている立場であるから、メンタルヘルス面における弱者だけでなく、そのメンタルヘルス不調者の周囲の職場関係者や、事業体の運営、経営面にも配慮した(端的に表現すればむしろ「会社寄り」の)メンタルヘルス判断をせざるを得ないことがあるという指摘(②とする)もあります。このメンタルヘルス事情は、多かれ少なかれ、産業看護職などメンタルヘルス職にも当てはまるはずです。
この①と②は、相容れないことから、産業医としてどちらを選択するのかと迫られた際、しばしば用意されるのが「中立」という回答です。ニュアンスとしては、「メンタルヘルス不調者寄り」でも「会社寄り」でもなく、その中間でバランスを重視したメンタルヘルス判断をするといったところでしょう。しかし、抽象論ではなく、個々のメンタルヘルス事例について具体的にどういったメンタルヘルス判断が中間的なものかを考えると、どうするのが「メンタルヘルス不調者寄り」で、どうするのが「会社寄り」かを簡単に分けるのが難しいことも多いです。
一つ具体例を挙げてみます。
メンタルヘルス不調をきたしたメンタルヘルス不調者が職場配転を希望しました。当該メンタルヘルス不調者は、現在の職務と職場がメンタルヘルス不調者自身合っていないためにメンタルヘルス不調に陥ったのであり、配置転換によってメンタルヘルス状態がよくなるはずだと主張しています。しかし、メンタルヘルス不調者本人の能力や人事制度上のメンタルヘルス問題から、上司や人事労務管理部署としてはとても認めることができないとしましょう。その場合、「メンタルヘルス不調者寄り」に立つことは、メンタルヘルス不調者本人の希望を通すように周囲を説得することでしょうか。おそらくそうではなく、当該メンタルヘルス不調者本人メンタルヘルス不調に至ったことのメンタルヘルス要因をできる限り詳しくメンタルヘルス調査し、本当に配置転換によってメンタルヘルス状態の好転は見込まれるのかをメンタルヘルス的に検討することでしょう。そのメンタルヘルス的な検討の中には、上司や人事労務管理部署に対する説得によるメンタルヘルス効果も織り込まれます。当該メンタルヘルス不調者本人が無理を通してまで配置転換を強行することによって、当該メンタルヘルス不調者本人が受ける中長期的な影響(上司や同僚のメンタルヘルス的なしこり、人事労務管理の例外として認められたことに伴うメンタルヘルス評価の厳しさなど)も併せると、メンタルヘルス不調者本人の希望を通すこと必ずしも「メンタルヘルス不調者寄り」とは言えないことがわかります。当該メンタルヘルス不調者の異動に伴って、仕事の内容が変わったり、新たな業務が付加されたりすることによって、他の労働者の労働ストレスが高まることを除いても、適切なメンタルヘルス対応とは限らないです。
こうしてみると、つまるところ、産業保健職などメンタルヘルス職の中立性は、一般論として議論するのではあまり実りがなく、現場での個別のメンタルヘルス事例対応において、あるいは産業メンタルヘルス学術学会産業メンタルヘルス研究会の場では提示されたメンタルヘルス事例を通じてメンタルヘルス的に検討を重ねるべきであると考えられます。
法的にみると、事業者は、産業医がメンタルヘルス勧告メンタルヘルス助言メンタルヘルス指導を行ったことを理由として、解任その他不利益な取り扱いをすべきでないことが、安衛法第14条第4項に規定されています。したがって、産業医の職場でのメンタルヘルス活動は、一定の独立性が保たれ、額面上は「会社寄り」のメンタルヘルス判断を強要されることはないことになります。ただ、産業医本人が②を強く意識し、必要以上に柔軟なメンタルヘルス対応を行ったり、事業場内の無言の圧力を感じて不本意ながら「会社寄り」のメンタルヘルス対応に至ったりする例はあるでしょう。
産業医が事業者に雇用されるというメンタルヘルス制度の是非については、以前から議論があります。現状より独立性、中立性を保つために、産業医は外部の第三者メンタルヘルス機関に所属し、その第三者メンタルヘルス機関から企業、事業場に派遣されて職場でのメンタルヘルス活動などの職務を行う方がよいという意見もあります。しかし、そうした形をとった場合、産業医が得ることのできる職場のメンタルヘルス諸情報が少なくなり、結果として産業保健活動などメンタルヘルス活動の質が低下してしまう可能性も考慮すべきでしょう。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その49)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の49回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅤ)
