クリニックばんぶう(BAMBOO)2021年5月号に「Nクリニック」の記事が掲載されました。

治療の選択肢を広げて プロアスリートをサポート

【海外の効果的な治療法も積極的に導入し普及】
2009年6月に大阪府岸和田市に開院したNクリニック。中里伸也院長は、16年にわたり大阪厚生年金病院やアメリカミネソタ州ミネアポリスにあるスポーツメディカルセンター、喜多病院(現:岸和田リハビリテーション病院)などでスポーツドクターとして研鑽。プロスポーツ選手の治療のほか、体育大学の学校医、プロバスケットボールチーム「大阪エヴェッサ」のチームドクターとして活動してきた。培ってきたプロアスリート向けの診療をアマチュアアスリートにも提供したい思いから、開業を決意したという。
そんな同院では、痛みを取る目的のみの薬はなるべく使わず、かつ侵襲性の高い手術だけではない治療法を模索している。たとえば、ヨーロッパで治療実績のある「集束型体外衝撃波治療(痛みのある患部に照射することで除痛と組織修復を促進する)」を、国内でいち早く導入。従来の適応疾患に加えて疲労骨折や離断性骨軟骨炎や変形性膝関節症などへの治療実績を重ね、その成果を学会で発表するなど、有用な治療の普及促進にも努めている。
「プロ・アマを問わずスポーツをする人が身体パフォーマンスを最大限に活かせるように、保険診療だけではなく自費診療も取り入れ、治療の選択肢を広げてきました。国内で普及していない治療法でも、患者さんに良いと思ったものは積極的に採用し、効果を検証しています」と、中里院長は語る。
これまでの治療で、体外衝撃波治療に「PRP療法(血小板から放出される成長因子等の成分により傷んだ組織の修復や関節炎の症状軽減を促進する再生医療)」や、アキュスコープ(微弱電流治療器)を組み合わせることで、より早く確実に復帰できることなどもわかってきたという。実際に、他院で「手術しかない」と言われた選手で、同院でこの治療を受け手術を回避したケースも多々ある。
こうした他にはないユニークな治療と実績から、プロ野球選手やプロゴルファー、バレーボールやバスケットボール、卓球選手やバレリーナなどのプロアスリートはもちろん、アマチュアや学生アスリートの受診も多い。また、評判を聞きつけ台湾や中国など海外のアスリートも来院するという。現在、1日当たりの外来患者数は200~220人。プロ・アマ含めたスポーツ関連の患者が6から7割、それ以外の高齢者や一般人の患者が3から4割を占めている。

【患者の専属トレーナーとも連携し効果的なリハビリに】
さらに、プロアスリートの治療やリハビリなどに関しては、日ごろその選手のサポートしている専属トレーナーにも診察への同席をすすめており、効果の高いリハビリ方法を共有することで、通院時以外にも常時実践してもらえるように指導している。
「当院だけでできることは限られています。特に、遠方から来られた方は何度も通院するのは難しいため、当院でしかできない治療を終えたら、あとは沿革からでもサポートできるように、その方の専属トレーナーや整骨院の先生方と連携するようにしています」(中里院長)
また、手術が必要だと判断した場合は、同院が連携する全国各地の病院から、患者の症状や病態の進行、疾患部位などごとに適切な場所で手術やセカンドオピニオンを受けられるように紹介している。この場合、術後のリハビリなどのアフターケアは基本的に同院が引き継ぐが、退院後も病院の主治医と同院の理学療法士が連携を続け、術者である病院の主治医の意図に沿ったリハビリが行えているか、確認しながら進めている。
また、医学的治療やリハビリに加えて、鍼灸やトレーニングも組み合わせることで、治療効果の向上を図っている。そのため、同院には治療院やトレーニングルームも併設しているほか、アスリートが遠征先や実家などでも診察に基づいたリハビリ・トレーニングが受けられるように、札幌・福岡・名古屋・京都などのトレーニングジム、鍼灸院とも提携。さらに、必要に応じて同院のトレーナーの派遣も行っている。
「しっかりした検査に基づいていれば、鍼灸やリハビリは治療効果を向上させてくれる有益な手段です。鍼灸師やトレーナーと定期的にミーティングし、当院に併設したパフォーマンスコート(スポーツコート)で身体の動きを確認しながら、本人を含むチームで治療方針を決めて実行していきます」と、中里院長は説明する。
これらアスリート向けに開発された治療法は、実績を重ねた現在、一般患者の治療にも応用されている。中里院長は、「なるべく早く治したいという気持ちは、アスリートも一般患者さんも同じです。選択肢を提示して説明をすると、自費診療でも受けたいという患者さんは多くいます」と語る。
今後も常にアンテナを張って、よりよい治療法がないか探索していきたいという中里院長。
「より多くの選手が通いやすいよう、大阪市内での分院展開なども検討しています。私1人でできることは限られているので、スポーツ医療に対する思いやフィロソフィーを共有できる医師に出会えたら、共同経営という形で事業を拡大していけたら良いですね」と今後の展望を語ってくれた。

中里伸也
中里院長
自身もバスケットやゴルフなどスポーツが趣味の中里伸也院長

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同院はビル2階にあり、1階はトレーニングジム、3階はリハビリスペースになっている
3階のリハビリスペースにも、体外衝撃波治療ができる機器を備えている






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