「かぜ」を知ろうその1

小児科外来で最も多いかぜ。

たかがかぜ、されどかぜ。

この「かぜ」を知ろうのコーナーでは、あまり厳密な話や、まれな話は横においておいて、みなさんにぽわーんと何となくのイメージをつかんでもらうことを目標に書きたいと思います。

最初に必要な知識を少しだけ。

①細菌は適切な抗生剤で直接やっつけることができる!

②ウイルスはやっつける薬がない!

例、RSウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、以下名もなきウイルスを含め無数。

例外 インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルスなどごく少数。

③風邪のウイルスのそっくりさん、マイコプラズマは変わり者。

「かぜ」とは、「かぜのウイルスが鼻や喉だけにとどまっている状態」と考えるとイメージしやすいと思います。

気管支まで侵入されれば気管支炎、肺まで侵入されれば肺炎となります。

つまり、「かぜ」、「気管支炎」、「肺炎」などの言葉は、「今戦っている場所」あるいは「どこまで侵入されているか」を表しているといえますね。

どんなウイルスか、敵の正体まで分かると、「インフルエンザ肺炎」や「マイコプラズマ気管支炎」など、場所の前に敵の名前がついてくるわけです。

インフルエンザやマイコプラズマも鼻や喉などの上気道だけにとどまっている状態は、広い意味でのかぜ症候群に含まれ、「インフルエンザかぜ」などと言ってもいいのでしょうが、普通はかぜを省略してインフルエンザなどと呼びますね。

治療で一番大事なのは実は何ウイルスか、ということよりもどこまで入り込まれているか、という「場所」なのです(インフルエンザなど特効薬がある一部の風邪を除いて)。

「保育園で肺炎の子がいるのですが、うつりますか?」というご質問がありますが、かぜのウイルスや、肺炎のウイルスというものがある訳ではなく、どこまで侵入されるかによります、というのが答えになります。

かぜのウイルスは細かく分類すれば数百種類にも登り、熱がメインのかぜ、鼻水がメインのかぜ、数日で終わるかぜ、2週間以上かかるかぜまで様々です。

このことが同じ「かぜ」でも、前回は軽かったのに、今回は全然よくならないなんて複雑な事態を引き起こすわけです。

さらに、何度も何度もかかるうちに熱にしても鼻水にしても治るまでの日数にしても、全て徐々に軽くなります。

大人のわれわれの感覚の「かぜ」と小さい子供の「かぜ」は同じ原因ウイルスでも全くしんどさが違うようにみえてしまいます。

乳幼児で長引きやすいのはそう、圧倒的に「鼻水がメインのかぜ」です。

あふれんばかりの鼻水が何をしても収まらず、喉の後ろにたれこんで痰のからんだ激しい咳、わが子でも見ていてつらくなるパターンのかぜです。

ぜひ、「鼻水とのたたかい」のブログも参考にしてください。

その2に続く。






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