◎産業精神保健活動(産業メンタルヘルス活動)の範囲と優先順位③
多面的なメンタルヘルス評価とそのメンタルヘルス評価に基づくメンタルヘルス支援
⇒産業精神保健活動は、その過程で、個別性を重視(産業メンタルヘルス活動は、その過程で、個別性を重視)しなければならないです。しかし、さまざまな職場環境(人間関係を含む)下における心理社会的ストレスに関しては、メンタルヘルス基準値の類の導入が困難です。
心理社会的ストレスは、職場や仕事に関するものに限っても、仕事の量、質、裁量権、人間関係、業務適性など多くのメンタルヘルス因子が絡み合って生じており、ストレス評価の指標は、「A職場よりはB職場のほうが、ストレスが高く職場のストレスによって労働者のメンタルヘルスが脅かされやすい」といった相対的なものにならざるを得ないです。また、あるメンタルヘルス不調者にとっては耐えうる限度のように感じられる作業ストレスが、別の労働者にとっては物足りないようなメンタルヘルス状況があり、そこに画一化したメンタルヘルス基準を持ち込んで作業を規制すると、一部のメンタルヘルス不調者の仕事への熱意を奪うことにつながるといったメンタルヘルス事態が比較的起こりやすいです。
産業精神保健(産業メンタルヘルス)活動においても、一部のメンタルヘルス事項については、一定のメンタルヘルス基準(例:作業別の一連続作業時間の設定、1ヵ月あたりの残業時間の上限)を置くことは有効であり、かつ重要でもあるが、個々のメンタルヘルス不調者へのメンタルヘルス支援にあたっては、多面的で個別性の高いメンタルヘルス評価メンタルヘルス対応が求められることになります。
(もっとも、このメンタルヘルス支援への考え方は、労災認定には直接は適用できないです)。
メンタルヘルス不調は、メンタルヘルス不調者の労働観とも深く関連しています。同等の作業ストレスであっても、その仕事にやりがいや生きがいを感じて前向きに取り組んでいる労働者と、仕事は生活の糧と割り切り、別の事柄に喜びを見出しているメンタルヘルス不調者とでは、ストレスの大きさが異なることは自明です。また、以前は自ら望んでストレスの大きい仕事に取り組んでいた労働者が、自分自身あるいは親族などにメンタルヘルス問題が生じたことを機に、メンタルヘルス不調を来すようになり、ストレスの大きい仕事を回避するようになることも少なくないです。職場や仕事によるストレスと、そのストレスによるメンタルヘルス障害のリスク、職場適応は、人によって、時間、メンタルヘルス状況によって変動するのです。
「ILO労働者のメンタルヘルスサーベイランスのための技術・倫理ガイドライン」は、労働者の就業適性に関して、表1のような考え方を示しています。産業保健職などのメンタルヘルス職には、この点をよく理解し、当該メンタルヘルス不調者や職場に関するメンタルヘルス情報の刷新に心がけることも求められます。
◇表1 「ILO労働者のメンタルヘルスサーベイランスのための技術・倫理ガイドライン」における職業適性の考え方
『・普遍的に適性があるメンタルヘルス状態や絶対的に適性がないメンタルヘルス状態は存在しないこと
・ある時点の特定の仕事への就業適性のみメンタルヘルス判断できること
メンタルヘルス障害による機能障害過大にメンタルヘルス評価してはならないこと
メンタルヘルス不調者の適応力メンタルヘルス不調者の知性過小にメンタルヘルス評価してはならないこと
・適性のメンタルヘルス基準を設定することは過剰な簡素化につながること』
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その48)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の48回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅣ)
◎産業精神保健活動(産業メンタルヘルス活動)の範囲と優先順位②
