森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック 院長の藤田です。
今回のテーマは「ピロリ抗体の落とし穴」について解説します。
ピロリ菌の検査で血液検査で簡単に調べられる「抗体検査」があります。
血液検査で簡単に調べられるので 人間ドックなどでよく使われます。
しかし、血液抗体には いくつかの落とし穴があり注意が必要です。
‘【落とし穴1】除菌後の人は、抗体が陽性のままである。
ピロリ菌に感染すると、免疫物質であるピロリ抗体が体内で作られます。薬でピロリ菌を除菌(退治)しても、この抗体が残っているため再発を防止してくれます。ですので、除菌後の人は抗体が陽性のままです。(抗体の量=抗体価は時間とともに減少します)
したがって、ピロリ菌を除菌後の方は抗体が陽性になる事がほとんどであり、「現在感染しているかどうか」を評価するには向いていません。
また「除菌治療が成功しているのか」を調べるにも抗体検査は適していません。
【落とし穴2】ピロリ菌に感染していなくても 陽性となる事がある
ピロリ菌の抗体検査では、抗体の量(抗体価)も測定します。抗体価が3未満であれば陰性、10以上だと陽性と診断されます。
3-10の場合は、「陰性高値」と言われ、全く感染していない人も、現在感染している人も、昔感染していた人も、含まれます。
したがって、ピロリ抗体検査だけで現在感染しているかどうかを確定できないことがあります。
またピロリ菌除菌治療をしていなくても、ピロリ菌感染者がたまたま他の病気で抗生剤を服用してその時に「ピロリ菌が消えてしまった」という可能性もあります。そのような場合は、ピロリ菌の抗体が陽性で胃カメラをしてみたものの、現在感染している所見がないということがあります。
【落とし穴3】ピロリ菌の検査試薬が変わった
2022年ごろより、ピロリ菌の抗体検査の試薬が変わり、より安価に検査ができるようにありました。現在もその方法がどんどんと広まっているのですが、ここで問題が起こりました。
「抗体価が高く出るようになった」のです。
通常抗体価が10以上の場合は「ピロリ菌に感染している」と判断されてきました。それが、この抗体価が高く検出されるようになり、例えば抗体価20であってもピロリ菌に実は感染していないということが起こるようになったのです。
では、現在本当にピロリ菌に感染している、どうやって調べるのがいいのか?
それは、尿素呼気試験、迅速ウレアーゼ試験、便抗原検査があります。ただし、それらの検査もデメリットがあります。
●尿素呼気試験→胃薬を飲んでいると間違って陰性になる事がある(偽陰性)
●迅速ウレアーゼ検査→ピロリ菌がたまたま居ない部位で組織検査をした(偽陰性)
●便抗原→便を取らないといけないので面倒
どの検査にもメリットとデメリットがあります。
【何よりも大事な事】
そもそもピロリ菌はなぜ退治しないといけないのでしょうか?それは「胃がん」のリスクとなるからです。
そして現在「胃がんになっていないか」を診断する唯一の方法は胃カメラです。また胃カメラで胃の粘膜を見ると「活動性炎症」(胃の粘膜が赤くなっている)があるか、診断がつきます。
この胃カメラの所見と、ピロリ菌の結果を総合的に判断して、ピロリ菌が現在感染してそうなのか判断を行うことができます。
つまり「胃カメラをする」ことが、ピロリ菌の有無や、胃がんの診断のためには、とても重要だということです。
[森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック]
鎮静剤を使った楽な胃カメラ、鎮痛剤を使った痛くない大腸カメラをしている内視鏡専門クリニックです。2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。ピロリ感染症認定資格を持ち「ピロリ菌専門外来」も行っています。
JR森ノ宮駅直結、地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分 ビエラ森ノ宮3Fにあり、大阪市内で京橋、玉造、谷町4丁目、本町、東大阪からもアクセス良好です。
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《分院》大阪本町胃腸内視鏡クリニック
2022年10月3日開院
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