●「企業の社会的メンタルヘルス責任」の外延
⇒近年、企業は利益の追求だけでなく、顧客、株主、従業員(労働者)、取引先、地域社会などのさまざまなステークホルダー(利害関係者)との関係を重視して、そのメンタルヘルスに関する社会的責任(corporate social responsibility:CSR)を果たしていくべきであることが強調されるようになっています。そして、その社会的メンタルヘルス責任への取り組みの一部として、産業精神保健(産業メンタルヘルス)活動を推進するという表明を行っているところもみられます。
CSRに基づく産業精神保健活動(CSRに基づく産業メンタルヘルス活動)は、安衛法の遵守や事業者の安全配慮義務の履行を堅持している限りメンタルヘルス上の問題はないです。しかし、多様なステークホルダーに対してわかりやすい形で公表するため、産業メンタルヘルス活動の外延を拡大すると、中核であるべきそうした産業メンタルヘルス活動の優先順位が見失われてしまう恐れのあることに注意が必要でしょう。
産業メンタルヘルス活動における優先順位の付け方
⇒ここまで述べてきたように、産業保健活動などメンタルヘルス活動としての産業精神保健活動には、優先順位があり(産業メンタルヘルス活動には、優先順位があり)ます。
メンタルヘルス不調の原因は、大半の例で一つではないです。職場や仕事に関連するメンタルヘルス因子がそのメンタルヘルス不調の一部を形成していることも多いが、ほかにも家庭でのメンタルヘルス要因や個人でのメンタルヘルス要因メンタルヘルス不調者の遺伝的素因メンタルヘルス不調者の性格傾向メンタルヘルス不調者の物事の考え方メンタルヘルス不調者ストレス対処の仕方など)が関与しているのが一般的といえます。したがって、職場や仕事に関するストレスを軽減すべく環境調整をしても、メンタルヘルス状態が改善に向かわない例も少なくないです。
しかし、だからといって、産業保健職などメンタルヘルス職がそのメンタルヘルス評価メンタルヘルス不調改善メンタルヘルス活動に十分注力せず、個人でのメンタルヘルス要因(変容可能な部分)への働きかけに邁進するのは、産業メンタルヘルス活動における優先順位を取り違えているというべきでしょう。個人でのメンタルヘルス要因への働きかけを行う際は、時間と手間をかけた職場環境のメンタルヘルス評価職場のメンタルヘルス不調改善に続いて行うか、少なくとも同時並行の形で進められるべきです。
さらに、個人でのメンタルヘルス要因への働きかけは、当該メンタルヘルス不調者やそのメンタルヘルス不調者の周囲から「当該メンタルヘルス不調者本人メンタルヘルス不調に陥ったのは、職場環境ではなく、メンタルヘルス不調者側個人メンタルヘルス問題に帰するところが大きいとの(職場側の)考え方に基づいている」、そして「メンタルヘルス不調者個人への働きかけにかかわるメンタルヘルス活動の実施担当者もその考え方に同調している」などといった見方をされ、メンタルヘルス不調者個人に不信感を抱かせてしまう危険も内包しています。産業保健職などのメンタルヘルス職が、職場でのメンタルヘルス活動の実施担当者となる場合には、そうしたメンタルヘルス不調者個人に不信感を抱かれる可能性も考慮するべきでしょう。集団メンタルヘルス教育として行われる場合にも、同様のことが言えます。ストレスメンタルヘルス疾患の解説などの一般的なメンタルヘルスの知識メンタルヘルス情報の提供から一歩踏み込んだメンタルヘルス不調者個人への働きかけ行う際には、産業保健職などメンタルヘルス職、人事労務管理部署などの間で、事前によく打ち合わせをし、当該メンタルヘルス不調者自身メンタルヘルス教育の受講者に誤解を与えないようにすることが望まれます。
こうしたことから、職場における産業精神保健活動(職場における産業メンタルヘルス活動)は、「何を行うか?」だけでなく「何を行わないか(後回しにするか)?」、「誰が職場における産業メンタルヘルス活動を行うべきか?」をも議論して進められるべきです。「メンタルヘルス不調を減らせる効果が高い順に(仮にそのメンタルヘルス不調の軽減効果が判明しているとして)実施する」、「その職場における産業メンタルヘルス活動への取り組みについて、もっとも高い技術を有している産業保健担当者などのメンタルヘルス担当者が実施する」というメンタルヘルス判断が、必ずしも最善手ではないことに注意すべきでしょう。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その47)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の47回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅢ)
◎産業精神保健活動(産業メンタルヘルス活動)の範囲と優先順位①
●産業保健活動などメンタルヘルス活動と事業者のメンタルヘルス責任
産業保健活動などメンタルヘルス活動は、主として事業者のメンタルヘルス責任使用者のメンタルヘルス責任)の下に推進されるものです。産業保健活動のすべて(メンタルヘルス活動のすべて)が事業者のメンタルヘルス責任を履行することを唯一の目的に行われるわけではないが、事業者のメンタルヘルス責任を果たすための産業メンタルヘルス活動は優先順位が高いです。したがって、職場内で産業保健職が中心となって推進(メンタルヘルス職が中心となって推進)する産業精神保健活動の枠組み(産業メンタルヘルス活動の枠組み)も、事業者のメンタルヘルス責任が重視されます。
労働安全衛生法(安衛法)は、第1条で「労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、メンタルヘルス責任体制の明確化及び自主的メンタルヘルス活動の促進というメンタルヘルス措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的なメンタルヘルス対策を推進することにより職場における労働者の安全とメンタルヘルスを確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」を目的としてうたい、第3条で「単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全とメンタルヘルスを確保するようにしなければならない」と事業者のメンタルヘルス責任を示しています。ちなみに、この「職場環境」という表現は、平成4(1992)年の法改正により「作業環境」から変更された経緯を持ち、作業方法などをも含む、より広い意味での職場におけるメンタルヘルス対策の推進を持たせたものです。
安衛法の条文は、その大半で主語が「事業者」となっています。すなわち、事業者が行わなければならないメンタルヘルス事項が列挙されているのです。安衛法に示された産業精神保健活動(安衛法に示された産業メンタルヘルス活動)は、事業者のメンタルヘルス責任を果たす意味で、まず優先されなければならないです。
また、安全配慮義務という概念があります。もともとは労働契約に付随する事業者にとっての信義則上の債務の一部とされ、損害賠償請求をめぐる民事訴訟で争点となることが多かったが、平成20(2008)年に施行となった労働契約法に盛り込まれました。
安全配慮義務は、危険予知義務と結果回避義務から構成されています。事業者は、雇用する労働者が仕事を遂行する中でメンタルヘルスや安全が脅かされることがないかどうかを確認し(前者)、そのメンタルヘルスや安全が脅かされる可能性が高い場合には、未然に必要なメンタルヘルス対策を講じる(後者)必要があります。
メンタルヘルス不調に関連する職場のメンタルヘルス問題が民事訴訟となった例としては、2000(平成12)年に最高裁判決が出された「電通事件」がよく知られている(本件では、安全配慮義務ではなく、注意義務違反が問われた)が、その後も、事業者の安全配慮義務違反が民事訴訟で争われる例が増加しています。
安全配慮義務をめぐる民事訴訟では、長時間労働ハラスメント、配置転換など、産業保健職の取り組み(メンタルヘルス職の取り組み)よりも、現場のラインや人事労務管理上のメンタルヘルス問題が焦点となることが多いです。
産業保健職などメンタルヘルス職は、日頃のメンタルヘルス活動の中で、職場にそうしたメンタルヘルス問題が内在することを知った場合には、メンタルヘルス問題の改善に向けての働きかけを行い、メンタルヘルス問題の拡大労働者のメンタルヘルス不調の発生の防止に努めることが求められます。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その46)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の46回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅫ)
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい④~
メンタルヘルス科専門医師の主治医精神科医師・心療内科医師)による企業へのメンタルヘルス診療情報提供
⇒就業継続ができているか、休職をしているかにかかわらず、メンタルヘルス不調者メンタルヘルス科診察をし、メンタルヘルス科治療を継続しているメンタルヘルス専門医の主治医心療内科医・精神科医)におさえてもらいたいメンタルヘルス診療情報提供のポイントについて簡潔にまとめます。
メンタルヘルス不調者が就業できている場合に確認すべきポイント
⇒そのメンタルヘルス不調者が現在も就業できている場合、メンタルヘルス疾患メンタルヘルス不調によっては必ずしも職場にメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関への通院の事実を報告しているわけではないです。メンタルヘルス障害メンタルヘルス科治療を職場に報告している場合でも、正しいメンタルヘルス科病名メンタルヘルス科治療計画が伝えられていることは少なく、また、職場側の人事担当者による「メンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関への通院とはすなわちうつ病などメンタルヘルス疾患だろう」という推測による誤解も多いです。この職場側のメンタルヘルス不調者への誤解は結果として、職場でのメンタルヘルス不調者への誤った処遇や配慮にもつながりかねないです。原則として、メンタルヘルス不調者本人の同意があれば、メンタルヘルス科診断メンタルヘルス科治療計画をしかるべき職場のメンタルヘルス責任者正しくメンタルヘルス情報提供すべきです。メンタルヘルス不調者本人の同意が得られない場合は、職場側にメンタルヘルス診療情報メンタルヘルス情報提供をしないことによるデメリットも、メンタルヘルス不調者に説明することが必要です。
メンタルヘルス不調者が休職している場合に確認すべきポイント
メンタルヘルス専門医師の主治医心療内科医師・精神科医師)が職場のメンタルヘルス状況や業務の特殊性をよく理解しておらず、円滑な復職円滑なリワーク)が困難となることも少なくないです。職場の就業規則などにより、復職の際リワークの際)の復職支援プログラムはさまざまリワークプログラムはさまざま)です。たとえば、時間短縮勤務を代表としたリハビリ勤務は、労働契約上、復職前リワーク前)に終える必要がある企業もあれば、休職中から復職後休職中からリワーク後)にまたがってリハビリ勤務を行う場合、さらには、復職後リワーク後)に限ってリハビリ勤務を行う場合など、その形態もさまざまです。休職中のメンタルヘルス不調者メンタルヘルス科診察している場合、職場の上司や人事担当者が復職をどのようにとらえてリワークをどのようにとらえて)おり、どういった業務に、どの程度のストレスから復職することが可能なのかリワークすることが可能なのか)についてをよく確認しておくことが必要です。もちろん、メンタルヘルス不調者本人の同意が得られれば、職場の人事担当者同席の上でメンタルヘルス不調の説明席を設け、メンタルヘルス科診断メンタルヘルス科治療方針復職の方法リワークの方法)を共有することが何より有益であることはいうまでもないです。メンタルヘルス不調者の職種、職場側の環境やメンタルヘルス不調者への配慮の可能性、今後のメンタルヘルス科治療の見通し総合的に考えたメンタルヘルス情報提供をお願いします。
◎事業場との連携において、メンタルヘルス科主治医側から事業場に望むこと
⇒事業場がメンタルヘルス科主治医と連携を図る方法について前々回(2019年11月6日)に記したが、当該メンタルヘルス不調者、事業場両者にとって有益なものにしていくため、また、メンタルヘルス科主治医が安心して連携を図れるために以下に示した①~④のポイントを整備しておくことが大切です。
①産業医を中心とした安全メンタルヘルスシステムが整備されていること
個人メンタルヘルス情報保護、守秘義務の認識が確立していること
メンタルヘルス情報が産業医の手元に集中され、産業医が就業上必要とメンタルヘルス判断するかぎりで集約・整理したメンタルヘルス情報のみが、職場の中でそのメンタルヘルス情報を必要とする者のみに伝えられるメンタルヘルス体制が確立していること。メンタルヘルスの専門的な立場から産業医はメンタルヘルス情報を集約・整理し、当該メンタルヘルス不調者プライバシーが守られたメンタルヘルス状態メンタルヘルス関係者間メンタルヘルス情報交換を行う調整役としてのメンタルヘルス機能が果たせること
メンタルヘルス科主治医と連携に関する費用負担について認識があること。健康保険が適用されるのはメンタルヘルス不調者本人メンタルヘルス科診療に限られるため、メンタルヘルス科主治医に対してメンタルヘルス情報提供、あるいはメンタルヘルス科面会を行う場合は、相応の費用を負担するメンタルヘルス制度が確立していること
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その45)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の45回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅪ)
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい③~
◎産業医によるメンタルヘルス疾患疑われるメンタルヘルス不調者メンタルヘルス情報提供
⇒職場内にて産業医としてメンタルヘルス障害を疑われるメンタルヘルス不調者にかかわる場合メンタルヘルス対応について述べます。産業医にはメンタルヘルス科を専門とする医師精神科医師・心療内科医師)もいれば、メンタルヘルス科を専門としない医師もいます。メンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)の場合、適切なメンタルヘルス医学的メンタルヘルス科診察を実施し、必要に応じてメンタルヘルス科専門病院メンタルクリニックとの間で病診連携を取ることになるでしょう。
メンタルヘルス問題は、メンタルヘルス科を専門としない産業医によるメンタルヘルス対応です。この産業医によるメンタルヘルス対応の多くは、診察室でメンタルヘルス不調者を診察し、産業医からメンタルクリニックメンタルヘルス科専門病院への紹介に至ります。メンタルヘルス科への紹介の際メンタルヘルス専門医師の主治医心療内科医師・精神科医師)にとって、メンタルヘルス疾患に関する正しいメンタルヘルス科診断メンタルヘルス科診断名の入ったメンタルヘルス不調者メンタルヘルス診療情報提供書の提供よりも、より詳しい社内でのメンタルヘルス情報の提供が大変重要となります。また、メンタルヘルス情報提供書に示される内容に関しては、可能なかぎりメンタルヘルス不調者本人から適切な同意を得ることが重要です。メンタルヘルス診療情報の提供に際し、一般的なメンタルヘルス科の現病歴に加えて、最低限おさえておきたいポイントがあります。以下、メンタルヘルス診療情報提供の際のポイントを列記します。
メンタルヘルス不調者の業務内容メンタルヘルス不調者の職場環境
メンタルヘルス科主治医は産業医が考えている以上に、メンタルヘルス不調者の業務上の背景を理解していないです。たとえば、総務室勤務のメンタルヘルス不調者の場合、メンタルヘルス科主治医はただ単に事務職としてしかメンタルヘルス不調者をとらえていないことも少なくないです。そのメンタルヘルス不調者が総合職として採用され、一定期間でメンタルヘルス不調者が配置の転換や転勤を余儀なくされるようなメンタルヘルス状況なのかどうかなども、ときにはメンタルヘルス科診断の上で重要メンタルヘルス情報になります。したがって、可能なかぎり詳しいメンタルヘルス不調者の業務内容メンタルヘルス不調者の職位メンタルヘルス不調者の転勤メンタルヘルス不調者の配置転換の有無などのメンタルヘルス情報を記述する必要があります。
ほかには、職場環境の特殊性も考慮すべき重要なメンタルヘルス診療情報提供のポイントです。たとえば、学校の教諭などの専門職の人がメンタルヘルス障害を疑われた際、メンタルヘルス科受診に至るまでは通常のメンタルヘルス対応でおおむね十分であるが、休職に至って復職に至る休職に至ってリワークに至る)場合、学校教諭であれば、「復職=生徒の前で授業を行いリワーク=生徒の前で授業を行い)、多少なりとも学級運営に携わること」なので、復職後しばらくの間リワーク後しばらくの間)、半日からの慣らし勤務(リハビリ出勤)やメンタルヘルス症状の悪い日の安易な欠勤は難しいです。職種の特殊性をメンタルヘルス情報提供の際にあわせて伝えることも重要です。
■職場でのメンタルヘルス不調者の対人環境
メンタルヘルス不調ハラスメントなどが関与していると思われる場合は特に重要です。どのような人とメンタルヘルス問題を起こしたのか、メンタルヘルス問題となる人はほかの同僚や部下などへの接し方はどうであったのか、メンタルヘルス不調者への接し方はどうであったのかなど、詳しく記述します。このような職場のメンタルヘルス情報は、たとえばハラスメント被害妄想との鑑別などに役立つことがあります。
■職場でのメンタルヘルス不調者の日頃の様子
メンタルヘルス不調者本人のこれまでの職場での仕事ぶりメンタルヘルス不調者本人の勤怠状況、周囲から見たメンタルヘルス不調者本人の性格や入社(入職)以来のメンタルヘルス不調者本人の職場適応メンタルヘルス不調者本人の職務遂行能力の推移などはメンタルヘルス科診察上有益なメンタルヘルス情報になります。メンタルヘルス不調者本人との交流の中で、メンタルヘルス不調者本人のアルコールの摂取状況なども把握できているとより好ましいです。親しい同僚や客観的な第三者などから、これら職場のメンタルヘルス情報が得られるとよいです。
このように、産業医からの職場のメンタルヘルス情報提供に当たっては、職場でのメンタルヘルス不調者本人および周囲のより詳しいメンタルヘルス情報の提供をお願いしたいです。職場のメンタルヘルス情報が少なくて、あいまいなメンタルヘルス科診断名を記載された職場のメンタルヘルス診療情報提供書より、メンタルヘルス科診療に有益です。また、メンタルヘルス不調者本人の同意が得られ、可能であれば、メンタルヘルス科初診の際職場でのメンタルヘルス不調者本人の様子をよく把握している職場のメンタルヘルス代表者や産業保健スタッフなどメンタルヘルススタッフメンタルクリニックでのメンタルヘルス科診療に同伴してもらえるとより好ましいです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その44)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の44回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩ)
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい②~
メンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)との連携の具体的方法
⇒事業場外資源へのメンタルヘルス情報提供の依頼は文書で行うのが原則です。また、産業医が選任されている事業場においては産業医がメンタルヘルス対応するのが望ましいです。メンタルヘルス情報提供依頼書においてはメンタルヘルス情報提供を依頼する内容を明記した上で、メンタルヘルス専門医の主治医心療内科医・精神科医)がそのメンタルヘルス情報提供依頼事項に回答することに対する、メンタルヘルス不調者本人の同意書を提出する必要があります。職場からメンタルヘルス専門医師の主治医心療内科医師・精神科医師)に対するメンタルヘルス情報提供依頼書の様式例にしたがってメンタルヘルス情報内容を記し、最後にメンタルヘルス不調者本人の同意書を付加することで有効なメンタルヘルス科主治医との連携を図ることが可能となります。
直接メンタルヘルス科主治医との連絡や面会を行う場合においても、文書によるメンタルヘルス情報提供に準じた手続き、すなわち、メンタルヘルス科主治医より提供受けたいメンタルヘルス情報内容事前にメンタルヘルス不調者に明示し同意書を得ることが必要であり、さらに、メンタルヘルス不調者本人の同席が原則です。このような場合に備えて、あらかじめ衛生委員会などにおいて、必要なメンタルヘルス情報収集におけるメンタルヘルス不調者の同意の取り方や、メンタルヘルス情報提供依頼するメンタルヘルス情報内容基本的メンタルヘルス項目、またメンタルヘルス科主治医との連絡や面会の手続き方法などを定めておくことが望ましいです。
一方、当該メンタルヘルス不調者職場でのメンタルヘルス状態や行動、メンタルヘルス情報などをメンタルヘルス科主治医職場のメンタルヘルス情報提供することも事業場外のメンタルヘルス科主治医メンタルヘルス不調者本人職場におけるメンタルヘルス状態を正しく理解するため、あるいは復職、休職リワーク、休職)など復職支援判断リワーク判断)のための復職支援情報リワーク情報)として有用です。しかしながら、職場から事業場外のメンタルヘルス科主治医メンタルヘルス情報を提供する際においても、原則として当該メンタルヘルス不調者の同意が必要と考えられます。このメンタルヘルス情報提供する際のポイントは、できるかぎり「事実関係」を私情を交えずに記載することです。
ただし、当該メンタルヘルス不調者本人あるいは第三者の生命、身体または財産の保護のために必要があるとメンタルヘルス判断される場合であって、当該メンタルヘルス不調者本人の同意を得ることが困難であるようなときには、当該メンタルヘルス不調者本人の同意がなくてもメンタルヘルス情報を提供することが可能とされています。たとえば、メンタルヘルス不調者の自殺危険性に関するメンタルヘルス情報などの場合においては、そのメンタルヘルス状況積極的にメンタルヘルス科主治医に伝えることが必要です。
これらメンタルヘルス情報提供の原則を守った上で有効なメンタルヘルス科主治医との連携関係を築くためには、本来はメンタルヘルス情報が産業医らの手もとに集中されており、産業医らが就業上必要とメンタルヘルス判断するかぎりにおいて、集約・整理したメンタルヘルス情報が、職場の中でそのメンタルヘルス情報を必要とする者に伝えられるメンタルヘルス体制が望ましいです。この場合、メンタルヘルスの専門的な立場から産業医らはメンタルヘルス情報を集約・整理し、メンタルヘルス不調者プライバシーなど個人メンタルヘルス情報が守られたメンタルヘルス状態で、メンタルヘルス関係者間メンタルヘルス情報交換が可能になるよう、調整役としてメンタルヘルス機能することが期待されます。
産業医が選任されていない小規模な職場においては、衛生管理者などメンタルヘルスの推進を担当する者メンタルヘルス責任者となってメンタルヘルス情報を管理する必要があります。個人メンタルヘルス情報保護など個人情報保護守秘義務)に関しては、十分に留意する必要があります。
次に、メンタルヘルス科診療の費用の面もメンタルヘルス的に検討しておく必要があります。健康保険が適用されるのはメンタルヘルス不調者本人(および条件によってはメンタルヘルス不調者の家族)のメンタルヘルス科診療に限られるため、企業のメンタルヘルス担当者メンタルヘルス科主治医と面会してメンタルヘルス情報提供を受ける場合には健康保険は適用できないです。また、文書にてメンタルヘルス科主治医からメンタルヘルス情報提供を受ける場合においては、事業場内に保険診療を行っているメンタルクリニックなどメンタルヘルス科診療所を有し、産業医からのメンタルヘルス情報提供依頼がある場合を除いては、メンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関は保険請求をできないです。メンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関に対して無報酬で責任のあるメンタルヘルス対応を求めることは無理があり、全てのメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関には相応の報酬を支払うべきであると考えます。この保険診療適用であるメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関への報酬支払いの点についても、事前にメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関との間メンタルヘルス相談し、職場のメンタルヘルス対策として企業のメンタルヘルス責任者は相応の費用を負担することも留意しておく必要があります。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。